俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど

文字の大きさ
31 / 36

第三十一話……獲得したご褒美を検証したんだが……

しおりを挟む
 フレウの拠点である湖に予定通り到着した俺達は、湖の毒をどうやって処理するか、俺の腹案を披露するべく、湖前に集まった。

「改めて見ると、すごい色だな。しかし、匂いが全くない。気体を吸い込んで死ぬこともないんだよな?」
「うん。私、匂いのある毒って好きじゃないから、あんまり体内で作らないんだよね。無臭の場合は、時間稼ぎのフェイクにも使えるから、一石二鳥だし」
「これ、一滴でも浴びたら、そこからどんどん侵食していって死んじゃうんでしょ? エグイよね。酸とも違うらしいし」

「酸でもなく、湖底や岩壁にも影響がないとしたら、生物にのみ効果を発揮するってことか。まぁ、それがまさに毒なわけだが……。
 とりあえず、さっき話した通り、試したいことがあるんだ。この宝石なんだが、まだ吸収作用は残ってると思うんだよ。全部集めて機能が退化するわけないし、場合によっては進化してるんじゃないかと思ってな。フレウのスキルでも可能だと思うが、まず先にやってみたい」
「うん、いいよ」
「どんな感じなんだろうね。浸けるだけなのか、宝石に命令するのか、それとも考えるだけでいいのかな」
「後者からやってみるか。フレウは真ん中に立って、俺とメムに触れていてくれるか? 何かあれば回復してくれ」

 フレウの頷きの後、俺は宝石と首の輪の繋ぎ目を摘み、前に掲げた。そして、毒を吸収するように念じた。

「あ、すごい! 毒が集まってきた!」

 メムの言葉通り、俺達の目の前で、毒がとてつもないスピードで集まり、その勢いのまま、毒飛沫もなく宝石に吸い込まれて行った。
 そして、毒が消えたことにより、湖は透明な美しい姿へと戻ったようだ。

「思った通りだな。だが、これは……」
「宝石の中に毒が見えるね」
「また出せるんじゃないかな?」

 メムの言う通り、宝石に吸収された毒は、正八面体の対角線を全て結んで区切られた、八つの空間の内の一つに収められていた。このことから、少なくとも八回は吸収できそうだ。
 そして、フレウの言う通り、それをまた中から取り出せると確信できる。

「出してみるか。さっきと同じ位置についてくれ」

 二人が位置についたことを確認すると、俺は先ほどと同じように宝石を前に掲げ、毒を放出するように念じた。
 すると、湖の奥に向かって、宝石から勢い良く毒が放出された。その際の飛沫は全くかからないようだ。一応、その放物線を操作できないかと念じてはみたが、それはできなかった。

「すごいな……。体積とか関係なく吸収できて、放出できるのか。どういう仕組みかは、神様の創造物だから置いておくとして、生物を吸収したらどうなるか気になるな……。それが成功すれば、容易にフレウを洞窟外に連れ出せる」
「いいよ、バクス。私で試して。スキルがあれば大丈夫だよ」

 フレウが検証を申し出てくれたが、流石にそれは許可できない。

「ダメだ、危険すぎる。そのスキルが、死んでもそのまま生き返すことができるのならまだしも、そんなことできるわけがないし、それができるとしたら、この宝石も元の状態に戻せるはずだ。神様の力は関係なく。ちょっとやってみてくれ」
「う、うん……」

 フレウが宝石に触れ、十秒ほど経ったが、何も起きなかった。

「やっぱり、バクスが言った通り、できないんだ……」
「だとしたら、そのスキルでは、毒の湖も元の状態に戻せなかったってことになるんじゃない? 時間が経って、もう完全に混ざっちゃってたから。今はまた状況が違うから、試しても意味ないし。
 でも、私の感覚だけど、そうは思えないんだよね。バクスだって、毒の湖ならフレウのスキルで何とかなると思ってたでしょ? その毒が、たとえ塩でもミルクでもさ」
「そうなんだよなぁ……。よし、やっぱりここは初心に立ち返って、一歩一歩行こう。まずは、フレウのスキルを九割以上把握した方が良い。ここにイシスがいれば、それも簡単だったが仕方がない。時間はたっぷりあるから、焦らずやればいい。
 次に、その辺のモンスターには悪いが、スキルの残課題や、宝石の実験台になってもらう。その順序が逆だと、モンスターを無駄に殺しかねないから、これでいいはずだ」
『了解!』

 それから、俺達は検証を開始した。



 そして、フレウのスキル検証の結果、次のことが判明した。
 体の中に入った物や、体の中から出た物が元の場所に戻るわけではない。
 ただし、体調を害するような物や量が入った場合は、それが取り除かれ、どこかに消える。体調も回復する。出血多量は試していないので分からない。
 傷は回復する。痛みもなくなる。骨折や切断は試していない。
 体力も回復する。当然、筋肉痛や息切れも回復する。汗も消える。
 眠たくなることもない。
 対象は生物だけでなく、例えば服の汚れについても同様に取り除くことができる。
 以上を、そっくりそのまま、害のある状態に戻すこともできる。
 戻す程度も調整できる。
 これらのことから、不老不死が実現できるかどうかは分からない。まぁ、神様が許さないだろうからできないと思う。じゃないと、老衰まで生命を保証するとは言わないはずだから。

「……まとめると、こんなところか」
「『絞り尽くされることがない。絞りも勢いも衰えることがない』が入ってないけど」
「一日中、バクスを肌で感じることができて幸せだったなぁ……。初めてであんな経験したら、この先どうなっちゃうんだろう」

「いや、あれはメムの良い匂いと、フレウの媚薬が影響してるかもしれないから……」
「関係ないよね?」
「うん。ほんの景気付け程度だったし」

「何をどの状態に戻すか選べるか検証するためのものが、逆に仇となったんだよ! きっと……多分……」
「じゃあ、もう一回しようか。バクスだって、『気持ち良すぎて、ずっとこうしていたい。二人が気持ち良くなってる顔を見ると、もっと気持ち良くなれる』って言ってたし」
「賛成ー」
「メム、アイツらの真似して捏造を混ぜるな! 俺の記憶にも刷り込むんじゃないぞ! はぁ……俺は、またも性欲モンスターを生み出してしまったか……。
 いや、でも驚きなのは、この湖だ。解毒が可能だとは思っていたが、まさかフレウのスキルのような性質を持っている回復の湖だったとはな。逆にそのことが、フレウのスキルに影響したのかもしれない。
 それが毒の湖になるということは、フレウの毒の量がハンパないか、フレウが快適に感じるように変化してくれたか。後者の可能性が高い気がする」

 湖の毒は、宝石に再度吸収させた。また、いずれ役に立つかもしれないということで、その回復の水も一定量吸収させた。宝石から出すものは選択でき、量も調整できることは確認済みだが、どちらもこの先、使い切ることはないぐらいの量を得た。

「人間にとっては、トイレ代わりになるのも良いよね」
「湖に怒られそうで気が引けるが……。モンスターはトイレに行かないんだったな。生物の構造はしてるから、魔石が吸収してるんじゃないか? それしか考えられない」

「そうかもね。そういう感覚はないけど」
「でも、割ってみても、ただの石なんだよね? その吸収したものはどこに行くのかな? 私のスキルと同じ所に行くのかな?」
「神のみぞ知る、だろうな。もしかすると、その性質を最大限に活かすスキルがあるかもしれない。ただ、ある意味、この宝石がそれに近い気はするから、少なくともこの世界には、そういうスキルは存在しないのかもしれない。異世界なら分からないが……まぁ、答えは出ないよ」

「最終的には、モンスターになる可能性の方が高いんじゃない? あの黒い霧みたいに。魔壁の中にそれが転移されて、モンスター化するとか」
「じゃあ、私のスキルを使ったら、モンスターが増えるってこと?」
「仮に増えても、誤差だから問題ないんじゃないか? モンスターを討伐するからモンスターが生まれる説があるんだが、そうなると、スキルを使うからモンスターが生まれる説も考えられるな。物理現象を明らかに超えているスキルに関しては。
 もしかすると、魔法もそうなのかもしれないが、仮に本当だとしても、それらは人間の存在すら否定することになるから、有力な説になることはないだろう」

 時折、『うーん』と俺達は唸り、議論に花を咲かせていた。全員、全裸だったことは忘れて……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...