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第二十七話……俺の理想の一端を語ったんだが……
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「これ……、あと二十分で魔壁まで行けちゃうな……。険しい道を軽々と乗り越えられるのが大きい。当然、他のモンスターは出てこないから、戦闘で時間を食うこともないし……。でも、あまり早く戻っても問題になるからなぁ……」
「ねぇ、フレウ。あの毒の湖って浄化できないの? あそこをお風呂にしようよ。そうすれば、バクスもゆっくりできるよ。フレウのスキルで疲労は回復できるけどさ。気分、っていうのかな」
「できそうな気がする……。やってみる!」
限りなく人間の気持ちを理解しているメムの提案に、フレウはかわいく気合いを入れていた。
どうやら、フレウが普段の拠点としている場所が、その湖らしい。最初は水だったが、フレウが頻繁に入っている内に、毒の湖に変化したという。
ここからフレウに乗って五分、洞窟Aの中間地点から横に大きく逸れた道の先、さらに出入口の方角に進まないと辿り着けない所にあるらしく、魔壁に挑戦する冒険者なら絶対に選ばない道だろう。確かにそこにいれば、人間と会うことなどないと容易に納得できる。
モンスターも訪れることはないらしいが、メムに限っては、仮に冒険者と対峙しても討伐される恐れがないので、洞窟内を気ままにうろついている際に、そこを見つけたとのことだ。やっぱり猫じゃないか。
「それじゃあ、まずは鉱石を採りに行くか。やることを終えてから、ゆっくり休んだ方が、気が楽だ」
「あ、バクス。その前にちょっと確認しておきたいことが……」
「何だ? 改まって」
「バクスは五人パーティーが理想だっていつも言ってるって話。理想を更新したとは言ってたものの、ディーズと私達も入れると、七人になっちゃうけど、それでいいのかなって」
「ああ、確かにそのことは全部言ってなかったな。五人はあくまで最小構成を考えた場合のことだ。最小構成で五人、最大構成で八人が俺の理想なんだよ。だから、全く問題ない。ちなみに、八人なら、前衛二人、中衛二人、中衛から少し離れた左右衛二人、後衛二人で分かれる。
じゃあ、九人目が来たら門前払いかと言うと、そうでもない。ハッキリ言って、理想の数なんかどうだっていいんだ。どうにでもなるから。ちなみに、その場合は前衛を三人にする。結局、理想の仲間になれる存在でさえあればいいんだよ。多すぎて制御できなくなるなら、それはリーダーの資質の問題だ。俺ならできる。討伐については、な。
ああ、これも念のために言っておかないといけないか。以前の俺なら思い付かなかったことだな……。
パーティーメンバーは、自分の実力不足でその理想に及ばないと悩む必要なんか全くない。俺の理想は『心から互いに仲間だと思える』。そして、その仲間と『誰よりも前へ』進める。ただそれだけなんだから。それでも悩むとしたら、どちらかを誤解しているから、俺に聞いてほしい。
それと理想の更新とは、実は別の話だ。俺はディーズを入れた五人なら、最高のパーティーを目指せると思っていた。でも、お前達は俺に、より最高のパーティーを目指せるんじゃないかと思わせてくれた。もっともっと楽しくなるんじゃないかとな。やっぱり、まだまだ言葉が足りないな俺は」
「ううん、ありがとう、バクス。ほら、私達はモンスターだからさ、人間とはお互いに誤解しやすいかもと思って。バクスが確認は大事だって言ったから、確認したんだよ。もう早とちりはしたくないし」
「二人の話を聞いてると、勉強になるよ。私も他のメンバーと早く会ってみたいな」
フレウは大きく頷き、優しい表情でその時を待ち侘びていた。もう会話もスムーズにできるようだ。モンスターは成長しないということだったが、これについては間違いなく成長と言えるだろう。
単に発声の問題だっただけのようだ。これまで人間と会っていなかったのに、どうやって言葉を習得したかは謎だが、元人間説というよりは、中身が人間に近い存在が、思いや強さの閾値を超えることで、人間に変身できるのではないだろうか。討伐されても言語能力はリセットされないとかあるのかもしれない。
場合によっては、監視官が配置されていなかった時代に、すでに人間化したモンスターが街に入り込み、今でもその子孫が普通に生活している可能性だってある。
そう考えると、洞窟や魔壁は神様によって創られたということだが、それはモンスターにも言えることで、しかも、かなり人間に近い思想によって設計されたように思えてならない。
神様がそういう思想の持ち主なのか、あるいは人間から進言を得たか……。後者なら、洞窟や迷宮、ダンジョン設計に長けた人物……異世界人か……? その場合、時系列はどうなっているんだろうな。いや、飛躍しすぎか……。
「バクス、準備できたって」
俺が答えの出ない問答を脳内で展開していると、蛇の姿のフレウに手を当てたメムが俺を呼んだ。
「……ああ、今行く」
考えても仕方がないな。今は感謝しよう、その主に。人間とモンスターの垣根を越えたパーティーの誕生に。
俺は、密着したフレウの蛇肌と、その間に器用に挟まることにした猫姿のメムとの体温のギャップを感じながら、色々な思いを馳せていた。
「ねぇ、フレウ。あの毒の湖って浄化できないの? あそこをお風呂にしようよ。そうすれば、バクスもゆっくりできるよ。フレウのスキルで疲労は回復できるけどさ。気分、っていうのかな」
「できそうな気がする……。やってみる!」
限りなく人間の気持ちを理解しているメムの提案に、フレウはかわいく気合いを入れていた。
どうやら、フレウが普段の拠点としている場所が、その湖らしい。最初は水だったが、フレウが頻繁に入っている内に、毒の湖に変化したという。
ここからフレウに乗って五分、洞窟Aの中間地点から横に大きく逸れた道の先、さらに出入口の方角に進まないと辿り着けない所にあるらしく、魔壁に挑戦する冒険者なら絶対に選ばない道だろう。確かにそこにいれば、人間と会うことなどないと容易に納得できる。
モンスターも訪れることはないらしいが、メムに限っては、仮に冒険者と対峙しても討伐される恐れがないので、洞窟内を気ままにうろついている際に、そこを見つけたとのことだ。やっぱり猫じゃないか。
「それじゃあ、まずは鉱石を採りに行くか。やることを終えてから、ゆっくり休んだ方が、気が楽だ」
「あ、バクス。その前にちょっと確認しておきたいことが……」
「何だ? 改まって」
「バクスは五人パーティーが理想だっていつも言ってるって話。理想を更新したとは言ってたものの、ディーズと私達も入れると、七人になっちゃうけど、それでいいのかなって」
「ああ、確かにそのことは全部言ってなかったな。五人はあくまで最小構成を考えた場合のことだ。最小構成で五人、最大構成で八人が俺の理想なんだよ。だから、全く問題ない。ちなみに、八人なら、前衛二人、中衛二人、中衛から少し離れた左右衛二人、後衛二人で分かれる。
じゃあ、九人目が来たら門前払いかと言うと、そうでもない。ハッキリ言って、理想の数なんかどうだっていいんだ。どうにでもなるから。ちなみに、その場合は前衛を三人にする。結局、理想の仲間になれる存在でさえあればいいんだよ。多すぎて制御できなくなるなら、それはリーダーの資質の問題だ。俺ならできる。討伐については、な。
ああ、これも念のために言っておかないといけないか。以前の俺なら思い付かなかったことだな……。
パーティーメンバーは、自分の実力不足でその理想に及ばないと悩む必要なんか全くない。俺の理想は『心から互いに仲間だと思える』。そして、その仲間と『誰よりも前へ』進める。ただそれだけなんだから。それでも悩むとしたら、どちらかを誤解しているから、俺に聞いてほしい。
それと理想の更新とは、実は別の話だ。俺はディーズを入れた五人なら、最高のパーティーを目指せると思っていた。でも、お前達は俺に、より最高のパーティーを目指せるんじゃないかと思わせてくれた。もっともっと楽しくなるんじゃないかとな。やっぱり、まだまだ言葉が足りないな俺は」
「ううん、ありがとう、バクス。ほら、私達はモンスターだからさ、人間とはお互いに誤解しやすいかもと思って。バクスが確認は大事だって言ったから、確認したんだよ。もう早とちりはしたくないし」
「二人の話を聞いてると、勉強になるよ。私も他のメンバーと早く会ってみたいな」
フレウは大きく頷き、優しい表情でその時を待ち侘びていた。もう会話もスムーズにできるようだ。モンスターは成長しないということだったが、これについては間違いなく成長と言えるだろう。
単に発声の問題だっただけのようだ。これまで人間と会っていなかったのに、どうやって言葉を習得したかは謎だが、元人間説というよりは、中身が人間に近い存在が、思いや強さの閾値を超えることで、人間に変身できるのではないだろうか。討伐されても言語能力はリセットされないとかあるのかもしれない。
場合によっては、監視官が配置されていなかった時代に、すでに人間化したモンスターが街に入り込み、今でもその子孫が普通に生活している可能性だってある。
そう考えると、洞窟や魔壁は神様によって創られたということだが、それはモンスターにも言えることで、しかも、かなり人間に近い思想によって設計されたように思えてならない。
神様がそういう思想の持ち主なのか、あるいは人間から進言を得たか……。後者なら、洞窟や迷宮、ダンジョン設計に長けた人物……異世界人か……? その場合、時系列はどうなっているんだろうな。いや、飛躍しすぎか……。
「バクス、準備できたって」
俺が答えの出ない問答を脳内で展開していると、蛇の姿のフレウに手を当てたメムが俺を呼んだ。
「……ああ、今行く」
考えても仕方がないな。今は感謝しよう、その主に。人間とモンスターの垣根を越えたパーティーの誕生に。
俺は、密着したフレウの蛇肌と、その間に器用に挟まることにした猫姿のメムとの体温のギャップを感じながら、色々な思いを馳せていた。
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