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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。
第5話 久々のレース
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前回は、新型機のテストを書いたけど、今回は、開幕戦以来のワイルドカードエントリーを敢行した事を書くよ。舞台は、前回のテストと一緒のミサノ。今回は、新型機では無くて現行型での参戦である。前回は、ワークスチームからだったけど、今回は「チームHRC」という「開発部隊」からの参戦である。今回試すのは、来季用新型シャーシとフレームの強さとウィークポイントをレースで探るという事だ。まさに「走る実験室」とは、この事だろう。だけど問題は、現行型のエンジンを来季用の新型フレームに搭載するという、明らかにミスマッチじみた事をやるということ。普通なら、来季用には来季用という組み合わせだが、多分やってる事はLCRと一緒の手口だ。前年度型のフレームに、今年度型のエンジンやその他もろもろといったのを取り付けて走らせるというやり方だ。まぁ先行導入という意味合いが強いため、そんなに望んだ様な結果は期待できないが、やってみることに意味がある。今回俺に課せられてるもうひとつの任務が、ワークスチームの御二方のバックアップと、クアルタラロの王者獲得のアシスト(これに関しては、少しだけホンダを敵に回してしまうが、個人的にファビオと仲良い為、何が何でも王者獲得をして欲しいという、超個人的な我儘である。)である。フリー走行では、俺にとんだ災難が降りかかった。それは、以前のテストでは、かなり明るい事しか書かなかったけど、実は高速コーナーで、かなり激しく転倒してしまい、その時に転倒時の受け身を上手く取れずに、右手親指を負傷してしまった為、まともに走れなかったのだ。今回のレースも、ある意味「強行出場」という形でエントリーしているのだ。そう、このご時世の為「母国でPCR検査→陰性反応証明書とワクチン接種証明書→出国→2週間隔離→現地入り」なんて言う、超複雑な流れになってる為、代わりが来れないという事態が発生している。その為現地入りしていて動けるライダー俺だけという状況なのだ。そして俺は、負傷直後からクシタニに「右手親指を負傷しても、レースできるグローブが欲しい」と依頼したところ、快く引き受けてくれた。出来たグローブは、とりあえずレースは出来るが、いざ動かしてみると中にステーが入ってる為、スロットル開度が60%位までしか回せないのだ。その為、HRCにも「スロットルパワーブースターを作って、取り付けて欲しい」と依頼して製作してもらったが、流石に即日発送という訳ではなくて「2週間待ってくれ。日本で試すから。必ずレースウィークに間に合わせる!」という返事が来た。ホントにレースウィークに間に合わせて、レプソル・ホンダ経由で「例の物」が渡された。箱を開封すると「大体の事は日本でやったから、あとはそっちで微調整なりしてくれ。」という手紙が入っていた。この「スロットルパワーブースター」というのは、パワステの原理を応用した物で、構造は電動パワステとそっくりだけど、言ってしまえば車速感応式のパワステと原理は一緒である。一定スロットル開度でない限りアシストはゼロ。今回はスロットル開度60%~±5~10%の範囲でブーストがかかる様になっている。これで他のライダーと互角に戦える。特にコーナリング中に、ぐわっとスロットル開けたい時とかに、ものすごく役立つアイテムだと思う。特にホームストレートとかでは、恩恵をモロに受けることができる。何より走行中にアシスト量を調整出来るというのも長所である。ホームストレートとかでは、マックスのレベル5で、コーナリング中は、デフォルトと使い分け出来るのもこのアイテムの特徴だと思う。今回はそのテストも兼ねてやる事に。マシンに、ブースターが取り付けられて一度俺が跨り、スロットルを捻ってみると想定外の数値が出てきて、大慌てで調整し直すことに。何、スロットル開度35%って?俺も唖然とした。だけど、こんな調整は、すぐに出来た。だってパソコン経由で数値書き換えるだけだから。ブースト作動条件として、スロットル開度35%~±5%に補正した。俺はもう一度マシンに跨り、コースイン。タイムもそんなに気にせず走ったが、何故か偶然にもQ2にダイレクトで進出してしまい、俺も驚きを隠せなかった。予選は、Q2からの為Q1はマシンの微調整とかに当てた。Q2では、最後までトップ争いを繰り広げたが、7番手という結果に。でも今回は、あくまでもテストだから、そんなに気にすることも無い。迎えた決勝。決勝は、このブースターを最大限に活用して結果は3位に入ったと同時に、ホンダの123フィニッシュに貢献したのとクアルタラロも王者獲得が決定。俺は、ゴール後すぐに、クアルタラロの所へと向かい、祝福をした。クアルタラロも「ありがとう!!」と喜んでくれた。俺の仕事もあと何ヶ月続くやら。そろそろSBK転向も考えようかな。あの酷さをもう見てられなくなってきたし。「CBR使い」としての仕事もしたいし。
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