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転生の章 幼児篇
第4話 今日のできごと
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酒に酔った父は手招きをしてボクを呼んだ。
「チャブチ! 坊主! ここへ……来い! ヒック!」
戦士たちも手を叩いてボクを迎えた。
そこは上席も上席。若い戦士なんか近づけない場所。
だけどボクは父に呼ばれて進んでいった。
「坊主。お父さんの膝に座れ。羊の脳みそ食うか?」
「うん。たべりゅ~。」
その料理は父の好物で特別なものらしい。
父とその側近しか箸を付けていないものをボクは味わった。
父の膝に座り、父の前にある他の料理にも手を伸ばして食べた。他の戦士たちもうれしそうにその姿を見ていた。
「チャブチくん。お父さんは今日は一つの人間の砦を落としたよ」
「ふーん。そーなんだぁ~」
「ハハ! 分かってない! 分かってない」
「ブラウン将軍は、オーク族でも落とせなかった砦を落としたんだよ?」
よく分からないが大変な盛り上がりだった。
人間の砦を落とすということは生半可なことではないらしい。堀で囲まれ、石の壁がある。先に怪力のオーク族が攻めたが、敗走しその後、わずかなコボルド族で攻め落としたらしい。これによってさらにコボルド族の権威が上がると言っていた。
その落とした砦にはゴールド隊長が入って次の拠点とするようだった。近々コボルド族はそこに入って暮らすらしい。
「魔王様から砦を頂ければ生活が楽になる。といってもわからんか?」
「うん。わかんない」
「ふふ。まぁ、チャブチにも弟か妹が増えるってことだ」
「そーなの? あのねー! あのねー! ボク、弟がいい!」
父は、そう言うボクの頭をガシガシと撫でさすった。
「はっはっはっは! そーか! そーか! ではお母さんに頑張ってもらわねばな!」
大きな声で笑うと戦士たちもみんなで笑っていた。
祝勝の宴が終わりみんなめいめい自分の家に帰って肘枕でグゥグゥ寝てしまった。
ボクは父の肩の上に乗せられて家に帰って行った。やっぱり将軍の家だ。大きめの簡素なテントだけど寝台もあって広い。
「坊主は今日は何をやって遊んでいたんだ?」
「うん。チャンチャンバラバラとか石投げとか」
「おお! 結構結構! さすが将軍の息子!」
そしてボクを強く抱きしめ頬ずりをした。
チャンチャンバラバラとは棒切れで叩きあう遊びのことらしい。
「それとね~。人間に殴られた」
それを聞くと途端に、真剣な顔になる父。
「どういうことだ?」
「うん、平地に花摘みに行ったら人間の子供に捕まっちゃってバンバン! って!」
「な! なに!!」
父は、ボクを抱えて大粒の涙をボロリボロリと流し憤慨した。
「くそ! 人間めぇ! チャブチを怖い目に合わせおって! 許せん! 許せん!」
と大変な激高だった。そんな父の肩を母はポンと叩いた。
「将軍様。いけません。興奮は軍を滅ぼします」
母の言葉に父は急いで涙を拭いて、大きく深呼吸。少しばかり天を仰いで大きく息を吐き出した。
「そうであった」
そう言った後で立ち上がり、家の中をグルグルと歩き回った。
それは冷静さを取り戻すためなのか、考え事をするためなのか?
「ふぅ。少し落ち着いたわい。坊主、しかしよくぞ無事で」
「うん。人間のおじさんがお金を払って助けてくれた」
「な、なんだと? そ、それで?」
「うん。それで逃がしてくれたよ」
しかし、父の真剣な顔は収まらない。
その真剣な顔は鬼気迫るというか怖ろしさを含んでいるようだった。
「何か言ってなかったか? どういうおじさんだった?」
「うん、住んでるところはどこかとか聞いて来た。赤いマントを着てた」
「言ったのか? この場所を……」
「うん、言ったよ」
母はボクの体を抱いた。ボクは夜の眠たさも手伝ってそのまま眠ってしまった。
父、ブラウン将軍は家を出て、主な戦士たちを集めた。
戦士たちは眠い目をこすりながら先はどの宴をしていた集落の中央に集まった。
「どうやら、人間の戦士が我らの集落を襲うかもしれん」
「え? どういうことですか?」
「うむ。チャブチが平地に出たときに赤マントの男と出会ったという。それにこの地を言ってしまったらしい」
「な、なんですと!」
「うむ。スマン。ワシの不明だ。しかし、言ってしまったものは仕方がない。ブラックとグレイは夜襲に備えて集落の四つ角を交代制で見張らせてくれ。何かあったらすぐ知らせよ。数日のうちに集落の移動を開始するがその前に襲撃されたらたまらんからな。当番に当たっていないものはこのまま休め」
「はい!」
すぐさま、ブラックとグレイという二人によって見張りが編成された。
集落の四つ角の櫓に登って夜を徹して見張りをするという算段だ。
「チャブチ! 坊主! ここへ……来い! ヒック!」
戦士たちも手を叩いてボクを迎えた。
そこは上席も上席。若い戦士なんか近づけない場所。
だけどボクは父に呼ばれて進んでいった。
「坊主。お父さんの膝に座れ。羊の脳みそ食うか?」
「うん。たべりゅ~。」
その料理は父の好物で特別なものらしい。
父とその側近しか箸を付けていないものをボクは味わった。
父の膝に座り、父の前にある他の料理にも手を伸ばして食べた。他の戦士たちもうれしそうにその姿を見ていた。
「チャブチくん。お父さんは今日は一つの人間の砦を落としたよ」
「ふーん。そーなんだぁ~」
「ハハ! 分かってない! 分かってない」
「ブラウン将軍は、オーク族でも落とせなかった砦を落としたんだよ?」
よく分からないが大変な盛り上がりだった。
人間の砦を落とすということは生半可なことではないらしい。堀で囲まれ、石の壁がある。先に怪力のオーク族が攻めたが、敗走しその後、わずかなコボルド族で攻め落としたらしい。これによってさらにコボルド族の権威が上がると言っていた。
その落とした砦にはゴールド隊長が入って次の拠点とするようだった。近々コボルド族はそこに入って暮らすらしい。
「魔王様から砦を頂ければ生活が楽になる。といってもわからんか?」
「うん。わかんない」
「ふふ。まぁ、チャブチにも弟か妹が増えるってことだ」
「そーなの? あのねー! あのねー! ボク、弟がいい!」
父は、そう言うボクの頭をガシガシと撫でさすった。
「はっはっはっは! そーか! そーか! ではお母さんに頑張ってもらわねばな!」
大きな声で笑うと戦士たちもみんなで笑っていた。
祝勝の宴が終わりみんなめいめい自分の家に帰って肘枕でグゥグゥ寝てしまった。
ボクは父の肩の上に乗せられて家に帰って行った。やっぱり将軍の家だ。大きめの簡素なテントだけど寝台もあって広い。
「坊主は今日は何をやって遊んでいたんだ?」
「うん。チャンチャンバラバラとか石投げとか」
「おお! 結構結構! さすが将軍の息子!」
そしてボクを強く抱きしめ頬ずりをした。
チャンチャンバラバラとは棒切れで叩きあう遊びのことらしい。
「それとね~。人間に殴られた」
それを聞くと途端に、真剣な顔になる父。
「どういうことだ?」
「うん、平地に花摘みに行ったら人間の子供に捕まっちゃってバンバン! って!」
「な! なに!!」
父は、ボクを抱えて大粒の涙をボロリボロリと流し憤慨した。
「くそ! 人間めぇ! チャブチを怖い目に合わせおって! 許せん! 許せん!」
と大変な激高だった。そんな父の肩を母はポンと叩いた。
「将軍様。いけません。興奮は軍を滅ぼします」
母の言葉に父は急いで涙を拭いて、大きく深呼吸。少しばかり天を仰いで大きく息を吐き出した。
「そうであった」
そう言った後で立ち上がり、家の中をグルグルと歩き回った。
それは冷静さを取り戻すためなのか、考え事をするためなのか?
「ふぅ。少し落ち着いたわい。坊主、しかしよくぞ無事で」
「うん。人間のおじさんがお金を払って助けてくれた」
「な、なんだと? そ、それで?」
「うん。それで逃がしてくれたよ」
しかし、父の真剣な顔は収まらない。
その真剣な顔は鬼気迫るというか怖ろしさを含んでいるようだった。
「何か言ってなかったか? どういうおじさんだった?」
「うん、住んでるところはどこかとか聞いて来た。赤いマントを着てた」
「言ったのか? この場所を……」
「うん、言ったよ」
母はボクの体を抱いた。ボクは夜の眠たさも手伝ってそのまま眠ってしまった。
父、ブラウン将軍は家を出て、主な戦士たちを集めた。
戦士たちは眠い目をこすりながら先はどの宴をしていた集落の中央に集まった。
「どうやら、人間の戦士が我らの集落を襲うかもしれん」
「え? どういうことですか?」
「うむ。チャブチが平地に出たときに赤マントの男と出会ったという。それにこの地を言ってしまったらしい」
「な、なんですと!」
「うむ。スマン。ワシの不明だ。しかし、言ってしまったものは仕方がない。ブラックとグレイは夜襲に備えて集落の四つ角を交代制で見張らせてくれ。何かあったらすぐ知らせよ。数日のうちに集落の移動を開始するがその前に襲撃されたらたまらんからな。当番に当たっていないものはこのまま休め」
「はい!」
すぐさま、ブラックとグレイという二人によって見張りが編成された。
集落の四つ角の櫓に登って夜を徹して見張りをするという算段だ。
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