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デスキング
第24話 デスキングの逆讐
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その光に気付いたグレイブ。その光の方向には土の巨人。
すばやく風の精霊カヴェルーネのボトルの蓋に指をかけた。
そして、バザルっ子たちの方に顔を向ける。
「おい。キミたち。あの巨人を倒したらいくらくれる?」
バザルっ子たちは顔を見合わせた。この賞金稼ぎを満足させる金なんて出せっこない。
しかし、リーダー格の男が声を張り上げた。
「10万ケラマンです!」
「わかった。行き掛けにいい稼ぎになる!」
グレイブはカヴェルーネの蓋を指ではじいた。勢いよく吹き出てくる、風の精霊カヴェルーネ。
その竜巻の中心に乗り込んだ。
不死の刺客セイバーは、余裕にグレイブの部屋の様子を見ていた。
恐怖に固まっている。この巨人の巨大な腕を振り下ろせばグレイブは一巻の終わり。
後は、がれきの中からグレイブの遺体を引き出して首を刈ってしまえばお終いだ。
しかし、抵抗するか? 巨人の体に取りすがってくるだろうか?
そしたら、両手がふさがっているから飛べる自分は背後から攻撃してしまえばいい。
そんなことを笑いながら考えていた。
しかし、グレイブは部屋の窓から竜巻に乗って飛び出してきたので驚いた。
「なに!?」
セイバーの高い声が夜空に響いた。
早い。早い。
そのまま、巨人に近づいて自慢の大剣で首をひと薙ぎ。
「ごぉぉおおん」
巨人は一声鳴いて、首を落とす。しかし、まだ動いている。
巨大な手がグレイブの竜巻を追いかけるが、遅い。手を伸ばした反動でのろまな巨人は森の方向に倒れ込んでしまうと、ドシャリと土の山と変貌した。
セイバーの体は投げ出されたが、ヒラリと飛び上がり美しく着地した。
「へぇ! 空も飛べるのかぁ! ますます殺したくなってきた!」
セイバーはそう言いながら自慢のボトルの蓋をあける。そこに土の山は吸い込まれるように入っていった。
その頃、グレイブとカヴェルーネは町を抜けて深い森の中だ。
誘拐した者は許さない。グレイブは歯ぎしりをした。
光の上がった目的地だ。上空から下を臨むと、丸い形に木々が倒れて行く。
「なんだ?」
そのなぎ倒された木々の中心には、黒い鎧を纏った魔物が立っているではないか。
「あ、あれはデスキングか!?」
すでに戦闘があったのか? デスキングの周りには樹木が円形に倒れている。そのデスキングの放った一撃で、グレイブの精霊であるシャルドウネがぺしゃんこにされていた。もともと液体の精霊だ。そうなっても命に別状はない。しかし、問題はカエル姫が奪われていたことだ。
グレイブはその場所に降り立った。
「くそ! デスキングめ! 生きていたのか!」
「そそそそそ、その声はグレイブ。余の首をかかかか返せ」
デスキングの手の中にはカエル姫がいる。しかも、デスキングが木々をなぎ倒したので、そこに月の光が降り注ぐ。カエルは愛しいデラエア王女の姿になっていた。
「ひ、ひ、姫!」
「おおおお、おう。こここ、これは魔女の呪いか。ふふふ。こここ、この方が好都合だ」
そう言って、デラエア王女を胸に抱きしめた。固く片腕に抱かれ、苦悶の表情を浮かべる王女。声も出ないようだった。
「グググ、グレイブめ。こここ、この女の首を貴様の前で折ってやれば、ななな、なんと楽しいことであろう」
「や、やめろ!」
「ややや、やめぬ」
デスキングの大きな二本の指がデラエア王女の小さい頭をつまんでしまった。これをクリっとひねれば王女の首はちぎれてしまうだろう。
グレイブは大地に伏して涙を流してデスキングに詫びた。
「ど、どうか陛下おやめください。今までの無礼、愚行をお詫び申し上げます。姫にもしものことがあったら私は……。どうぞ、この身をどうしてもよいので姫だけはお助けを」
そう言いながら地面に血が出るほど額をこすりつけた。その無様な姿をみてデスキングは不気味に笑うのだ。
「はっは。はは。ははっはは。は。は。はっは。おおお、面白い。ももも、もっとだ。ももも、もっと命乞いをせよ。こここ、小気味良い。ふは。ふははっは」
「姫を解放してくださるならば、ワタクシめは陛下の臣下となります。奴隷になります。どうぞその指をお放しください」
必死だ。必死の懇願。姫の生への交渉。
そんなグレイブの姿を見て、デラエア王女は涙を流すのだ。
「やめなさいよ。グレイブ! そんな……。そんなあなたの姿は見たくないわ!」
しかし、いくら王女の願いとは言え、グレイブにはこうすることしか出来なかったのだ。
デスキングがグレイブに立ち上がるように命令した。グレイブは直立不動の姿勢を取って、デスキングより八歩離れた位置にいた。
「グググ、グレイブ。鎧を脱げ。ぶぶぶ、武器を捨てよ」
「は、はい」
グレイブは分厚い胸当て、腰に帯びた大剣、そして、ベルトに埋め込まれたボトルをすべて地面に投げ出した。そして、気付いた。
6本しかない。
8本あるはずのボトルが6本。
物真似フオティのボトルと、あと一つ。
「ま、まさか、姫が?」
デスキングはまた不気味に笑った。グレイブは丸腰になってしまった。
デスキングは、自分の四本あるボトルの一つに手をかけた。
そして、ポンと音を立ててそれを開ける。
中からは赤く光るハンマーのような物体が現れた。
「リスリグ。我の敵を撃て!」
そう精霊に命じた。リスリグという精霊は空高く舞い上がり、グレイブの頭上に落ちて来た。
落雷のような音が辺りに響く。グレイブは地面に倒れ込んでおり、全身から煙を出していた。
リスリグと言う精霊は魔法の雷の精霊だったのだ。一撃を放つとすばやくボトルに戻って行った。
「ふふふ、不死なるお前でも重い一撃には耐えられまい」
そう言って、もう一つのボトルに手をかける。
それが開くと、そこから扉のようなものが出てきた。デスキングはそれを開ける。中は別世界。赤々と炎が燃え上がり、荒野がどこまでも続いている。
「じじじ、地獄の門だ。いくらお前が不死でも地獄からは帰ってこれまい。ここに投げ込んでやる」
デスキングは王女を抱きかかえたまま、グレイブに向かって歩き出した。
すばやく風の精霊カヴェルーネのボトルの蓋に指をかけた。
そして、バザルっ子たちの方に顔を向ける。
「おい。キミたち。あの巨人を倒したらいくらくれる?」
バザルっ子たちは顔を見合わせた。この賞金稼ぎを満足させる金なんて出せっこない。
しかし、リーダー格の男が声を張り上げた。
「10万ケラマンです!」
「わかった。行き掛けにいい稼ぎになる!」
グレイブはカヴェルーネの蓋を指ではじいた。勢いよく吹き出てくる、風の精霊カヴェルーネ。
その竜巻の中心に乗り込んだ。
不死の刺客セイバーは、余裕にグレイブの部屋の様子を見ていた。
恐怖に固まっている。この巨人の巨大な腕を振り下ろせばグレイブは一巻の終わり。
後は、がれきの中からグレイブの遺体を引き出して首を刈ってしまえばお終いだ。
しかし、抵抗するか? 巨人の体に取りすがってくるだろうか?
そしたら、両手がふさがっているから飛べる自分は背後から攻撃してしまえばいい。
そんなことを笑いながら考えていた。
しかし、グレイブは部屋の窓から竜巻に乗って飛び出してきたので驚いた。
「なに!?」
セイバーの高い声が夜空に響いた。
早い。早い。
そのまま、巨人に近づいて自慢の大剣で首をひと薙ぎ。
「ごぉぉおおん」
巨人は一声鳴いて、首を落とす。しかし、まだ動いている。
巨大な手がグレイブの竜巻を追いかけるが、遅い。手を伸ばした反動でのろまな巨人は森の方向に倒れ込んでしまうと、ドシャリと土の山と変貌した。
セイバーの体は投げ出されたが、ヒラリと飛び上がり美しく着地した。
「へぇ! 空も飛べるのかぁ! ますます殺したくなってきた!」
セイバーはそう言いながら自慢のボトルの蓋をあける。そこに土の山は吸い込まれるように入っていった。
その頃、グレイブとカヴェルーネは町を抜けて深い森の中だ。
誘拐した者は許さない。グレイブは歯ぎしりをした。
光の上がった目的地だ。上空から下を臨むと、丸い形に木々が倒れて行く。
「なんだ?」
そのなぎ倒された木々の中心には、黒い鎧を纏った魔物が立っているではないか。
「あ、あれはデスキングか!?」
すでに戦闘があったのか? デスキングの周りには樹木が円形に倒れている。そのデスキングの放った一撃で、グレイブの精霊であるシャルドウネがぺしゃんこにされていた。もともと液体の精霊だ。そうなっても命に別状はない。しかし、問題はカエル姫が奪われていたことだ。
グレイブはその場所に降り立った。
「くそ! デスキングめ! 生きていたのか!」
「そそそそそ、その声はグレイブ。余の首をかかかか返せ」
デスキングの手の中にはカエル姫がいる。しかも、デスキングが木々をなぎ倒したので、そこに月の光が降り注ぐ。カエルは愛しいデラエア王女の姿になっていた。
「ひ、ひ、姫!」
「おおおお、おう。こここ、これは魔女の呪いか。ふふふ。こここ、この方が好都合だ」
そう言って、デラエア王女を胸に抱きしめた。固く片腕に抱かれ、苦悶の表情を浮かべる王女。声も出ないようだった。
「グググ、グレイブめ。こここ、この女の首を貴様の前で折ってやれば、ななな、なんと楽しいことであろう」
「や、やめろ!」
「ややや、やめぬ」
デスキングの大きな二本の指がデラエア王女の小さい頭をつまんでしまった。これをクリっとひねれば王女の首はちぎれてしまうだろう。
グレイブは大地に伏して涙を流してデスキングに詫びた。
「ど、どうか陛下おやめください。今までの無礼、愚行をお詫び申し上げます。姫にもしものことがあったら私は……。どうぞ、この身をどうしてもよいので姫だけはお助けを」
そう言いながら地面に血が出るほど額をこすりつけた。その無様な姿をみてデスキングは不気味に笑うのだ。
「はっは。はは。ははっはは。は。は。はっは。おおお、面白い。ももも、もっとだ。ももも、もっと命乞いをせよ。こここ、小気味良い。ふは。ふははっは」
「姫を解放してくださるならば、ワタクシめは陛下の臣下となります。奴隷になります。どうぞその指をお放しください」
必死だ。必死の懇願。姫の生への交渉。
そんなグレイブの姿を見て、デラエア王女は涙を流すのだ。
「やめなさいよ。グレイブ! そんな……。そんなあなたの姿は見たくないわ!」
しかし、いくら王女の願いとは言え、グレイブにはこうすることしか出来なかったのだ。
デスキングがグレイブに立ち上がるように命令した。グレイブは直立不動の姿勢を取って、デスキングより八歩離れた位置にいた。
「グググ、グレイブ。鎧を脱げ。ぶぶぶ、武器を捨てよ」
「は、はい」
グレイブは分厚い胸当て、腰に帯びた大剣、そして、ベルトに埋め込まれたボトルをすべて地面に投げ出した。そして、気付いた。
6本しかない。
8本あるはずのボトルが6本。
物真似フオティのボトルと、あと一つ。
「ま、まさか、姫が?」
デスキングはまた不気味に笑った。グレイブは丸腰になってしまった。
デスキングは、自分の四本あるボトルの一つに手をかけた。
そして、ポンと音を立ててそれを開ける。
中からは赤く光るハンマーのような物体が現れた。
「リスリグ。我の敵を撃て!」
そう精霊に命じた。リスリグという精霊は空高く舞い上がり、グレイブの頭上に落ちて来た。
落雷のような音が辺りに響く。グレイブは地面に倒れ込んでおり、全身から煙を出していた。
リスリグと言う精霊は魔法の雷の精霊だったのだ。一撃を放つとすばやくボトルに戻って行った。
「ふふふ、不死なるお前でも重い一撃には耐えられまい」
そう言って、もう一つのボトルに手をかける。
それが開くと、そこから扉のようなものが出てきた。デスキングはそれを開ける。中は別世界。赤々と炎が燃え上がり、荒野がどこまでも続いている。
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