俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど

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第二十八話……洞窟の最奥まで来たんだが……

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「これが魔壁か……。ママが言っていた通り、綺麗だ……」

 フレウにお礼を言って、その広大な空間に降り立った俺は、色とりどりにほんのり輝く壁に魅了されていた。その辺には、見たこともない鉱石が採り切れないほどたくさんあり、それらも魔壁の光が反射して輝いてはいるが、明らかに魔壁の方が美しく感じる。
 この際、十分に目に焼き付けておきたいと思い、その場で辺りを見回していると、猫娘姿になったメムが俺の横に来た。

「洞窟Bの魔壁より、ここの方が綺麗なんだよ。すごく居心地が良いから、ここから動きたくないってモンスターも結構いるんだよね。まぁ、最終的には人間への興味の方が微妙に勝って、出入口に向かったりするんだけど、途中でやっぱりここに戻ってきたいって思って、往復しちゃう。フレウみたいに、ここに代わる拠点を見つけるモンスターもいるけどね」
「へぇー。冒険者が魔壁周辺で一番苦労する本当の理由が分かったぞ。単にモンスターの数が多いだけじゃなくて、その居心地の良さを損なってしまうから、モンスター軍団から袋叩きに会うってことか」

「死体や魔石は、モンスターによって綺麗に処理されるらしいよ。景観を損なうから。私は見たことないけど、魔壁に戻ってきたモンスターが気付いて、率先してやるんだって」
「うーん、怖くもあり面白くもある話だ……。さっきの話で、出入口が複数ある場合は、どうやって自分が行くべき道か分かるんだ? 本能的にそれが分かるんじゃないかっていうのが、俺達の見解なんだが」

「分岐点近辺には誰かしらいるから、『お前はこっちじゃない、そっち』って言ってくれるんだよ。別に縄張りでも何でもないんだけど、他のレベル帯のモンスターがいると、お互いにソワソワするんだよね。そういう意味では、本能的かな。ちなみに、圧倒的強者になると、そのソワソワはなくなる」
「なるほどなぁ。とりあえず、ここに留まっていたい気持ちは抑えて、他のモンスターのためにも、長居しないようにするか。オススメの鉱石とかあるか? 流石に短時間では分からないからな」

 すると、俺の問いに答えるように、フレウが蛇の姿のまま身体を伸ばし、顔と舌で、魔壁右横の天井付近に生えた、青く輝く、とある鉱石を示した。
 数が少ないわけではないが、極めて採りづらい位置にしか生えないようだ。

「あー、アレね。私もオススメかな。めちゃくちゃ硬くて、魔法を吸収するみたいなんだけど、それ以外の性質がよく分からないんだよね。あ、フレウが『毒も吸収しちゃうんだよ』って。へぇー。じゃあ、他に作用するものなら、何でも吸収できるのかな」
「俺は、モンスターも鉱石に興味があって、色々試してることに驚きだよ。しかし、よく考えてみると納得だ。それを使って、討伐されにくくできるもしれないからな。
 ただ、逆に一度でも討伐されてしまったら、それを人間に奪われ、利用されて、討伐されやすくなってしまうジレンマがある」

「流石、バクス。その通りだよ。モンスターによっては、その形状から持ち運びが難しい場合もあるからね。ポロッと簡単に落としちゃうかもしれないし。結局、モンスターの使用に適した鉱石は存在しないんだよ」
「でも、いいのか? 俺がそれを持ち帰ったら、モンスター側は圧倒的に不利になるかもしれないんだぞ」

「まぁ、ここまで来られたんじゃあ、いずれにしてもしょうがないんじゃない? それに、その鉱石は、そこに当たった分のものしか吸収しないから、完全な盾にはならないんだよね。もちろん、加工して繋ぎ合わせれば盾としては完璧だけど、加工するにしたって硬すぎるし、今はそんなに持てないでしょ? 吸収したものを、中から取り出すこともできないみたいだから、少なくとも遠距離武器にはならないし」
「分かった。『洞窟の主』がそう言うなら、遠慮なく採らせてもらおう。しかし、正直なところ、採り方が分からない。フレウに乗ってあそこまで行けたとしても、別の鉱石に囲まれて、つるはしを入れるスペースがないから、それだけを採るのは難しい」

「確かに、それはそうだね。私も分からないなぁ」
「小さくても、簡単に採取できればいいんだが……。まぁ、それに関しては、もっと近くで見てから考えてもいいか……。フレウ、頼む!」

 俺のお願いを聞き、フレウが首を下げてくれたので、俺とメムはそこに登り、首から頭に移動した。そして、目当ての鉱石に近づくと、隠れた部分に、鉱石から小さい鉱石が生えているのを見つけた。

「あの鉱石から生えた鉱石、採れるんじゃないか?」
「あー、アレは採れるね。洞窟Bでそういうのあったから。そこから切り離されても、またあとで同じ所から生えてくるんだよね。今考えると、この場合は、そこから採ってくださいと言ってるみたいだよね。
 ちなみに、欠片の方は、そのまま放置してたら消えるし、魔壁に放り投げても吸収されて消える。そういう意味では、長居自体が人間にとって意味がないのかもね」

「洞窟Bで魔壁に到達していれば、その経験が活きるということか……。経験していなくても、実際に間近で観察していれば気付くと……。これも設計者の思想か……? そう考えると、何かもっと特別な鉱石のような気がしてきたぞ。他にも似たような生え方の鉱石がないか探してみたい。
 それと、国に提出するための、その中でも比較的価値が低い鉱石も採っておかないとな。ママが昔持ち帰った『超純度プラチナ鉱石』がいいが、アレはどこにあるんだ? パッと見て見当たらないが」
「ふふふっ、バクスが子どもの時みたいに輝いた目してる。お金や地位や名誉なんて、眼中にないんだもんね。
 鉱石は少し入り組んだ所に生えていたりもするから、そこにあるんじゃないかな。危険な鉱石はここにはないから、安心して探すといいよ」

 それから俺は、フレウやメムの協力の下、持ち帰る量を考慮しながら、いくつかの鉱石を集めた。
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