MotoGP HRC Development&Reserve Rider Memory

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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。

第13話 緊急参戦

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それは、SBKで怒りのトラックリミットを取られて、拠点のイギリスで悔しがってる時だった。HRCから「今月のスペインGP出れるか?」というメールが届き、俺は「すぐにでも」と即決した。そして久しぶりのMotoGP復帰となった。本来ならステファンに任せたい所だが、どうも都合が合わないということらしい。となると形的に俺か美海になる。といっても実戦経験がある俺の方に偏りがちだがな。そして俺は美海と一緒に久しぶりにスペインにあるヘレスサーキットに向かい、皆と合流した。今回はワークスでは無くて「チームHRC」としてのエントリーの為、ツナギもあのトリコロールになっている。こっちも久しぶりの実戦でもあり、初めて今季型のRC213Vをレースで使う。巷の噂では、今季限りでスズキがまた撤退するだとかで大騒ぎしてたり、Moto2でイケイケな小椋君をLCRで走らせようと計画してたり、エスパロガロ(弟)のクビ飛ばしたりしようと色々大変な事になっている。まぁそんな事、俺は小耳に挟んだ程度なので、あんま気にしてない。そして久しぶりに聞くV4の音を俺は懐かしんでいた。ここんとこ4発以外聴いてなかったからな~。美海もすごく懐かしんでいるようだ。そしてフリー走行の時間となり、俺は久しぶりにRC213Vに跨りコースイン。やっぱり市販車とかなり違う。加速もそうだし、旋回性能もそうだし。でも強いて言うならば1000RR-RWはABS,TCS付いてるけどRC213VはABS無しのTCS有りだからな~。ぶっちゃけ言うとABSのありがたみは大きいよ。でもGPマシンはABS抜きでもエンブレをABS代わりに使えるから、それを上手い事利用してる形になる。だからABSはいらない。そういう結論に至る。そしてタイムは久しぶりなのか2桁台に。そして予選はそこから改善していき、何とかトップ5に食い込んだ。そして決勝。俺はロケットスタートを決めてトップに。そこから一気にリードを広げて行き、俺の優勝。ホンダにとってもありがたい1勝をプレゼントする事が出来た。そして久しぶりのMotoGPも楽しむ事が出来た。でも、緊急参戦とはいえ、かなりドタバタしていたから、落ち着けなかった。はっきり言って、マジでクレイジーだとしか言い様が無いくらい、忙しかった。なんかこんなの2017年の日本GPでも経験した様な…。確かあの時は、当初は、モトレックスレーシングから、Moto3にエントリーしてたけど、ミラーが負傷してその代役と言う事で、急遽MotoGPクラスへのエントリーが決まって、自身初の最高峰クラスとなったので、かなり忙しかったが、ちょうどその時のチームが、「エストレージャ・ガリシア0.0・マークVDS」というチームからのエントリーで、あまりの忙しさ故に、息抜きする時間がなかなか見つけられずに居たが、たまたま息抜きする時間が出来てその時に飲んだ、チーム名にもなってる「エストレージャ・ガリシア0.0」というスペインのノンアルビールが、かなりフルーティーで飲みやすくてとても美味しかったのと、冷蔵庫でかなりキンキンに冷やされていたのが良かったのか、俺の体に染み渡った。そして、俺は、「このノンアルビールめちゃくちゃ美味いから持って帰ってもいい?」と聞くと、チーム関係者から「気に入ってもらえて良かったよ!何なら数本単位じゃなくて箱で持って帰って良いよ!」と言われて3箱くらい(うち1箱は俺の分)持って帰って実家の冷蔵庫にぶち込んだら、親父から速攻電話来て「輝、お前このビールどうした?しかもお前瓶じゃねぇか!どうすんだよ…マジで…」と言われると俺は「あぁこれ?これね先週のもてぎで行われた日本GPの時に負傷欠場した選手の代役として出たチームが箱で持って帰って良いよ!って事で3箱くらい持たせてくれた。凄く美味しかったから飲んでみてほしい。冷蔵庫でかなりキンキンに冷やしてね。」と事情を話すと、親父も納得してくれたなんて言う裏もあったくらいだ。ちなみにこの縁あってか、今でも俺のスポンサーを務めてくれるくらいだ。実際、ベルギー籍のチームと言うだけあって、コミュニケーションが心配だったけど、実際の所、英語で何とかなった為、大変セッティングのやり取りが楽だった。結果は、緊急参戦ながらロッシを封じ込めての2位を獲得という結果になった。でもあの時に比べたら今回が可愛く見えるレベルである。
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