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帰り道。
千明への恋愛感情に気付いたばかりの璃音は、そわそわしながら千明の隣を歩いていた。
「あー、楽しかった」
夜空を見上げながら呟く千明に、私も、と返す。
__この気持ちを、早く伝えたい。
逸る気持ちを深呼吸して落ち着かせてから、言った。
「千明。ちょっと、寄りたいところがあるから、一緒に来て欲しい」
その言葉を訝しみながらも、千明は、いいよ、と答える。
千明が頷いてくれたことに璃音はほっとする。
少し前に決めた場所に向かう為に、いつもなら右に曲がる交差点を、そのまままっすぐに進んでいく。
暫く歩くと、河原が見えてきた。
「ここ、花火大会の時に来た……」
千明の呟きに、うん、と頷く。
夜遅いこともあって、人の気配は疎らだ。
そんな中を、璃音は前回花火を観た高台に登っていく。
迷いのない璃音とは対照的に、千明は戸惑う。
階段を登り切ると、そこには、綺麗な夜空が広がっていた。
「やっぱり、綺麗だな」
誰に言うともなく呟いた璃音の横顔は、街灯の灯りでオレンジに染まっている。
どうしてここに連れてこられたのだろう、と千明は戸惑いの中考える。
璃音は、そんな千明を見つめた。
__やっぱり、好きだな。
そう強く思った璃音は、千明の方へと向き直って言う。
「聞いてほしいことがあって、ここに来たんだ」
璃音は今までにないほど緊張していた。
高鳴る鼓動を鎮めようと、一つ深呼吸をした後、口を開く。
「千明、好きだよ」
しんとした空気の中、言葉が響く。
璃音の想いが込められた言葉は、口からするりと、しかし力強く出された。
その言葉を聞いた千明は、頭が真っ白になる。
目を見開いて固まっていたが、暫くすると思考が働きだした。
最初に浮かんだ言葉は、『信じられない』だった。
__でも、確かに『好き』だと言われた。
その事実に、段々と嬉しさが込み上げてくる。
「__璃音、ありがとう。すごく、嬉しい」
そして、千明は、満面の笑みを浮かべて、言った。
「俺も、璃音が、好き」
返ってきたその言葉に、璃音はほっと息を吐く。
「よかったぁ。すっごく、どきどきした」
漸く璃音の顔に笑顔が浮かんだ。
その笑顔に、千明は安心感を覚える。
「そうだよね。本当にありがとう」
そうして暫し微笑みあっていた二人だが、不意に千明が真剣な表情になった。
璃音の肩に手を置き、言う。
「そうだ。これを言わなくちゃ。__璃音、付き合ってください」
その言葉に思わず固まるが、じわじわと嬉しさが込み上げてくる。
璃音は笑って、
「はい。よろしくお願いします」
と返事をした。
それを聞いて、千明は笑顔になる。
少し照れ臭くなった璃音は、千明から目を逸らして空を見つめる。
その視線につられて千明も空を見上げる。
二人の頭上には、星たちが瞬いている。
暫く夜空を眺めていたが、千明が名残惜しげに言った。
「__帰ろっか」
璃音はそれに頷いて、二人は高台を降りる。
璃音が階段の最後の段を降りたところで、千明に手を差し出された。
璃音は、その手を、満面の笑みを浮かべて、握った。
そうして、二人は、歩き出す。
道を歩く二人の距離は、なくなっていた。
〈了〉
千明への恋愛感情に気付いたばかりの璃音は、そわそわしながら千明の隣を歩いていた。
「あー、楽しかった」
夜空を見上げながら呟く千明に、私も、と返す。
__この気持ちを、早く伝えたい。
逸る気持ちを深呼吸して落ち着かせてから、言った。
「千明。ちょっと、寄りたいところがあるから、一緒に来て欲しい」
その言葉を訝しみながらも、千明は、いいよ、と答える。
千明が頷いてくれたことに璃音はほっとする。
少し前に決めた場所に向かう為に、いつもなら右に曲がる交差点を、そのまままっすぐに進んでいく。
暫く歩くと、河原が見えてきた。
「ここ、花火大会の時に来た……」
千明の呟きに、うん、と頷く。
夜遅いこともあって、人の気配は疎らだ。
そんな中を、璃音は前回花火を観た高台に登っていく。
迷いのない璃音とは対照的に、千明は戸惑う。
階段を登り切ると、そこには、綺麗な夜空が広がっていた。
「やっぱり、綺麗だな」
誰に言うともなく呟いた璃音の横顔は、街灯の灯りでオレンジに染まっている。
どうしてここに連れてこられたのだろう、と千明は戸惑いの中考える。
璃音は、そんな千明を見つめた。
__やっぱり、好きだな。
そう強く思った璃音は、千明の方へと向き直って言う。
「聞いてほしいことがあって、ここに来たんだ」
璃音は今までにないほど緊張していた。
高鳴る鼓動を鎮めようと、一つ深呼吸をした後、口を開く。
「千明、好きだよ」
しんとした空気の中、言葉が響く。
璃音の想いが込められた言葉は、口からするりと、しかし力強く出された。
その言葉を聞いた千明は、頭が真っ白になる。
目を見開いて固まっていたが、暫くすると思考が働きだした。
最初に浮かんだ言葉は、『信じられない』だった。
__でも、確かに『好き』だと言われた。
その事実に、段々と嬉しさが込み上げてくる。
「__璃音、ありがとう。すごく、嬉しい」
そして、千明は、満面の笑みを浮かべて、言った。
「俺も、璃音が、好き」
返ってきたその言葉に、璃音はほっと息を吐く。
「よかったぁ。すっごく、どきどきした」
漸く璃音の顔に笑顔が浮かんだ。
その笑顔に、千明は安心感を覚える。
「そうだよね。本当にありがとう」
そうして暫し微笑みあっていた二人だが、不意に千明が真剣な表情になった。
璃音の肩に手を置き、言う。
「そうだ。これを言わなくちゃ。__璃音、付き合ってください」
その言葉に思わず固まるが、じわじわと嬉しさが込み上げてくる。
璃音は笑って、
「はい。よろしくお願いします」
と返事をした。
それを聞いて、千明は笑顔になる。
少し照れ臭くなった璃音は、千明から目を逸らして空を見つめる。
その視線につられて千明も空を見上げる。
二人の頭上には、星たちが瞬いている。
暫く夜空を眺めていたが、千明が名残惜しげに言った。
「__帰ろっか」
璃音はそれに頷いて、二人は高台を降りる。
璃音が階段の最後の段を降りたところで、千明に手を差し出された。
璃音は、その手を、満面の笑みを浮かべて、握った。
そうして、二人は、歩き出す。
道を歩く二人の距離は、なくなっていた。
〈了〉
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