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蓮介
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俺はタバコに火をつけて、マンションを見上げた。
頼介と将太の部屋は、その最上階にある。
先日、初めてその部屋を訪れて、2人が充分すぎる程、安定した暮らしをしている事を知り、心底、胸を撫で下ろした。
そんな矢先だった。
将太がとんでもない事を言い出したのは。
こんな立派な暮らしを、自ら捨てるという。
もう頼介の‘息子’ではいられないからと。
親子の縁なんて、そう簡単に切れるものではない。
例え、殴ろうが…。
例え、殺そうが、だ。
頼介と将太は、今まで暮らしてきた絆がある。
それこそ、俺なんかでは立ち入る隙のないものが。
それがそう簡単に切れると思ったら、大間違いだ。
だが、将太は自分がやってしまった事の責任を、何らかの形で取りたいのだろう。
散々迷ったが、俺も将太の実父である以上、彼に対する責任はある。
将太を受け入れる事にした。
そうして、今、彼を迎えにここまでやって来た。
「本当にいいのか?」
俺は再度確認した。
「これで、いいんです。」
隠しきれない寂しさを滲ませながら、それでも彼はそう言った。
「俺の稼ぎじゃ、大学なんて行かせてやれないぜ?」
情けない事に、これは脅しではない。
だが、彼は
「構いません。高校もやめて働きます。ただ、行き先が決まるまでの間だけ、置いてください。」
と答えた。
俺は根負けして、彼を俺のねぐらまで案内する事にした。
俺のねぐら…古びた6畳一間のアパート。
今までの暮らしからは考えられないだろうが、将太は特に驚きもせずに付いてきた。
「その中に布団が入っている。1組は俺用で、もう1組は来客用だ。来客用のを使っていいぜ。そっちはフカフカし過ぎていて、俺には合わん。」
銀司の布団が、思わぬところで役に立った。
しかし、将太が居たんじゃ、もうここに銀司を呼ぶわけにはいかないな。
まあ、アイツは呼んだわけでもないのに、勝手に来たんだが…。
どっちにしろ、銀司には連絡しないわけにはいかない。
俺は部屋を出て、銀司に電話をした。
『どうした?』
銀司はすぐに電話をとった。
「お前、今日はもう俺の部屋には来ないだろう?」
『あぁ、そのつもりだ。明日は頼介の仕事復帰だからな。いろいろと忙しいんだ。』
「じゃあ、当分こっちには来るな。今日から将太と暮らす事になった。」
『はあぁぁ!???』
仰天した銀司にこれまでの経緯を説明し、何とか納得させた。
将太は、頼介には何も言わないでほしいと言っていたが、これで銀司から頼介にも伝わるだろう。
こっちにはこっちの事情があるし、流石に行方知れずのままにしておくわけにもいかないから、こればっかりは仕方ない。
タバコに火をつけ、空を見上げた。
まさかこんな形で、将太と暮らす事になるとは、思ってもみなかった。
生まれてからずっと…母親の律子が死んでからでさえ、放っておいた子供だ。
今回だって、俺を頼ったのは、単に他に行く当てがなかったからだろう。
深い意味はない。
だが、「恨んではいない」と言ってもらえるだけで、奇跡に近い事だ。
「今の俺にできる事はやってやるさ。」
そう呟いて、タバコの火を消した。
そうして、扉を開ける。
そこに、初めての‘父子’の生活が待っている。
頼介と将太の部屋は、その最上階にある。
先日、初めてその部屋を訪れて、2人が充分すぎる程、安定した暮らしをしている事を知り、心底、胸を撫で下ろした。
そんな矢先だった。
将太がとんでもない事を言い出したのは。
こんな立派な暮らしを、自ら捨てるという。
もう頼介の‘息子’ではいられないからと。
親子の縁なんて、そう簡単に切れるものではない。
例え、殴ろうが…。
例え、殺そうが、だ。
頼介と将太は、今まで暮らしてきた絆がある。
それこそ、俺なんかでは立ち入る隙のないものが。
それがそう簡単に切れると思ったら、大間違いだ。
だが、将太は自分がやってしまった事の責任を、何らかの形で取りたいのだろう。
散々迷ったが、俺も将太の実父である以上、彼に対する責任はある。
将太を受け入れる事にした。
そうして、今、彼を迎えにここまでやって来た。
「本当にいいのか?」
俺は再度確認した。
「これで、いいんです。」
隠しきれない寂しさを滲ませながら、それでも彼はそう言った。
「俺の稼ぎじゃ、大学なんて行かせてやれないぜ?」
情けない事に、これは脅しではない。
だが、彼は
「構いません。高校もやめて働きます。ただ、行き先が決まるまでの間だけ、置いてください。」
と答えた。
俺は根負けして、彼を俺のねぐらまで案内する事にした。
俺のねぐら…古びた6畳一間のアパート。
今までの暮らしからは考えられないだろうが、将太は特に驚きもせずに付いてきた。
「その中に布団が入っている。1組は俺用で、もう1組は来客用だ。来客用のを使っていいぜ。そっちはフカフカし過ぎていて、俺には合わん。」
銀司の布団が、思わぬところで役に立った。
しかし、将太が居たんじゃ、もうここに銀司を呼ぶわけにはいかないな。
まあ、アイツは呼んだわけでもないのに、勝手に来たんだが…。
どっちにしろ、銀司には連絡しないわけにはいかない。
俺は部屋を出て、銀司に電話をした。
『どうした?』
銀司はすぐに電話をとった。
「お前、今日はもう俺の部屋には来ないだろう?」
『あぁ、そのつもりだ。明日は頼介の仕事復帰だからな。いろいろと忙しいんだ。』
「じゃあ、当分こっちには来るな。今日から将太と暮らす事になった。」
『はあぁぁ!???』
仰天した銀司にこれまでの経緯を説明し、何とか納得させた。
将太は、頼介には何も言わないでほしいと言っていたが、これで銀司から頼介にも伝わるだろう。
こっちにはこっちの事情があるし、流石に行方知れずのままにしておくわけにもいかないから、こればっかりは仕方ない。
タバコに火をつけ、空を見上げた。
まさかこんな形で、将太と暮らす事になるとは、思ってもみなかった。
生まれてからずっと…母親の律子が死んでからでさえ、放っておいた子供だ。
今回だって、俺を頼ったのは、単に他に行く当てがなかったからだろう。
深い意味はない。
だが、「恨んではいない」と言ってもらえるだけで、奇跡に近い事だ。
「今の俺にできる事はやってやるさ。」
そう呟いて、タバコの火を消した。
そうして、扉を開ける。
そこに、初めての‘父子’の生活が待っている。
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