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第19話 親密秘話
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あれから数日。
私とラースは大きな岩の上にいる。私は岩の上に座り、ラースは背中から抱くように密着して座っているのだ。彼は私の肩の上にあごを乗せて耳元でこそばゆく呟く。
「ほらルビー。もっと強く竿を握って」
呼び捨てにしてるのを聞けば、さらに親密になっているのが分かるだろう。私は言われたとおりに竿を強く握る。その上にはラースの堅く握られた手。
「だめよぅ。大きすぎるわ」
「大丈夫、大丈夫。私に任せて」
ラースの密着度が更に増す。
しばらく奮戦格闘の末、川の中から大きな魚を釣り上げた。
これだけ大物をとれば大丈夫であろう。
ラースはその大魚を縄で縛り、肩に下げる。
「さあルビー。戻ろう」
「ええ、そうねラース」
私たちは呑気に見えるが未だに敵地の中にいる。
戻っていく集落は小人だらけの村。なぜここにいるか説明しなくてはならない。
◇◇◇◇◇◇
私は治癒魔法を使い、疲れてしまいラースの背中へと倒れ眠ってしまった。ラースがこの後目を覚ましたのはしばらく経ってからだ。そこに敵が来なかったのはラッキーであった。
ラースは目を覚まし、自分の傷が塞がっていることに驚いた。
「う……。い、痛くない。矢は? どこへ行った? 傷は? 姫は?」
ラースの背中には私。ラースはそれを大事そうに抱える。
「敵はどこに行った? でも姫が無事で良かった。しかしなぜ姫は私の背中に倒れているんだ。それに私が無傷なのはどうしてだ?」
ラースはしばらく考えていたが私を毛布でくるみ、自分は鎧とマントを着用した。そして見つけた。黒焦げになった魔物の遺体。
ラースは驚き私を見る。
「まさか姫が? ボルを使って?」
ラースの中で、線と線が繋がる。
なぜ敵がいないのか。なぜ自分の傷がなくなっているのか。なぜ私が疲れて寝てしまっているのか。
ラースは私の顔を覗き込み、涙を流す。
「そんな……まさか姫が敵を倒し、私の見よう見まねで治癒魔法を使ったというわけか? 何ということだ。姫を助けに来て、姫に助けられるとは。最初は貴族のお姫様にありがちな高飛車なかたかと思ったのにそうじゃない。姫は、こんな卑しい私を助けてくれた。姫。私は姫から恋心を捨てなくちゃならないと思いました。なぜなら身分が違うからです。陛下が認めても、他の貴族の方はお認めにならないでしょう。しかし、私は今本気で姫を好きです。愛しています。どんなことがあっても、生涯姫と一緒にいたい……」
ラースは寝ている私を強く抱きしめる。
「コホ……苦しいわよラース」
ラースは驚いて真っ赤な顔をして身を引いた。
「ひ、姫! 起きてらっしゃったんですか!? ふ、不覚!」
「なーにが不覚よ。どさくさ紛れで私を抱いたわね」
「いやぁ、その。はは」
ラースのごまかし笑い。私も共に笑った。
「ラースの告白聞いちゃったわよ」
「い!?」
「なにが『い!?』よ。ふふ。ラースは私のことが好きなのよね」
「いえ、あの。聞いてらした……。どの辺からですか?」
「そうね。そんなまさか姫が敵を倒したってとこからかしら?」
「ちょっ! ほぼ全部じゃないですか」
「うふふ。ラースはやっぱり私のことが好きなのね」
ラースはモジモジと下を向きながら応える。
「は、はい……。畏れ多いことですが」
「私も好きよ」
「え?」
「だから自信を持ちなさい。二人は愛し合ってるのよ。あなたは国に帰れば英雄。国民に讃えられなが帰国よ。お父様から私を嫁にしたいとちゃんとおっしゃっい」
「は、はい」
「なによそれ。ウジウジしちゃってさ。ホントはもっとカッコいいくせに」
「い、いえ、そんな、滅相もございません……」
「ちょっと。ちょっと。だからさ。これから上下なしで話しましょうよ」
「え。しかし、身分も違いますし、歳も私の方が下ですし」
「だって将来、夫婦になるのよ? 長い人生、歳が上とか下とか関係無いわよ」
「そうですかねぇ」
「ほら、ルビーと呼んでご覧」
「え? いやそれはさすがにィ~」
「いいから呼びなさいよ。これから部屋で二人きりの時にも姫と呼ぶの?」
「二人きり……部屋の中で……」
ラースの動きが止まる。そして、必死に押さえ込もうとしているがニヤけた顔。彼は自分を正気に戻すために頬を二三度叩いた。
「ル、ルビィ」
「そう。いいじゃない」
「ルビー」
「なぁにラース」
「はは。ルビー!」
ラースは私の近くに寄って腰を抱く。
見つめ合う二人。
「正直に言うよルビー。あの音を感じる魔物の時のキス。本当はルビーとキスがしたくてやったんだ」
「やっぱりね。もういいわよ」
「そして今も」
「ん?」
「いいかな?」
「しょうがないなぁ~」
ラースは私に顔を近づけて唇を奪う。
それはそれは情熱的に。
私とラースは大きな岩の上にいる。私は岩の上に座り、ラースは背中から抱くように密着して座っているのだ。彼は私の肩の上にあごを乗せて耳元でこそばゆく呟く。
「ほらルビー。もっと強く竿を握って」
呼び捨てにしてるのを聞けば、さらに親密になっているのが分かるだろう。私は言われたとおりに竿を強く握る。その上にはラースの堅く握られた手。
「だめよぅ。大きすぎるわ」
「大丈夫、大丈夫。私に任せて」
ラースの密着度が更に増す。
しばらく奮戦格闘の末、川の中から大きな魚を釣り上げた。
これだけ大物をとれば大丈夫であろう。
ラースはその大魚を縄で縛り、肩に下げる。
「さあルビー。戻ろう」
「ええ、そうねラース」
私たちは呑気に見えるが未だに敵地の中にいる。
戻っていく集落は小人だらけの村。なぜここにいるか説明しなくてはならない。
◇◇◇◇◇◇
私は治癒魔法を使い、疲れてしまいラースの背中へと倒れ眠ってしまった。ラースがこの後目を覚ましたのはしばらく経ってからだ。そこに敵が来なかったのはラッキーであった。
ラースは目を覚まし、自分の傷が塞がっていることに驚いた。
「う……。い、痛くない。矢は? どこへ行った? 傷は? 姫は?」
ラースの背中には私。ラースはそれを大事そうに抱える。
「敵はどこに行った? でも姫が無事で良かった。しかしなぜ姫は私の背中に倒れているんだ。それに私が無傷なのはどうしてだ?」
ラースはしばらく考えていたが私を毛布でくるみ、自分は鎧とマントを着用した。そして見つけた。黒焦げになった魔物の遺体。
ラースは驚き私を見る。
「まさか姫が? ボルを使って?」
ラースの中で、線と線が繋がる。
なぜ敵がいないのか。なぜ自分の傷がなくなっているのか。なぜ私が疲れて寝てしまっているのか。
ラースは私の顔を覗き込み、涙を流す。
「そんな……まさか姫が敵を倒し、私の見よう見まねで治癒魔法を使ったというわけか? 何ということだ。姫を助けに来て、姫に助けられるとは。最初は貴族のお姫様にありがちな高飛車なかたかと思ったのにそうじゃない。姫は、こんな卑しい私を助けてくれた。姫。私は姫から恋心を捨てなくちゃならないと思いました。なぜなら身分が違うからです。陛下が認めても、他の貴族の方はお認めにならないでしょう。しかし、私は今本気で姫を好きです。愛しています。どんなことがあっても、生涯姫と一緒にいたい……」
ラースは寝ている私を強く抱きしめる。
「コホ……苦しいわよラース」
ラースは驚いて真っ赤な顔をして身を引いた。
「ひ、姫! 起きてらっしゃったんですか!? ふ、不覚!」
「なーにが不覚よ。どさくさ紛れで私を抱いたわね」
「いやぁ、その。はは」
ラースのごまかし笑い。私も共に笑った。
「ラースの告白聞いちゃったわよ」
「い!?」
「なにが『い!?』よ。ふふ。ラースは私のことが好きなのよね」
「いえ、あの。聞いてらした……。どの辺からですか?」
「そうね。そんなまさか姫が敵を倒したってとこからかしら?」
「ちょっ! ほぼ全部じゃないですか」
「うふふ。ラースはやっぱり私のことが好きなのね」
ラースはモジモジと下を向きながら応える。
「は、はい……。畏れ多いことですが」
「私も好きよ」
「え?」
「だから自信を持ちなさい。二人は愛し合ってるのよ。あなたは国に帰れば英雄。国民に讃えられなが帰国よ。お父様から私を嫁にしたいとちゃんとおっしゃっい」
「は、はい」
「なによそれ。ウジウジしちゃってさ。ホントはもっとカッコいいくせに」
「い、いえ、そんな、滅相もございません……」
「ちょっと。ちょっと。だからさ。これから上下なしで話しましょうよ」
「え。しかし、身分も違いますし、歳も私の方が下ですし」
「だって将来、夫婦になるのよ? 長い人生、歳が上とか下とか関係無いわよ」
「そうですかねぇ」
「ほら、ルビーと呼んでご覧」
「え? いやそれはさすがにィ~」
「いいから呼びなさいよ。これから部屋で二人きりの時にも姫と呼ぶの?」
「二人きり……部屋の中で……」
ラースの動きが止まる。そして、必死に押さえ込もうとしているがニヤけた顔。彼は自分を正気に戻すために頬を二三度叩いた。
「ル、ルビィ」
「そう。いいじゃない」
「ルビー」
「なぁにラース」
「はは。ルビー!」
ラースは私の近くに寄って腰を抱く。
見つめ合う二人。
「正直に言うよルビー。あの音を感じる魔物の時のキス。本当はルビーとキスがしたくてやったんだ」
「やっぱりね。もういいわよ」
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「ん?」
「いいかな?」
「しょうがないなぁ~」
ラースは私に顔を近づけて唇を奪う。
それはそれは情熱的に。
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