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夏休みに入り、夏課外が始まった。
「あー、あっつい……」
三限目が終わって、千明と共に校門から出る。
日差しが照り付ける中、家までの道を歩いていく。
「なんか一気に暑くなってきたよな」
額にうっすらと汗を浮かべた千明も、光を遮るように手を頭の上に翳している。
「なんでこんなに暑いんだ」
璃音は、恨めしげに言う。
夏だから仕方ないとわかっていても、どうしてもそう思ってしまう。
ジージーという蝉の声が、余計に暑さを感じさせる。
暑さのせいで二人の口数はどんどん減っていく。
ついにはお互いに喋らなくなってしまった。
二人で黙々と歩道を歩いていく。
千明の家まであと少し、というところで、璃音が言った。
「ねえ、今日千明ん家行っていい?」
いきなりのことに千明は驚きつつも、
「いいけど、いつ来る?」
と問い返す。
「制服着替えてシャワー浴びたら行く」
大体二十分位で行くかなあ、と考えながら答える璃音に、わかった、と言う。
それとほぼ同時に、家に着いた。
千明と璃音は、家が隣で、昔からよくお互いの家を行ったり来たりしていた。
最近は頻度が落ちたが、全く行かないわけではないので、割とすぐに千明の家に行くことが決まった。
「じゃあ、後でね。すぐに行く」
「うん、なんか用意して待ってる」
そう言って、お互いの家に入っていった。
シャワーを浴び終えて、千明の家に行こうと玄関に向かう途中、廊下で弟の将人に会った。
「あ、将人。私、千明ん家行ってくるから、お母さんになんか訊かれたら言っといて」
「了解。千明君によろしく言っといて」
璃音の幼馴染の千明は、将人の幼馴染でもある。
少し前までは千明の家に行く時はよくついてきていたが、小学六年生になった最近はあまり一緒に行かなくなった。
玄関で靴を履き、
「行ってきます」
と言って家を出る。
いってらっしゃい、と言って扉を閉めた将人が鍵をかけてくれたのを確認してから、千明の家へ向かった。
「お邪魔しまーす」
チャイムを鳴らすと、部屋着に着替えた千明が玄関のドアを開けてくれた。
玄関先で靴を脱ぎ、二階の千明の部屋に連れて行ってもらう。
「そうだ、璃音、アイス食べる?」
飲み物を取りに一階のキッチンに二人で降り、麦茶をコップに入れている途中で、千明がそう言った。
「え、食べたい」
「じゃあ持って行こ」
冷凍室からアイスを二本取り出し、麦茶の入ったコップと共にお盆に乗せて、二階へと戻る。
一階へ降りる前にクーラーを入れた部屋は、かなり涼しくなっていた。
「アイス、溶ける前に食べよう」
そう言って璃音にアイスを差し出す。
それを受け取って開けた璃音を見て、千明も自分のアイスを開ける。
「冷た。ん、美味しい」
そう言いながら璃音は笑顔でアイスを口に運ぶ。
ソーダ味のアイスは、ゆっくりと溶けながら、二人を冷やしていく。
アイスを食べ切った頃には、部屋も体も丁度良い涼しさになっていた。
「そういえば、課外はどうなの?」
ふと気になったことを千明に聞いてみた。
「どうって、うーん。演習ばっかのやつは正直つまんない」
少し考えてそう言った千明に、
「やっぱりもっと難しいのしたいの?」
「そうだねー、発展的な内容がいいな」
課外の演習は結構難しい内容だったのだが、それでも千明には物足りないらしい。
そういうところを見ると、千明はギフテッドなんだな、と感じる。
「あと、すでに知ってるやつとかも多いし。もっと他のことしたいな」
そう言い切る千明に、やっぱり頭の作りが違うんだな、と改めて感じる。
「みんなに合わせないといけないのも大変だね」
璃音の言葉に苦笑しながらも、否定はしない。
「千明は昔からなんでも出来てたし。それが当たり前みたいなとこあるよね」
そんな訳ないのにね、と言うと、
「それをわかってくれる人がいる俺は幸せだよ」
心底嬉しそうに、笑う。
その笑みに、璃音の心臓の鼓動は早くなる。
それを振り切るように、璃音は話を変えた。
「あー、あっつい……」
三限目が終わって、千明と共に校門から出る。
日差しが照り付ける中、家までの道を歩いていく。
「なんか一気に暑くなってきたよな」
額にうっすらと汗を浮かべた千明も、光を遮るように手を頭の上に翳している。
「なんでこんなに暑いんだ」
璃音は、恨めしげに言う。
夏だから仕方ないとわかっていても、どうしてもそう思ってしまう。
ジージーという蝉の声が、余計に暑さを感じさせる。
暑さのせいで二人の口数はどんどん減っていく。
ついにはお互いに喋らなくなってしまった。
二人で黙々と歩道を歩いていく。
千明の家まであと少し、というところで、璃音が言った。
「ねえ、今日千明ん家行っていい?」
いきなりのことに千明は驚きつつも、
「いいけど、いつ来る?」
と問い返す。
「制服着替えてシャワー浴びたら行く」
大体二十分位で行くかなあ、と考えながら答える璃音に、わかった、と言う。
それとほぼ同時に、家に着いた。
千明と璃音は、家が隣で、昔からよくお互いの家を行ったり来たりしていた。
最近は頻度が落ちたが、全く行かないわけではないので、割とすぐに千明の家に行くことが決まった。
「じゃあ、後でね。すぐに行く」
「うん、なんか用意して待ってる」
そう言って、お互いの家に入っていった。
シャワーを浴び終えて、千明の家に行こうと玄関に向かう途中、廊下で弟の将人に会った。
「あ、将人。私、千明ん家行ってくるから、お母さんになんか訊かれたら言っといて」
「了解。千明君によろしく言っといて」
璃音の幼馴染の千明は、将人の幼馴染でもある。
少し前までは千明の家に行く時はよくついてきていたが、小学六年生になった最近はあまり一緒に行かなくなった。
玄関で靴を履き、
「行ってきます」
と言って家を出る。
いってらっしゃい、と言って扉を閉めた将人が鍵をかけてくれたのを確認してから、千明の家へ向かった。
「お邪魔しまーす」
チャイムを鳴らすと、部屋着に着替えた千明が玄関のドアを開けてくれた。
玄関先で靴を脱ぎ、二階の千明の部屋に連れて行ってもらう。
「そうだ、璃音、アイス食べる?」
飲み物を取りに一階のキッチンに二人で降り、麦茶をコップに入れている途中で、千明がそう言った。
「え、食べたい」
「じゃあ持って行こ」
冷凍室からアイスを二本取り出し、麦茶の入ったコップと共にお盆に乗せて、二階へと戻る。
一階へ降りる前にクーラーを入れた部屋は、かなり涼しくなっていた。
「アイス、溶ける前に食べよう」
そう言って璃音にアイスを差し出す。
それを受け取って開けた璃音を見て、千明も自分のアイスを開ける。
「冷た。ん、美味しい」
そう言いながら璃音は笑顔でアイスを口に運ぶ。
ソーダ味のアイスは、ゆっくりと溶けながら、二人を冷やしていく。
アイスを食べ切った頃には、部屋も体も丁度良い涼しさになっていた。
「そういえば、課外はどうなの?」
ふと気になったことを千明に聞いてみた。
「どうって、うーん。演習ばっかのやつは正直つまんない」
少し考えてそう言った千明に、
「やっぱりもっと難しいのしたいの?」
「そうだねー、発展的な内容がいいな」
課外の演習は結構難しい内容だったのだが、それでも千明には物足りないらしい。
そういうところを見ると、千明はギフテッドなんだな、と感じる。
「あと、すでに知ってるやつとかも多いし。もっと他のことしたいな」
そう言い切る千明に、やっぱり頭の作りが違うんだな、と改めて感じる。
「みんなに合わせないといけないのも大変だね」
璃音の言葉に苦笑しながらも、否定はしない。
「千明は昔からなんでも出来てたし。それが当たり前みたいなとこあるよね」
そんな訳ないのにね、と言うと、
「それをわかってくれる人がいる俺は幸せだよ」
心底嬉しそうに、笑う。
その笑みに、璃音の心臓の鼓動は早くなる。
それを振り切るように、璃音は話を変えた。
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