MotoGP HRC Development&Reserve Rider Memory

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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。

第4話 来季型テスト

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前回は、開幕戦でワイルドカードエントリーをして、表彰台をプレゼントした俺が向かった、次なる所は、イタリアのミサノにある「ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ」というコースで行われてる、MotoGPのテストに、参加することになった。このコースも、走りなれてるが、その前に、日本人ライダー全員で、とある所に向かった。そこは、LCRイデミツ・ホンダからエントリーしている、中上貴晶選手の親友でもあり、ライバルでもあった、故富沢祥也選手が眠っている所だ。彼がこの世を去ってから10年が経ち、MotoGPの世界も、すっかり変わっていた。ライダーも、マシンも、クラスもだ。そして俺も、そこに向かい、皆と記念撮影を行い、手を合わせた。そして、中上さんと色々話しながら、ガレージへと向かってる時に俺が、「どうです?今季型のエンジンは?かなり味付けに苦労したんで。」こういうと「昨年型と比べてもパワーもあるしトルクもある。だけどフレームが少し昨年型と比べてアレかな。ちょっと重く感じる。」と話してくれた。俺も同感だ。確かに重く感じた。以前走った時にも薄々気づいてたが口にしなかっただけである。あとは「多分これは自分もそうだけど、やっぱり昨年型と使い分けてるみたいよ。フレーム。」と言ってくれて、俺は「貴重な意見ありがとうございました。今後の開発に活かせます!」とお礼をしてガレージへと向かった。ガレージでは来季型のフレームとカウルをまとった「RC213V」があった。俺は最初見た時に「遂にがま口から、ドゥカティやヤマハみたいな、楔型に変わったのね。」と思った。あとは、マフラーの位置とかも変わっていたが、多分ホンダで2番目に運用年数が長い機体になっている。1番ホンダがMotoGP(旧WGP含)で、運用年数が長かったのが、未だ名機と名高い「NSR500」である。恐らく80~90年代のバイク乗りの人なら、1度は聞いたり、乗った事あるであろう「NSR250R」の原形である。この車両は、初投入となった1984年から、2ストマシンラストシーズンの2002年までの、18年間運用された車両でもあり、うち、1985年,87年,89年,94年~99年,2001年と王者を獲得している。話を戻すが、この運用年数10年目を迎えるこの子は、デビュー時からカウルの形状がちょくちょく変わってるけど2015年から、今に至るまで、実はそんなにデカい改良を敢行しておらず小改良をしてるだけだとか。こうなると初めての大改良である。俺も、かなりワクワクしていた。でも今回はその改良版というのはワークスとサテライトに2台ずつ供給される。その為、今回は、俺とレプソル・ホンダとLCRの計5台でテストをする事になるが…マルケスが開発すると何かとピーキーな機体になる。これで、2017年型が「扱いにくい」と「悪名高い」理由もわかるだろう。テスト開始の合図が出されて、俺も準備を済ませて、マシンに跨り、コースイン。数周慣らし運転を行ってから、全開で走行開始。そして事態は減速した時だった。何と俺が想像してたのと全く違う挙動が現れて、バランスを崩しかけた。何とリアが暴れだした。これには、俺も対処せねばと必死にねじ伏せた。俺はガレージへと戻り「加速時にリアが暴れだして危うく転倒するとこだったよ。もう少し、加速時の安定性を向上させて欲しい。これじゃ、いくら何でも危なすぎる。そしてフレームもだ。なんか重いし硬く感じる。だけど応答性は現行型に比べて格段に上がってる。エンジンパワーも。」と意見を述べた。メカさんは「分かった。とにかく加速安定性を向上させてフレームもある程度柔らかくそして軽くしておく。」と言ってくれた。これはキーファ・レーシング在籍時に経験した事だが、いくらウィークポイントを言っても「分かった。やっておく。」とだけ言われて、マジで後回しにされたと言うより、ガチでスルーされたので、開発ライダーに就任して正解だと思った。これで俺の思う存分ウィークポイントを徹底的に無くすことが出来る。そう思っている。次の日。昨日挙げた改善点を良くしてくれたのに乗ったらトップタイムを連発。これには俺も大満足。新型ウィングレットの効果も試せて、かなりデータが大豊作な日になった。最終日も納得いくテストが出来て大満足の結果でテストを終えた。
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