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第一話……無能女どもを追放したんだが……
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「今、この時を以て、役立たずスキルの無能のお前にはパーティーを抜けてもらう! 『コミュ』、今すぐ俺の前から消え失せろ!」
「そ、そんな……じょ、冗談だよね? いつもの冗談だよね……? 嫌だよ! 私、抜けたくない! 『バクス』から離れたくない!」
突然の別れを切り出された彼女のように、肉付きの良い身体で俺にしがみついてくるコミュ。
俺はそれを振り払うように体を捻ると、コミュはずり落ちて俺の脚にしがみつく形になった。
しかし、そんな無様な姿を晒しても俺から離れようとしないコイツに、さらに苛立ちを覚える。
「お前はどれだけ俺を怒らせれば気が済むんだ。俺は冗談じゃなく真面目に言ってるんだよ! 『いつも』な! お前が全く聞く耳を持たないだけだろ!」
「ドッキリだよね? こんなに朝早くギルドに集められて何事かと思ったけど、みんなが私を嵌めて、笑い物にしようとしてるだけだよね? そうだよね?」
「いつまで寝言を言ってるんだよ、お前は。いいか、今まで何度も口を酸っぱくして言ってきたことを改めて最後に言うからな。
お前はパーティーに加入する時、『説得及び交渉』スキルを持っていて、それは人間以外にも有効だと言ったな。
確かにモンスターにも有効だった。怯んだ隙に攻撃もできた。しかし、それは低レベルモンスターのみで、この『ノウズ』地方では全く役に立たないものだった。
とは言え、人によっては修練を重ねればスキルアップをすることもあるから、時間を置いてはみたものの、お前ときたらどこ吹く風だ。
冒険者パーティーの役割とは、ギルドに登録して、モンスターの討伐依頼を受けて、現地に赴き、実際に戦闘を行い、勝利して無事帰還すること。
それに、勇者パーティーを将来目指すなら、より高い目標を掲げて活動しなければいけない。
なのにお前は、何の努力もせず、戦闘には漫然と参加して、危機感もなく日々ダラダラと過ごしているだけ。
いいか、これは遊びじゃないんだ。命の危険がある重要な仕事なんだよ!
それをお前は何も考えずに、欲望の赴くままに行動し、そのことを指摘されてもへらへらと笑って受け流して、俺に最後通牒を突き付けられても、現実を受け入れられないでいる。
誰だって怒りたくなるだろ! 俺はパーティーのリーダーとして、お前に責任は持てないんだよ!」
「そ、そんな……。バクスには私の初めても捧げたのに……」
「それが冒険者の活動に対する責任と何か関係があるのか? お得意の感情論じゃなく論理的に説明してくれよ。
俺はお前にどうすればスキルアップできるか、スキルアップできたらどういう応用ができるか、パーティー内での将来的に期待する役割や立ち位置までも説明したよな?
それでお前は『うん、分かった』って言ったよな?
その後、進捗を聞いたら、『まだ何もやってない』。
それぞれ個人のタイミングもあるだろうと思って、しばらくしてからまた聞いたら、『まだやってない』。
いつやるんだと聞いたら、『もう少ししたら』。
いい加減始めただろうと思った頃に聞いたら、『ごめん、何のこと?』。
これでブチ切れないヤツがいたら、俺はそいつの弟子になるよ」
「あー、だからあの時の夜はあんなに激しかったんだー。私もすごい興奮したなぁ」
「誰かコイツを殴ってくれ……」
「コミュは反省しないからねー。ノウズのモンスター以下の知能だよ。私みたいに日々反省を繰り返していれば、こんなことにはならなかったのにねー」
「『イシス』、お前も抜けるんだよ」
「…………。は? な、なんでさ! 私だってバクスに初めてを捧げたのに!」
「今この瞬間、お前の天丼がつまらないことで、その理由が八割にまで上昇した。残りの二割もコミュと似た理由だ。
お前は『分析』スキルを持ち、戦闘に常に活かせると言った。
しかし、蓋を開けてみれば、その分析には異常に時間がかかり、結果を急がせると、例えば『熊タイプのモンスターは爪の攻撃に注意する』という当たり前のことしか言えない。
かと言って、ずっと結果を待っていると、『かなり前のことだから、データを取り直さないと正確な結果は得られない』。
何のための分析だよ! 詐欺だろ!
あと、お前のギャグがつまらないのが五割だ」
「結局、十五割になってるんだけど……。い、嫌だ! 私もバクスと離れ離れになるなんて考えられない! 私の分析では、身体の相性が百パーセントで、ずっと一緒にいられる確率も百パーセントだったんだから!」
「やっぱりダメじゃないか、その分析」
「ということは、バクスと僕の二人パーティーですか。男女比を考えるなら、また女冒険者を二人いれないと……」
「『フォル』、残念ながらお前もだ」
「後衛スキル持ちより前衛スキル持ちの方がハズレの確率も低くて良さそうですよね。いや、コミュとイシスがハズレって意味ではないですよ? バクスは五人パーティーを理想としているといつも言っているから、この際、三人は入れたいですよね」
「おい……」
「夜のことも考えると、強気な人も面白いかもしれませんね。バクスの新たな一面が見られるかも。あ、でも、そしたら『ママ』と衝突する恐れも……」
「俺の話しを聞けぇぇぇ! ある意味、お前が一番タチが悪い! 人の話しを聞かない筆頭だし、自分の話は盛りに盛って捏造するしで、マジで手がつけられない」
「ぼ、僕だってバクスが初めての人なんですよ⁉️ あの時、僕を無理矢理押し倒して、『男同士ってこんなに興奮するんだな。かわいいよフォル。俺の愛情を目一杯注いでやるからな』って言ってくれたじゃないですか! そのセリフで僕はその気になって、バクスがいないと生きられない身体に……」
「はい、言った側から捏造。無理矢理じゃなく、お前が執拗に迫って誘ってきたんだろ! 最初からその気だっただろ!」
「結果的にほとんど合っていればいいんですよ!」
「あらゆる捏造話が広まって、どれだけ俺の評判が貶められたか……。
それはともかく、仕事の話だ。そのテキトーさはスキルにも現れている。変身スキルを持つものの、やはり自分より弱い対象にしか変身できないし、虎に変身できたかと思えば、顔は虎、身体と体長は豚のような何か、そして全身青色のキメラになってしまい、不完全でキモすぎる」
「前にも言いましたが、伝説の青い虎は、この世界のどこかにいるらしいんですよ」
「……。せめて、隠密行動ができる小鳥にでもなれればいいが、キメラだと目立ちすぎるし、そこで負った怪我は元に戻った時にも反映されるから、危険すぎてできない。
色々試してみても、どうしようもできなかった。これは俺の力不足だけの問題ではない。
結局、スキルアップを実現させないことには何も進まないことが、ずっと前から分かっていたが、お前達は俺の言うことなんかこれっぽっちも聞いてないから、匙を投げるのも当然だ。
むしろ、『よく耐えたな俺』と褒めてやりたいところだ。
分かったら、そこの餞別を持って、とっとと消え失せろ、役立たずスキルの無能女ども」
「分かりませーん! だよね?」
いつの間にか立ち上がっていたコミュの舐めた態度と言葉に、何度も頷いて賛同する二人。
「じゃあ、分からなくていいから、さっさと消え失せろ! 役立たずスキルの無能女ども! 俺がお前達をこの場でぶっ殺してもいいんだぞ!」
「そ、そんなことしたら、『ママ』が……」
「うるさい! 早く消えてくれよ! 頼むから……! 限界なんだよ……! 本当に俺を殺人鬼にするつもりなのかよ……!」
剣に手を伸ばした俺の心からの叫びに、ようやく真剣な表情になった三人は、顔を見合わせてから、すごすごとギルドから出て行った。
時折、入口から顔を覗かせて様子を伺うコミュが横目に入ったが、重く漂う空気が変わらないことを悟り、三人とも実家に帰ったようだ。
まぁ、三人の実家は、ここから近いんだが……。
「そ、そんな……じょ、冗談だよね? いつもの冗談だよね……? 嫌だよ! 私、抜けたくない! 『バクス』から離れたくない!」
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しかし、そんな無様な姿を晒しても俺から離れようとしないコイツに、さらに苛立ちを覚える。
「お前はどれだけ俺を怒らせれば気が済むんだ。俺は冗談じゃなく真面目に言ってるんだよ! 『いつも』な! お前が全く聞く耳を持たないだけだろ!」
「ドッキリだよね? こんなに朝早くギルドに集められて何事かと思ったけど、みんなが私を嵌めて、笑い物にしようとしてるだけだよね? そうだよね?」
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お前はパーティーに加入する時、『説得及び交渉』スキルを持っていて、それは人間以外にも有効だと言ったな。
確かにモンスターにも有効だった。怯んだ隙に攻撃もできた。しかし、それは低レベルモンスターのみで、この『ノウズ』地方では全く役に立たないものだった。
とは言え、人によっては修練を重ねればスキルアップをすることもあるから、時間を置いてはみたものの、お前ときたらどこ吹く風だ。
冒険者パーティーの役割とは、ギルドに登録して、モンスターの討伐依頼を受けて、現地に赴き、実際に戦闘を行い、勝利して無事帰還すること。
それに、勇者パーティーを将来目指すなら、より高い目標を掲げて活動しなければいけない。
なのにお前は、何の努力もせず、戦闘には漫然と参加して、危機感もなく日々ダラダラと過ごしているだけ。
いいか、これは遊びじゃないんだ。命の危険がある重要な仕事なんだよ!
それをお前は何も考えずに、欲望の赴くままに行動し、そのことを指摘されてもへらへらと笑って受け流して、俺に最後通牒を突き付けられても、現実を受け入れられないでいる。
誰だって怒りたくなるだろ! 俺はパーティーのリーダーとして、お前に責任は持てないんだよ!」
「そ、そんな……。バクスには私の初めても捧げたのに……」
「それが冒険者の活動に対する責任と何か関係があるのか? お得意の感情論じゃなく論理的に説明してくれよ。
俺はお前にどうすればスキルアップできるか、スキルアップできたらどういう応用ができるか、パーティー内での将来的に期待する役割や立ち位置までも説明したよな?
それでお前は『うん、分かった』って言ったよな?
その後、進捗を聞いたら、『まだ何もやってない』。
それぞれ個人のタイミングもあるだろうと思って、しばらくしてからまた聞いたら、『まだやってない』。
いつやるんだと聞いたら、『もう少ししたら』。
いい加減始めただろうと思った頃に聞いたら、『ごめん、何のこと?』。
これでブチ切れないヤツがいたら、俺はそいつの弟子になるよ」
「あー、だからあの時の夜はあんなに激しかったんだー。私もすごい興奮したなぁ」
「誰かコイツを殴ってくれ……」
「コミュは反省しないからねー。ノウズのモンスター以下の知能だよ。私みたいに日々反省を繰り返していれば、こんなことにはならなかったのにねー」
「『イシス』、お前も抜けるんだよ」
「…………。は? な、なんでさ! 私だってバクスに初めてを捧げたのに!」
「今この瞬間、お前の天丼がつまらないことで、その理由が八割にまで上昇した。残りの二割もコミュと似た理由だ。
お前は『分析』スキルを持ち、戦闘に常に活かせると言った。
しかし、蓋を開けてみれば、その分析には異常に時間がかかり、結果を急がせると、例えば『熊タイプのモンスターは爪の攻撃に注意する』という当たり前のことしか言えない。
かと言って、ずっと結果を待っていると、『かなり前のことだから、データを取り直さないと正確な結果は得られない』。
何のための分析だよ! 詐欺だろ!
あと、お前のギャグがつまらないのが五割だ」
「結局、十五割になってるんだけど……。い、嫌だ! 私もバクスと離れ離れになるなんて考えられない! 私の分析では、身体の相性が百パーセントで、ずっと一緒にいられる確率も百パーセントだったんだから!」
「やっぱりダメじゃないか、その分析」
「ということは、バクスと僕の二人パーティーですか。男女比を考えるなら、また女冒険者を二人いれないと……」
「『フォル』、残念ながらお前もだ」
「後衛スキル持ちより前衛スキル持ちの方がハズレの確率も低くて良さそうですよね。いや、コミュとイシスがハズレって意味ではないですよ? バクスは五人パーティーを理想としているといつも言っているから、この際、三人は入れたいですよね」
「おい……」
「夜のことも考えると、強気な人も面白いかもしれませんね。バクスの新たな一面が見られるかも。あ、でも、そしたら『ママ』と衝突する恐れも……」
「俺の話しを聞けぇぇぇ! ある意味、お前が一番タチが悪い! 人の話しを聞かない筆頭だし、自分の話は盛りに盛って捏造するしで、マジで手がつけられない」
「ぼ、僕だってバクスが初めての人なんですよ⁉️ あの時、僕を無理矢理押し倒して、『男同士ってこんなに興奮するんだな。かわいいよフォル。俺の愛情を目一杯注いでやるからな』って言ってくれたじゃないですか! そのセリフで僕はその気になって、バクスがいないと生きられない身体に……」
「はい、言った側から捏造。無理矢理じゃなく、お前が執拗に迫って誘ってきたんだろ! 最初からその気だっただろ!」
「結果的にほとんど合っていればいいんですよ!」
「あらゆる捏造話が広まって、どれだけ俺の評判が貶められたか……。
それはともかく、仕事の話だ。そのテキトーさはスキルにも現れている。変身スキルを持つものの、やはり自分より弱い対象にしか変身できないし、虎に変身できたかと思えば、顔は虎、身体と体長は豚のような何か、そして全身青色のキメラになってしまい、不完全でキモすぎる」
「前にも言いましたが、伝説の青い虎は、この世界のどこかにいるらしいんですよ」
「……。せめて、隠密行動ができる小鳥にでもなれればいいが、キメラだと目立ちすぎるし、そこで負った怪我は元に戻った時にも反映されるから、危険すぎてできない。
色々試してみても、どうしようもできなかった。これは俺の力不足だけの問題ではない。
結局、スキルアップを実現させないことには何も進まないことが、ずっと前から分かっていたが、お前達は俺の言うことなんかこれっぽっちも聞いてないから、匙を投げるのも当然だ。
むしろ、『よく耐えたな俺』と褒めてやりたいところだ。
分かったら、そこの餞別を持って、とっとと消え失せろ、役立たずスキルの無能女ども」
「分かりませーん! だよね?」
いつの間にか立ち上がっていたコミュの舐めた態度と言葉に、何度も頷いて賛同する二人。
「じゃあ、分からなくていいから、さっさと消え失せろ! 役立たずスキルの無能女ども! 俺がお前達をこの場でぶっ殺してもいいんだぞ!」
「そ、そんなことしたら、『ママ』が……」
「うるさい! 早く消えてくれよ! 頼むから……! 限界なんだよ……! 本当に俺を殺人鬼にするつもりなのかよ……!」
剣に手を伸ばした俺の心からの叫びに、ようやく真剣な表情になった三人は、顔を見合わせてから、すごすごとギルドから出て行った。
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