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18話 出し抜いたつもり
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その後もイオリは私を気にせず走り続けた、学校の階段さえも走る。
「私はもう無理だあ」
その体力どこから湧き出ているのかと気になるくらいの持久力だ。
すると携帯にイオリからメッセージが来た。
〈私の勝ちだね!〉
勝負という話は出ていなかったが、とても悔しい、悔しいよ! 明日は勝つ!
ゆっくりゆっくり階段を上がり教室に向かう。
私がクラスに着くまでで一番嫌なことは、途中で出会う他のクラスの生徒だ。
「うう、やだなあ」
一度立ち止まるが、勇気を振り絞り、走りきる。
(生徒は気にしない!)
時々、ネタにされているが気にしない気にしない!
渡り廊下まで走りきると、ウルク先生がゆっくりと歩いている、後ろからじゃよく分からないが、手をいじっている。
「これでよし」
プラスなにか独り言を話している、私は気づかれないようにゆっくりと近づくが、名門校の教師、さすが!
「おい、シャル、バレてるぞ」
私はバレてないと思っていたがバレていたらしい、「えへへ」 と笑い、ウルク先生を追い抜き、教室へ向かった。
「どうしたんだ、あいつ、というか、見られたか?」
---
教室に入るとイオリが誇らしく椅子に座っていた、ここに座るようにと隣の椅子を引いて叩いている。
(行きたくないな......)
一応周りの生徒を警戒しつつ座るが、特に何もなかった、今日に限っては途中に出会う他クラスの生徒より、Cクラスの生徒の方が警戒する。
ゆっくりと椅子に座ると、イオリが両手を腰におき、褒めて! と言わんばかりに鼻を高くしている。
「イオリ、早いね、どうしてそんなに早いの?」
お世辞ではなく、ガチだ、あれは流石に体力バケモンだ。
口に人差し指を優しく置いて言う。
「ひ、み、つ」
するとイオリが周りを警戒しつつ小声で話し出した。
「というか、変じゃない?」
どうやらイオリも気づいていたらしい。
「だね、私たちの噂誰一人話していないね」
気のしすぎでしょ、と思うかもしれないが、実際、あんな大きな件があったのに関わらず、このクラスに関わらず他のクラスでも話になっていなかった。
「隠蔽?」
フェリックスの話を聞いた後だから「隠蔽(いんぺい)という言葉が出てくる、もし聞いていなかったらそんな言葉出てこない。
「分からないね」
私も実際、隠蔽したのだと考えている。
すると廊下から二人歩いて教室へ向かっている。
「ヴイちゃん、見て窓、誰か来た」
一人はおそらく担任だ、もう一人は分からない。
「もしかして、転入生?」
だが、それは考えられない、転入生より、降格した生徒の可能性が高い。
窓をじっくりと見るCクラスの生徒、扉を開けて、最初に入って来たのは、担任だ。
もう一人は入って来ず、チャイムがなる。
「よし、起立、礼」
ホームルームが始まる、最初は点呼から始まった。
「全員出席か、珍しいな」
全員出席が珍しいなんて、今までのCクラスがどんな感じか知りたい。
「よし、ではいきなりだが、新しい生徒だ」
みんなが扉を注目する、扉が開き、教室に入ってくる。
その生徒の顔を見ると、私はイオリの顔を見ていた、イオリも私の顔を見ている。
「フェリックスじゃん」
「なんで?」
彼は三年でSSクラス、学年自体が下がるなんてありえるのか?
「ダイナ・フェリックス、よろしくお願いします」
「仲良くするように、一限目は昨日言った通り、本格練習を行う」
私にだけ気づくように目線を合わせた。
「十階にくるように」
そう言って教室を後にした、フェリックスは私たちの方へ近づいて来た。
「どういうこと?」
「なんでだろ」
イオリの席に手を置いて、話を始める。
「少し、訳あって、こうなった」
私たちは頭上にクエッションマークがついた。
「とりあえず、授業遅れるから、行きながら話すぞ」
教室を後にして階段に向かっていると、壁に隠れて、学園長がこちらを見ている。
イオリが気になったのか、肩を叩く。
「いや、誰かいるかと思ったら、気のせいだった」
「怖いこと言わないでよ?」
---
「面白いことしてくれたね」
---
「なぜ俺は登校しようとしなかったんだ!」
(上手くいったか、学園に戻るとしますか)
〈コツコツコツ〉
寮から出て行き、学園に向かっている、その部屋からは坂が見える、そこに学園長が歩いているから、俺の作戦勝ちだな。
「とりあえず、あいつにはバレないようにしないと、学校に行って二人に話すか」
---
「エレベーターで行く?」
私は提案するが、すぐに撤去された。
「いや、話したいことがあるから階段で」
「階段だよねー!」
(ううう、この化け物め!)
十階に向かいながら話をする。
「先輩、なんでここにいるんですか?」
それが一番の疑問だ。
「ああ、それに関してだが、お前らが出た後、学園長が寮に来たんだ」
私はあの時、学園長に見られた気がした、あれは本当だったと確信した。
「なるほど、私わかったよ!」
イオリはさっぱりの様子だ、フェリックスはやはりと見つめる。
「さっき学園長がいたから、あえて俺は触れなかったんだ」
やっぱりそうだ、見間違えではなかった。
イオリだけがわかってなく、少し焦っている。
「私分からないよ!」
フェリックスが話を始める。
「学園長が寮に来て、俺と少し話を交えたんだ、俺はイライラとする感情を抑えながら、話した、俺の大切な仲間をいなかったかのように話し出したのだ、俺は対抗したが、詰め寄られ、魔法をかけられた、好きな記憶を消すことができる魔法を」
そこまでいえばある程度わかる、イオリが思ったことを話す。
「かけられたけど、先輩今普通ということは、かけ損ねたってこと?」
人指し指を左右に振る。
「半分正解で、半分不正解だ」
イオリはとても不服そうだ。
「俺は奴が来ることを予想できた、二人が出た後自分にとある魔法をかけたのだ」
私もそこまでは分からなかった、それよりも自分に対して魔法をかけるなんて発想ない、いわゆるバフ? みたいなものなのか?
「その魔法とは?」
「簡単に言えば、記憶消滅、改ざん、睡眠、気絶、と言った直接相手に攻撃を加えない系の魔法を無効すると言った魔法だ」
そんな魔法があるなんて初めて知った、やはりSSクラスは伊達じゃない。
イオリがその魔法について聞く。
「聞いたことないけど、なんでそんな魔法が使えたの?」
「SSクラスになるには固有魔法、自分だけの魔法を覚える必要がある、俺は今言った魔法を固有魔法として練習して覚えたんだ」
イオリが魔法の名前を考え出した。
「先輩、その魔法の名前は何ですか?」
その質問に少し困った様子だ、おそらく名前決めていないらしい。
「それはだな、まだ決めてない」
イオリの発言により話がずれた、私は話を戻す。
「それは後で考えよ!」
イオリの話につられた先輩は話を続ける。
「学園長は、駆り出された際の記憶を消しているつもりだ、そしてクラスのこともだ」
流石にそんな魔法を使えるなんて学園長も把握していなかったのだろう。
「なるほど、後はふりをしてれば、いい話だね!」
やっとイオリにもわかったらしい、無言で頷く。
「そう、だが、それはいつかバレる、バレるまででいい、それまでふりをしててくれないか?」
先輩は何かを企んでいるようだった、私は賛成だ。
「この三人でいるときは普段通りで、みんながおるときはふりをしたらいい、話だね?」
それにはイオリも賛成らしい。
「わかった、先輩が何を考えてるかわからないけど、協力する!」
「ありがとう、なんか助けられてばっかだな」
私たちは首を左右に振る。
「そんなことないですよ!」
「そうだよね! ヴイちゃん!」
「とりあえず、これからよろしく」
私たちは握手を交わし、間に合うより十階に向かった。
---
「いい、作戦だが、残念だあの時何もしなかったのだよ、楽しみにしてるよ、フェリックス」
「私はもう無理だあ」
その体力どこから湧き出ているのかと気になるくらいの持久力だ。
すると携帯にイオリからメッセージが来た。
〈私の勝ちだね!〉
勝負という話は出ていなかったが、とても悔しい、悔しいよ! 明日は勝つ!
ゆっくりゆっくり階段を上がり教室に向かう。
私がクラスに着くまでで一番嫌なことは、途中で出会う他のクラスの生徒だ。
「うう、やだなあ」
一度立ち止まるが、勇気を振り絞り、走りきる。
(生徒は気にしない!)
時々、ネタにされているが気にしない気にしない!
渡り廊下まで走りきると、ウルク先生がゆっくりと歩いている、後ろからじゃよく分からないが、手をいじっている。
「これでよし」
プラスなにか独り言を話している、私は気づかれないようにゆっくりと近づくが、名門校の教師、さすが!
「おい、シャル、バレてるぞ」
私はバレてないと思っていたがバレていたらしい、「えへへ」 と笑い、ウルク先生を追い抜き、教室へ向かった。
「どうしたんだ、あいつ、というか、見られたか?」
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教室に入るとイオリが誇らしく椅子に座っていた、ここに座るようにと隣の椅子を引いて叩いている。
(行きたくないな......)
一応周りの生徒を警戒しつつ座るが、特に何もなかった、今日に限っては途中に出会う他クラスの生徒より、Cクラスの生徒の方が警戒する。
ゆっくりと椅子に座ると、イオリが両手を腰におき、褒めて! と言わんばかりに鼻を高くしている。
「イオリ、早いね、どうしてそんなに早いの?」
お世辞ではなく、ガチだ、あれは流石に体力バケモンだ。
口に人差し指を優しく置いて言う。
「ひ、み、つ」
するとイオリが周りを警戒しつつ小声で話し出した。
「というか、変じゃない?」
どうやらイオリも気づいていたらしい。
「だね、私たちの噂誰一人話していないね」
気のしすぎでしょ、と思うかもしれないが、実際、あんな大きな件があったのに関わらず、このクラスに関わらず他のクラスでも話になっていなかった。
「隠蔽?」
フェリックスの話を聞いた後だから「隠蔽(いんぺい)という言葉が出てくる、もし聞いていなかったらそんな言葉出てこない。
「分からないね」
私も実際、隠蔽したのだと考えている。
すると廊下から二人歩いて教室へ向かっている。
「ヴイちゃん、見て窓、誰か来た」
一人はおそらく担任だ、もう一人は分からない。
「もしかして、転入生?」
だが、それは考えられない、転入生より、降格した生徒の可能性が高い。
窓をじっくりと見るCクラスの生徒、扉を開けて、最初に入って来たのは、担任だ。
もう一人は入って来ず、チャイムがなる。
「よし、起立、礼」
ホームルームが始まる、最初は点呼から始まった。
「全員出席か、珍しいな」
全員出席が珍しいなんて、今までのCクラスがどんな感じか知りたい。
「よし、ではいきなりだが、新しい生徒だ」
みんなが扉を注目する、扉が開き、教室に入ってくる。
その生徒の顔を見ると、私はイオリの顔を見ていた、イオリも私の顔を見ている。
「フェリックスじゃん」
「なんで?」
彼は三年でSSクラス、学年自体が下がるなんてありえるのか?
「ダイナ・フェリックス、よろしくお願いします」
「仲良くするように、一限目は昨日言った通り、本格練習を行う」
私にだけ気づくように目線を合わせた。
「十階にくるように」
そう言って教室を後にした、フェリックスは私たちの方へ近づいて来た。
「どういうこと?」
「なんでだろ」
イオリの席に手を置いて、話を始める。
「少し、訳あって、こうなった」
私たちは頭上にクエッションマークがついた。
「とりあえず、授業遅れるから、行きながら話すぞ」
教室を後にして階段に向かっていると、壁に隠れて、学園長がこちらを見ている。
イオリが気になったのか、肩を叩く。
「いや、誰かいるかと思ったら、気のせいだった」
「怖いこと言わないでよ?」
---
「面白いことしてくれたね」
---
「なぜ俺は登校しようとしなかったんだ!」
(上手くいったか、学園に戻るとしますか)
〈コツコツコツ〉
寮から出て行き、学園に向かっている、その部屋からは坂が見える、そこに学園長が歩いているから、俺の作戦勝ちだな。
「とりあえず、あいつにはバレないようにしないと、学校に行って二人に話すか」
---
「エレベーターで行く?」
私は提案するが、すぐに撤去された。
「いや、話したいことがあるから階段で」
「階段だよねー!」
(ううう、この化け物め!)
十階に向かいながら話をする。
「先輩、なんでここにいるんですか?」
それが一番の疑問だ。
「ああ、それに関してだが、お前らが出た後、学園長が寮に来たんだ」
私はあの時、学園長に見られた気がした、あれは本当だったと確信した。
「なるほど、私わかったよ!」
イオリはさっぱりの様子だ、フェリックスはやはりと見つめる。
「さっき学園長がいたから、あえて俺は触れなかったんだ」
やっぱりそうだ、見間違えではなかった。
イオリだけがわかってなく、少し焦っている。
「私分からないよ!」
フェリックスが話を始める。
「学園長が寮に来て、俺と少し話を交えたんだ、俺はイライラとする感情を抑えながら、話した、俺の大切な仲間をいなかったかのように話し出したのだ、俺は対抗したが、詰め寄られ、魔法をかけられた、好きな記憶を消すことができる魔法を」
そこまでいえばある程度わかる、イオリが思ったことを話す。
「かけられたけど、先輩今普通ということは、かけ損ねたってこと?」
人指し指を左右に振る。
「半分正解で、半分不正解だ」
イオリはとても不服そうだ。
「俺は奴が来ることを予想できた、二人が出た後自分にとある魔法をかけたのだ」
私もそこまでは分からなかった、それよりも自分に対して魔法をかけるなんて発想ない、いわゆるバフ? みたいなものなのか?
「その魔法とは?」
「簡単に言えば、記憶消滅、改ざん、睡眠、気絶、と言った直接相手に攻撃を加えない系の魔法を無効すると言った魔法だ」
そんな魔法があるなんて初めて知った、やはりSSクラスは伊達じゃない。
イオリがその魔法について聞く。
「聞いたことないけど、なんでそんな魔法が使えたの?」
「SSクラスになるには固有魔法、自分だけの魔法を覚える必要がある、俺は今言った魔法を固有魔法として練習して覚えたんだ」
イオリが魔法の名前を考え出した。
「先輩、その魔法の名前は何ですか?」
その質問に少し困った様子だ、おそらく名前決めていないらしい。
「それはだな、まだ決めてない」
イオリの発言により話がずれた、私は話を戻す。
「それは後で考えよ!」
イオリの話につられた先輩は話を続ける。
「学園長は、駆り出された際の記憶を消しているつもりだ、そしてクラスのこともだ」
流石にそんな魔法を使えるなんて学園長も把握していなかったのだろう。
「なるほど、後はふりをしてれば、いい話だね!」
やっとイオリにもわかったらしい、無言で頷く。
「そう、だが、それはいつかバレる、バレるまででいい、それまでふりをしててくれないか?」
先輩は何かを企んでいるようだった、私は賛成だ。
「この三人でいるときは普段通りで、みんながおるときはふりをしたらいい、話だね?」
それにはイオリも賛成らしい。
「わかった、先輩が何を考えてるかわからないけど、協力する!」
「ありがとう、なんか助けられてばっかだな」
私たちは首を左右に振る。
「そんなことないですよ!」
「そうだよね! ヴイちゃん!」
「とりあえず、これからよろしく」
私たちは握手を交わし、間に合うより十階に向かった。
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「いい、作戦だが、残念だあの時何もしなかったのだよ、楽しみにしてるよ、フェリックス」
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