MotoGP HRC Development&Reserve Rider Memory

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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。

第2話 HRC開発ライダーとしての初仕事

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前回は、もてぎでマイバイク(CBR600RR PC37初期型)を乗り回してる所に、HRCトップの若林さんがやってきて、俺を開発ライダーとして起用したいと直々に言ってきて、その場で契約を交わして、晴れて開発ライダーとしてホンダと仕事が出来る訳になったが、契約内容を見てかなり驚愕した。なんていうのが前回のあらすじ。今回はHRC開発ライダーとしての初仕事を紹介すると同時にホンダの機体の特徴も紹介するとしよう。実はあの時に若林さんから「今回の仕事の場所、ここじゃなくてバレンシアだから準備しておいてね♪」なんて言われたけど、まだヘルメットとか、NTS RW GPに居た時のままだから、色々HRC仕様になんて考えてたらというより、実は今年からOGK Kabutoと複数年契約を結んでるので、Araiとはここでおさらばになる。今年から俺が被るメットの「OGK Kabuto F-17」は、まさに「軽さ」と「空力」と「実用性」を両立させた理想的なヘルメットになってるとの事。すると俺の所にメールで、「今自分が来ているスーツのメーカーとサイズを教えて欲しい」とHRCからメールが来て、俺は「クシタニでサイズは…てか画像送ります。」と画像とセットで送った数日後、俺の拠点に、スーツ類が届いた。ちなみに、何故スーツをクシタニへと変更したのかと言うと、着心地が良くて気に入ってしまい変えない訳が無いという理由で変えている。ブーツとグローブは、昨年の奴をキャリーオーバーするからそこは問題ないけど、しかも、まぁなんとご丁寧な事にアルパインスターズのエアバッグ「TECH-Air」まで装着した状態かつ、しかも初期設定が済んでる状態で送られてきたからすごく助かった。あれ、初期設定とか装着とか色々面倒なんだよね。そして荷物をまとめて、日本からそのままスペインのバルセロナまで向かうと、そこには黒いカーボン地のRC213Vが置いてあり、マシンには今年俺が使うナンバーの「17」が貼られていた。俺も自分のセッティングを済ませてマシンに乗り込み、ギアを1速に入れてコースイン。まずは昨年の「V4」(V型4気筒エンジン)と今季型のエンジンの違いを試す為に、数周慣らし運転をしてから、フルスロットルでメインストレートを駆け抜けた。コーナリングの挙動も昨年型より扱いやすくて安定してる。データ収集を終えて良かった所や改善点を挙げる。主な改善点としては、挙動が少し神経質なところ。経験上、ホンダの機体は他の機体よりも2倍近い体力を有する事が欠点であり、早急に改善しないといけないと改善点を挙げて今日の仕事は終わった。ちなみにテストライダーとはいえ、いつ何があってもいいようにワークスチームと一緒に現地に帯同している。次回は開幕戦カタールGP。そして俺は、思いもよらない形で実戦復帰をする事になるとは…。しかも俺自身初となる「ワークスチーム」で。
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