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第7章・王位継承と、狙われた魔導書
第302話・型録ギフトを届けましょう
しおりを挟む早朝6つ。
今日はペルソナさんの定期配達日。
いつものように夕方便でやって来るかと思っていましたら、朝一番で白い馬車で納品にやってきました。
それで急ぎ納品チェックと支払いを終えたのち、少しだけ時間があるということで、私の話を聞いて貰っています。
「……という事があったのですよ。おかげで、あまり気にしたくなかった事実を再認識させられましたし、これから私はどうしたらよいのでしょうかって、頭が痛くなってきますよ」
まあ、内容については、数日前に魔法協会に呼び出されて、【シャーリィの魔導書】の鑑定を行われたことと、相変わらず聖女・八千草さんがペルソナさんを狙っているということ。
すると、ペルソナさんも苦笑しています。
「まあ、いつかは知ることになっていたかもしれませんので、早い方がいいという事で」
「はぁ……私はカマンベール王国の次期女王になんてなる気はないのですけれどね」
「それで構わないのでは。そもそも、不老であるハイエルフの血筋を引いているとはいえ、クリスティナさんはハーフエルフ。王位継承権としては高い順位にあるかと思いますが、現女王が引退でもしない限りは王位継承の話にはならないでしょうね」
そうなのですが。
そもそも、可能性という事であれば、今のカマンベール王国の状況を考えると、かなり危険なのではないでしょうか。
「でも、今のカマンベール王国は魔族に支配されている上に、戦争状態に突入しそうですよ。本当でしたら、勇者様たちにカマンベール王国を取り戻してもらいたいって思っていますけれど、それって私の我儘なのでしょうから……そんなことは言えませんよ」
「ふむ。確かに、今のカマンベール王国の状態については、一度、確認しておく必要がありますね」
そう告げてから、ペルソナさんはスーツのポケットから懐中時計を取り出して、時間を確認しています。
次の配達までの時間を確認しているのでしょうか。
「では、一度、見にいきましょうか?」
「……んんん?」
えぇっと、今、ペルソナさんはサラッと言いましたけれど。
今は戦争状態ですよね? 危険ではないのですか?
「あの、流石に危険すぎませんか」
「うーん。私の馬車でしたら、認識阻害の強度はかなり高いですよ。もっとも、魔族四天王クラスになら気配程度は探られるかもしれませんけれど。そもそも、触れることもできませんから」
「それじゃあ、ペルソナさんの馬車の力でセシールさまを助け出すこともできるのでは?」
そう問いかけると、ペルソナさんは腕を組んだまま考えています。
「確かに不可能ではあれません。ですが、【型録通販のシャーリィ】は、人間界の戦争について直接的に手を貸すことは禁じられています。こればかりは古き盟約ゆえ、クリスティナさんの御願いでもかなえることはできません」
「ああ、精霊界の規約という感じですか」
「ご名答です。ただ、配達先が戦場であろうと、依頼さえ頂ければ【型録通販のシャーリィ】は荷物をお届けに参ります。もっとも、届け先が戦争を行っている―国の関係者でしたら不可能ですけれどね」
う~ん。
それじゃあ、セシールさまの好きそうなものを届けに行くというのはありなのですね。
指定先配達なのですから。
そう考えていると、ペルソナさんが自分のアイテムボックスのから一冊の型録を取り出し、私に手渡してくれました。
「これは?」
「今日、お渡しするはずだった最新の型録です。いつもの追加分に加えて新しい型録ギフトの頁が付いていますよ」
「型録ギフト……うん、ペルソナさん、お願いがあります」
そうですよ、型録ギフトを使って、セシールさまに荷物を届ければいいのですよ。
私はセシ―ルさまのことについては詳しくないので、適当に商品を選んで送るのは反則です。
でも、セシールさまのことをよく知っているおばあ様でしたら、この型録ギフトの中から商品を選んでくれるはず。
「ペルソナさん、実はお願いが!!」
無理は承知で、私はペルソナさんにお願いします。
すると、ペルソナさんは自分の口元に指を立てて、にっこりとほほ笑んでいます。
「では、店のことについてはブランシュにお任せして、クリスティナさまの持つ型録を届けに向かいましょうか。届け先は、フェイールの里で構わないのですよね?」
「はいっ、よろしくお願いします」
「では、このままいくとしましょうか」
そう告げて、ペルソナさんは馬車に乗るように私を促します。
うん、ペルソナさんは私の願いを聞き入れてくれました。
というか、私の気持ちを理解してくれています。
ちっょと悔しいですけれど、今はペルソナさんにお願いすることしかできませんね。
「おっと、急いで出発しましょう」
「ん……あ、そ、そうですね!!」
ふとペルソナさんが後ろを振り向き、慌てて馬車を走らせました。
その方向では、なんだかニマニマと笑って手を振っているブランシュさんと、ちょうどその横に馬車を止めて出てきた八千草さんの姿が見えましたよ。
うん、ブランシュさん、あとはお任せしますね!!
私は一度、おばあさまの元に届け物をしてきますので。
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