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一章:どうやら俺は「巻き込まれ体質」のようで…
「「仲間はずれ」とか、寂しがり屋かッ、お前はッ!」
しおりを挟むガツンッ!!
襲いかかってきた拳たちが刀夜に届く前に、そのうちの一人の顔面に竹の棒の先が凄い早さで突き刺さる。
「ハッ、ガァッッ!?」
竹の棒により、団子鼻がへしゃげる。その勢いはそこで止まらず、体全体を後ろに仰け反らした。
残った三年生たちは驚きのあまり刀夜に襲いかかるのを忘れ、鼻を押さえ倒れている仲間を見る。そして今度は、その襲撃してきた竹の棒をたどるように顔をあげた。
竹の棒は刀夜の左肩あたりから伸びている。
けれど竹を持っているのは刀夜ではなく…。
「俺を仲間はずれにして、楽しいこと始めてんじゃねぇよッ。」
…何故かキレ気味の雪人だった。
それを見た三年生たちは「てめぇ…ッ!」と吠えようとしたが、それを遮って…。
「ユキのアホタンッ!人が事を納めようとしてるのに、なに手ぇ出してんのッ!?それに「仲間はずれ」とか、寂しがり屋かッ、お前はッ!!」
「何で怒ってんだよ、刀夜?助けてやったんだから、そこは「雪人様、ありがとうございます」じゃねぇ?」
振り向きながら怒鳴る刀夜に、不思議そうな顔をする雪人。まったく意見が噛み合わない。
「助ける云々言う前に、だったら俺をモメ事に巻き込むなッ!」
「イヤイヤ、またまた~ぁ。そんなこと言って、俺が心配でついてきたクセに~ぃ。」
「ッんなわけあるかぁッ!!」
……やっぱり噛み合わない。
まるで漫才のような二人のボケツッコミを呆然と見ていた三年生たちだったが、ハッと我に返った。
「よくもやりやがったなッ!」
思い出したかのように襲いかかる三年生たち。今度は刀夜と雪人、同時にだ。
すると雪人は慌てる様子もなく、それどころか何故か嬉しそうに、利き手とは反対に持っていたもう一本の竹の棒を「ほいっ。お前の分。」と言って、刀夜に向かって投げる。
刀夜は、「こうなったら、しょうがない」とばかりに溜め息混じりに素早く片手で受け取った。
二人が得物を持ったことで少し怯む三年生たち。けれど、相手はガタイの細い年下のガキ。力も場数も自分たちのほうが勝っていると、瞬時に判断した。
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