17 / 25
第一部・食戦鬼? あ、食洗機ですか。
第17話・暗殺者と辛勝と
しおりを挟む闇ギルドの暗殺者3名が寝室に侵入。私の命を狙っていた件について。
現在、一人の暗殺者は再起不能状態、残りは魔術師型暗殺者一人と体術型暗殺者一人の計二人。
現在の私の発動スキルは『上級格闘術の1』と『コマンドアーツ・パリー』のみ、残りのミスリル飴は三つ。
暗殺者の体術は中級格闘術か中級ナイフ術の6程度、ぎりぎり躱し続けられるレベルですけれど、複合技を使われるとやっかいです。
加えて魔術師は二つの術式を同時に操る達人。
「さて、どうしたものか……ってぇぇぇぇ」
――ゴゥゥゥゥッ
扉の前の魔術の目の前に、赤く燃え盛る炎の矢が浮かび上がります。
そしてそれは一直線に私に向かって飛んでくると、私が躱す方向に軌道を調整、ぴったりと追尾してきましたよ。
そしてその動きに合わせてもう一人が二本目のナイフを引き抜き、私に間合いを詰めてきて連続で切り裂き始めました。
「ちょ、ちょっと待って、それは卑怯ですよ!!」
炎の矢とナイフの波状攻撃を必死に躱しつつ、どうにか態勢を崩さないように必死にに動き回りますが、暗殺者の攻撃は息をつく暇もないぐらいの速度で私の命を狙ってきます。
それなら、こっちもどうにかしないと。
「防御の理……魔法防御1っ!!」
左腕に装着されていた籠手が小さな盾に変化したので、それを使って炎の矢を弾き飛ばすと返す刀でナイフを握っている腕の一つめがけて右手刀を叩き囲む!
――ゴギボキッ
暗殺者の腕の骨が砕け、ナイフが床に落ちていきます。
それを右足で蹴り上げて受け取ると、それを口に咥えてかみ砕き一気に飲み込みます。
『ピッ……暗殺の理を修得。毒生成3、暗殺術3、拷問2、尋問2、変装2を修得しました』
うっそ。
このタイミングなの? さっきの欠片じゃ足りなかったの?。
それじゃあもう一つミスリル飴を口の中に取り出してかみ砕くと、毒生成3を発動。
『麻痺毒を生成……それを両手に纏って、ここからは私のターン』
腕を折られて下がり始めた暗殺者に向かって、一気に間合いを詰めてからの顔面目掛けて左右のフック。
それを折れていない左手で受け流しているんだけれど、手数と速度はこっちが上。
つまり。
――ドゴオッ
顔面目掛けて拳の一撃。
そして素早く覆面を引きずり破ってからの、口に向かって手刀突き。
魔法によって認識阻害を受けているのか、素顔は見えず正体も分からないけれど口の位置はわかりました。ほーら、即効性の麻痺毒を飲むのです。
手が噛み千切られる前に引き抜いたけれど、すでに麻痺毒が回っているのかビクッビクッとけいれん状態。
それじゃあ最後は魔術師一人だけ。
「どぉぉぉぉぉれ、あんたも捕まえて闇ギルドの全貌を吐いて貰いましょうかね。偶然だけれど、貴方たちの拷問術を身に着けることが出来たのだから、じっくりとお話を聞かせて貰いましょうか?」
そう呟いた瞬間、魔法使いが両手で二本の緑の矢を生み出すと、私に向かって同時にシュート。
でも、あまりにも直線的で誘導されているそぶりもないのでどっちも躱し、さらに間合いを詰めて魔法使いに向かって手刀を!!
――ギン!
再び目の前に六角形の壁。
そして白い煙が周囲に噴き出したから、私は慌てて間合いをとって後ろに下がる。
「毒霧……いや、麻痺のガスですか。しっかりと目隠しまでされていて、これ以上は追いかけるのは不可能っていうことかぁ……」
霧の中を突っ切って追いかけるにも、霧の強度は触れていないから分からず。
私の抵抗力よりも強力な毒であった場合は私が倒れてゲームオーバーだから、ここは素直に引くしかないですか。
「あ~あ~、よし、声が出ているし音も聞こえる。まあ、今回は二人を捕らえることが出来たので……ってうわぁ」
倒れている二人を見て、私は寒気を覚えた。
二人の首から上が、緑色の液体に包まれて溶けていくのが見える。
「そっか、さっきの緑の矢は、二人の口を封じるためかぁ……ってうげぇぇぇぇぇぇぇぇ」
そんな冷静なことをつぶやく暇もなく、私は晩御飯すべてを口からスプラッシュ。
グロいのはダメなのですよ。
それと、いくらスプラッシュしてもミスリル飴の残骸はでてこない。
くっそ、またしても逃げられてしまいましたか。
――ドダダダダダダダダタ
そして廊下から誰かが駆けあがってくる音。
「シルヴィアさま、ご無事ですか」
「先ほどまで二階に上がる階段が結界で包まれていたようで、どうしても上がることが出来ませんでした……って、これは」
全身フル装備のジャービスさんと魔導師のフレデリカさんが部屋に飛び込んできて、溶けていく暗殺者を見て目を背けそうになっています。
「闇ギルドの暗殺者のようです。あと一人、魔術師がいましたけれど、逃げられてしまいました」
そう説明すると、フレデリカさんが手にした杖を高く掲げて、何かを詠唱しています。
「魔力の渦よ、力の波動よ。我が声に従い、魔術のしもべを探し出せ……サーチ・マジシャン!!」
魔術師を探す魔法……というところですか。
残念ながら私には使えませんけれど、しっかりと発動しているのはわかります。
「……駄目ですね、私の探査範囲内にはもう魔術師の反応はありません」
「そうか。いや、それよりもシルヴィアさまは無事でしたか」
「私はまあ、ほら、私の評判は知っているでしょう? それなりに抵抗はしていましたけれど」
口から噴き出したスプラッシュの香りが部屋にうっすらと。
ああっ、これもとっとと処分しないと、いくらなんでも私の吐瀉物を侍女の皆さんに片付けさせるなんてことはできませんよ。
「そのようですね。では、これは私どもの方で片付けさせますので」
「いえいえ、せめて自分が出したものは自分でどうにかしますので。それよりも、お父様たちの方は無事なのですか?」
そうですよ、私よりもお父様たちまで巻き込まれてはいませんよね?
そう思って問いかけますと、ジャービスさんが頷いています。
「一階のランカスター伯爵夫妻は無事でした。ですがそちらにも暗殺者らしきものたちが近寄ったらしく、ブロンクスとバースディの二人はその暗殺者らしき影を追いかけていきました。マルガレートさまもご無事です」
「それは良かった……でも、まさかこのタイミングで襲ってくるとは思っていませんでしたよ」
そう呟きつつ、ベッドのシーツをはがして自分の吐瀉物の上にかぶせます。
見苦しいのでこれで隠させてください。
「そうですね……本当に申し訳ない。もしも何かあったらと思ったら」
「ま、まあ、相手の方が上手であった、そういうことでいいです。あとはしっかりとお願いしますので」
「畏まりました。では、椅子を持ってきて部屋の外で寝ずの番をさせてもらいます。その前に、部屋を変えて貰えるか確認してきます」
フレデリカさんが階下に降りていきます。
その間、ジャービスさんは解けてしまった二人の暗殺者の持ち物を確認したり、なにか手掛かりがないか調査を行っています。
「シルヴィアさま、二つ隣の部屋を使えるようにしてもらいますので、そちらに移動していただけますか? こちらの処理は私どもで行っておきますので。隊長は、彼女の護衛についてください」
「わかった、ここは任せる。それではどうぞ、こちらへ」
あうあう、恥ずかしいものを処理させてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいですよ。
それに、こんなにドタバタとしていたらもう眠るどころの騒ぎじゃありませんよ。
とりあえずベッドにもぐりこみますが熟睡なんてできるはずもなく。ウトウトとしたまま、いつの間にか朝が訪れてしまいましたよ。
1
あなたにおすすめの小説
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
公爵家の次女ですが、静かに学園生活を送るつもりでした
佐伯かなた
恋愛
王国でも屈指の名門、公爵アルヴィス家。
その家には、誰もが称賛する完璧な令嬢がいた。
長女ソフィア。
美貌、知性、礼儀、すべてを備えた理想の公爵令嬢。
そして──もう一人。
妹、レーネ・アルヴィス。
社交界ではほとんど名前も出ない、影の薄い次女。
姉ほど目立つわけでもなく、社交の中心にいるわけでもない。
だが彼女は知っている。
貴族社会では、
誰が本当に優れているのかは、静かな場面でこそ分かるということを。
王立学園に入学したレーネは、
礼儀作法、社交、そして人間関係の中で、静かに周囲を観察していく。
やがて──
軽んじていた者たちは気づく。
「公爵家の妹」が、本当はどんな令嬢だったのかを。
これは、
静かな公爵令嬢が学園と貴族社会で評価を覆していく物語。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
婚約を解消されたし恋もしないけど、楽しく魔道具作ってます。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「君との婚約を解消したい」
「え? ああ、そうなんですね。わかりました」
サラは孤児で、大人の男であるジャストの世話になるため、体面を考えて婚約していただけだ。これからも変わらず、彼と魔道具を作っていける……そう思っていたのに、サラは職場を追われてしまった。
「甘やかされた婚約者って立場は終わったの。サラ先輩、あなたはただの雇われ人なんだから、上司の指示通り、利益になるものを作らなきゃいけなかったのよ」
魔道具バカなのがいけなかったのだろうか。けれどサラは、これからも魔道具が作りたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる