俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど

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第二十九話……洞窟の守護獣が現れたんだが……

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 超純度プラチナ鉱石は、やはり隠れた場所にあったが、つるはしで採りやすかったため、少し多めに採取した。他に、綺麗だと思った鉱石を少量で二つ。あとは、魔壁左側の比較的採りやすい位置と、天井の極めて気付きにくく採りづらい位置に、先程と同じく、一部採りやすくなっている鉱石があったので二つ採取し、元の場所に戻ってきた。

「この天井にあった、めちゃくちゃ採りづらかった鉱石だが、色がどす黒いんだよな。最初は鉱石じゃないと思ったぐらいだ。魔壁左側にあったのは赤色だけど、中に黒い霧のようなものが、ゆっくり回転するように動いていて、魔壁右側にあった鉱石を近づけると、そっちに引っ張られるように、中の霧が少しだけ動く」
「へぇー、面白いね。鉱石が鉱石に作用するとは思わなかったなぁ。単に独立した物質だと思ってたから」
「その黒い鉱石だけど、毒を吹きかけると、その滴り落ちる毒が、さらに猛毒になるんだよ。人間の場合は匂いだけで死んじゃうんじゃないかな。私も怖いから、それっきりやってないけど」

 人間の姿のフレウが、鉱石を覗き込みながら、怖いことを言った。

「マジか……。かと言って、化学反応が起きているとは考えられないな。魔法を当てると増幅するとかでもないんだろ?」
「うん、特に何も起きない。硬度は他の二つと同じぐらい高いけどね」
「なんで毒だけ作用するんだろうね」
「うーん、流石にすぐには分からないな。ラウラに聞いてみればあるいは……。まぁ、とりあえず用は済んだから退散しよう。検証は後でもできる」

 そして、俺が床に並べた鉱石を一箇所に集め、採取用のリュックに詰めようとしたその時、赤青黒の三つの鉱石がビタッとくっつき、その中央の隙間から、大量の黒い霧が放出された。

「なっ……! 離れろ! 二人とも!」

 俺は何が起きたか一瞬理解できなかったが、すぐに危険を察知し、『ソレ』から離れ、他の二人に指示した。その指示とほぼ同時かそれより前に、素早く離れた二人も、すでに臨戦態勢に入っている。
 黒い霧は、しばらく放出を続け、それが終わるや否や、魔壁方向にものすごいスピードで吸い込まれて行った。

「何だったんだ、一体……。いや……これは……二人とも、魔壁からモンスターが出てくるぞ。おそらく、とてつもないレベルの……。絶対に目を逸らすなよ」
「う、うん……」
「でも、どうして……」

 フレウの疑問に対して、俺にはその理由の検討がある程度ついていた。黒い霧を放出した鉱石に一瞬だけ目をやると、三つの鉱石が互いに作用した結果、綺麗に輝く、成型された一つの宝石のようなものが出来上がっていた。
 おそらく、この宝石、この世に一つしかないものになるだろう。そう確信するほどの魅力が、目の端から絶えず入り込んでくる。
 今から出てくるのは、それを護る守護獣といったところか。

 それから十秒後、魔壁が強く光りだした。目が眩むほどの光ではないのが幸いだ。その奥の巨大なシルエットがよく見えるからだ。
 それは、明らかにドラゴンの形だった。ドラゴン自体は洞窟Aにも生息しているが、これほど巨大ではない。なぜなら、その大きさでは洞窟内を進めないからだ。完全にこの空間専用と言ってもいいサイズ感だ。

「メム、水の防御魔法を頼む! すぐに来るぞ!」
「うん!」

 メムの返事の一秒後、そのドラゴンは文字通り飛び出てきた。そして、いきなり炎のブレスを俺達に向かって吐き出してきた。
 メムの尻尾から放たれた水と風の同時複合魔法で、俺達の周囲に防御壁を張ってくれたおかげで何事もなかったが、殺る気満々だな。

「おい、お前! 念のために聞くが、俺達に戦う気がなくても、お前は戦うのか? 死ぬ覚悟はできてるってことか?」

 防御壁内からの俺の問いかけに対して、禍々しさを放つそのドラゴンは、思いっ切り息を吸って、再度ブレスを吐いたが、メムの防御壁の前に霧散した。聞く耳持たないか……。言葉は絶対に通じているはずだ。

「このブレス、おそらく毒も混ざってるな。これが言葉の代わりってわけじゃないよな?」
「うん、特に何も言ってないね。お互いに通じてないこともないと思う。殺していいと思うよ」
「私の毒は間違いなく効かないと思う。でも、スキルを使って、特攻のアシストはできるよ」

 二人の返事を聞くと、俺はドラゴンに聞こえない声量で、これからの作戦を早口で伝えることにした。

「よし、ブレスを吐くタイミングは見切った。ただ、ブレス自体はこいつのフェイクで、実体は魔法だ。体中の至る所から、それを同時に放てる前提でかかる。
 俺のかけ声でフレウが蛇に変身すると同時に、俺をドラゴンの鼻に向かって押し出してくれ。鼻の穴から脳に向かって切り通す。できれば舌で俺の背中に触れたまま、ブレスを受けたら即座に治してほしい。俺も魔法を使って、フレウまで包める防御壁を展開するが、もしフレウも攻撃を食らったら自分自身を治してくれ。
 その間、メムはフレウの影で猫になり、密かにドラゴンの腹の下に潜って、腹から心臓にかけて切り裂くか、魔法を叩き込んでほしい。腹の下からブレスが来る可能性は限りなく低いからだ。
 その一連の攻撃で仕留め切れなかったら、メムがまた防御壁を展開、そこに集まり、作戦を練り直す。
 それともう一つ。俺がここまで長々と話しているのに、一切物理攻撃を仕掛けてこない。これもフェイクだ。自分が『ブレス馬鹿』だと思わせている。近づいたら、頭、腕、足、翼、尻尾、全て使って攻撃してくる可能性が高くなった。特に攻撃スピードに注意だ。各自、臨機応変にそれを躱して反撃してくれ。次にブレスが止んだら行くぞ。
 以上!」
『了解!』

 間もなく、ドラゴンのブレスが止み、俺達は作戦を行動に移した。
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