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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。
第1話 開発ライダーとその契約内容とは?
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激動の2020年シーズンが終わり、Moto2世界王者になった俺は、次なる舞台となるMotoGPクラスのシートを求めて、色々交渉とかしていたけど、なかなか好条件な契約というか、シートが見つからずに路頭に迷いかけていた。そして、日本に帰国して久しぶりにマイバイク(CBR600RR PC37前期型 MORIWAKI-ZERO-GP-ANOマフラー装備)を使って、もてぎを走って楽しんでる所にHRCの若林さんが「山越君さ、来年うちで開発ライダーやってみない?君には、すごい高い開発能力があるみたいだから、実働部隊にも大いに役立つと思うんだよ。あとレースにも出さしてあげるからさ。どうだい?」と声をかけてきて、俺は、「開発ライダーですか…なかなか面白い役職持ってきましたね。所謂、縁の下の力持ちってやつですね。なら、その契約喜んで結びます!!」とほぼ貸切状態のガレージで、あっさりと契約を交わすと若林さんが、「さぁ明日から早速仕事だから今日は帰って身体を休めて欲しい!!」とかなり張り切った口調で俺に伝えたのだ。まぁホンダの機体は、いつもお世話になってる関係上、ある程度性格は知ってるのだ。しかも、契約内容をよく見てみると、とんでもないもんが俺の所に来るような事書いてあって、かなりビビった。それはなんと、ホンダが作ったMotoGPマシンに公道走行に必須な保安部品取り付けて、公道で扱いやすくする為に馬力落としただけの「RC213V-S」のフルパワー仕様を俺にくれるというのだ。これには流石の俺も身体が震えた。そう、このバイクは国産リッターSSでもまさに狂気の沙汰ともいえる、「2200万」というとんでもない額するバイクでもあり、ミラーだけでも両方壊そうもんなら20万が財布からすっ飛ぶという、明らかに金をかける所を間違えている「問題児」でもある。でも実態は、今はもう無いけど「オープンクラス」というサテライトチームでもメーカーからマシンを買うか、自分たちでフレームを作って、そこにメーカーのエンジンをぶち込んだマシンで争われてたクラスにホンダが投入していた「RCV1000」に補機類や灯火類着けただけの話である。話が逸れたけど、とにかく現地で戦ってる皆のためになるのであればと思って契約を交わした。流石に俺も単に開発ライダーとはいえ、一体何をやるかまでは、詳しく知らされてなかったから、それは次に紹介するとしよう。多分若林さんが言っていた「レースにも出さしてあげるからさ。」という意味を色々自分なりに探っていくうちに徐々に答えが見つかってきた。その答えというのは、恐らく、第15戦の日本GPか最終戦のバレンシアGPのどちらか2戦もしくは1戦の2択である。こっちとしては、今は開発に徹したいと思っていて、実戦なんて二の次だと思っていた。最低でも、1戦走ることが出来れば良いかなとしか思ってない。まさか今、俺が言った事が現実になるなんて、まだ俺自身知る由もなかった…。開発ライダーとは、さっきも言った通り、「縁の下の力持ち」という立ち位置に居ながら実戦にも出るという、かなり大変な職である。多分色々やるんだろうな。しかも契約内容を見返すと、8耐にも出る事って書いてあったし、はっきり言って、実働部隊なんて比じゃないくらい大変な立ち位置でもある。でも久々にファンはこの名前を聞くんじゃないかな?「CBR使いの山越」または「ファイヤーブレード使いの山越」という異名を。俺とホンダとCBRは切っても切れない関係である。というより俺自身がCBR-RRシリーズをレースで好んで使っていた為、この異名が付いたと言っても過言ではない。でもトライアンフの3気筒から、V4に身体慣らすのはかなり大変なんだよ。性格と特性が違いすぎるから。でも今回はこれくらいにしておこう。
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