ソウルウォーク ★魔都

神嘗 歪

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序章:現代の最強陰陽師は、こんなヤツです f(^_^)

「うん。いいこと、思いついちゃった☆」

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まず始めに明星こと道川みちかわ  明星みょうじょうは【陰陽師】である。

それも長い歴史上でも五本の指に入るほどの能力の持ち主で、この現代においては自他共に認める最強の称号の陰陽師だ。

……ただまあこの御時世、陰陽師なんて者は絶滅危惧種であって、陰陽師と名乗っている者・それに類似する霊媒師・徐霊師・祈祷師に「本物」は極わずかしかいない。

「本物」であってもその力は微々たるモノで、明星と比べると大人と子供…いや、鯨とミジンコほどの差がある。

それでも『今まではよかった』。

陰陽師という能力を活かす場など無いほど時代は『平和』が続き、人々は魑魅魍魎の存在を空想上だけのこととして信じなくなった。

それが証拠に、他国の神すら取り込み八百万やおろずの神がいると言われていたこの島国は、今や人気が無くなった神社仏閣から廃業となって、減少する一方だ。

要因としては、人々の目に視えぬモノへの「恐れ」が薄くなったことで、信仰の弱体化が進んだからだろう。

それは国を司る政府内でも同じだ。

昔々、平安時代では、陰陽師は政府内の役職として召し抱えられていた。



まだその頃は光と闇の境界線があやふやで、魑魅魍魎が脅威となっていたからだ。

だから神事に膨大な国家予算を割くことも、有能な陰陽師の養育も、政府の仕事として『普通』に行われていた。

でも大きな戦争をへて日本は『平和』を構築し、明治時代まではなんとか繋いできた霊的神事にも重要性の重きをおかなくなった。

そこから一気に霊的能力者が衰退していく…。


けれど近年になって、何故か国内で奇妙で広範囲な怪奇現象が続発するようになった。

政府はその怪奇現象を秘密裏に調査し、それが魑魅魍魎のモノによる仕業と解った。…だが、時はすでに遅かった。

衰退した霊的能力者に、それらに対応できるほどのエキスパートは………明星しかいなかったのだ。


ーー…
「こんな青二才を持ち上げなくてはいけなくなったのは、長年における『貴方たちの無知で愚鈍が引き起こった事だ』。それを棚にあげ、『私一人』に丸投げした人たちに愛国心をとやかく言われたくは無いね。」



ここまで説明すれば、意味不明だったこの明星の言葉も理解できるのではないだろうか。

そう明星は、現代における唯一の宮使いの陰陽師にして、かしらのすげ替えがきく総理大臣よりも稀少な人材というわけだ。


「ゲームがしたいッ!したいッ!したいッ!したいッ!したいッ!したあ~~~いぃッ!!…………………ツッ☆」

その明星が、不意に高速でジタバタさせていた手足をピタッと止めた。

どうやら何か『思いついた』らしく、切れ長の目が大きく見開く。そしてその顔はニヤ~~~ァと悪魔的笑みへと変わっていった。



それを見ていた藤原総理含め議員全員、嫌~~~~ぁな予感しかしない。

そんな人たちに対し明星は顔を向け…。



「うん。いいこと、思いついちゃった☆  皆~ぁ、手伝ってくれるよねっ?」



…と、「絶対、否定など許さない」といった爽やかな笑顔で小首を傾げてみせた。





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