MotoGP HRC Development&Reserve Rider Memory

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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。

第18~20話 Moto2&MotoGP代役エントリー

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今回は、WSBKから離れてMotoGPに「復帰」した俺。どうやら聞いた話だと、小椋君がオフに手首やらかしてしまったとの事。その為、急遽代役として俺が抜擢されたとか。当然の事ながら、かれこれ3年もMoto2マシンから遠ざかってる為、乗り方をすっかり忘れてしまっている。ただ何故俺かと言うと、「ぶっつけ本番でも難無く対応可能だから。」という超突拍子も無い理由だからだ。今回のレースには、ARRC(アジアロードレース選手権)SS600クラスにYAMAHA GEN BLU RACING TEAM ASEANからフル参戦している、南元宗一郎選手も野左根先輩の代役としてエントリーしている。そして俺のナンバーは、チームメイトのソムキャット・チャントラ選手の「35」の連番である「36」に決まった。そうこうしてる間に、俺の3年ぶりのMoto2「復帰戦」が始まった。ただ今回は俺のリクエストでNTSの為、乗り方を熟知してる俺には格好のチャンスだった。そして、エンジンが始動すると、トライアンフのあの乾いて澄み切った3気筒の音が聞こえて来た。俺はマシンに跨りコースイン。コースインするとファンと観客からは大声援で迎えられた。何せ2020年の王者が帰ってきたのだから。慣らし運転を終えて本気モードで走るとトップタイムを叩き出していた。予選でも他を寄せつけない速さでポールを獲得。決勝は、3年ぶりながら随所で勝負を繰り広げながら優勝。続くアルゼンチンは、予選で転倒してしまいノータイム。従って最後尾スタートになったのだが、そこから僅か数周以内に前者追い抜き完了及びMoto2クラスが始まって以来初の「全車ラップダウン」を成し遂げてそのまま2連勝を達成。とりあえずはチームアジアをランキングトップに持っていって、小椋君に引き継いで、俺の3年ぶりの「復帰戦」は終わり、そのままWSBKのアッセンが終わった後にスペインのヘレスに直行して迎えた、MotoGP第4戦スペインGP。今回はワークスのレプソル・ホンダからのエントリーだ。ナンバーはWSBKで使っていた「71」に決定した。ワークスチームとなると昨年以来である。今回はHRCから晴南がワイルドカードでMotoGPクラスへとエントリーしている。晴南のナンバーは「81」に決定した。そしてこのレースが晴南のMotoGPデビュー戦でもある。その為、周囲からの注目は凄かった。俺と晴南は2人揃ってマシンに跨りコースイン。普通ならば既にここで走っていたのだが、俺の場合は、かなり「異色」と言われている。それもそのはずだ。17歳でMoto2史上最年少王者を獲得して、そこからシート探しをシーズン開幕ラスト1秒までやって、結局ダメで1年お休みを考えながら帰国してもてぎで愛車シバいてたら、HRCの若林さんに「開発兼リザーブに興味無い?」なんて言われてやってみたいと即決して、18歳でメーカーの開発兼リザーブライダーという前列が無い事をやって、昨年は19歳でWSBK史上最年少王者に君臨という、傍から見ても可笑しい経歴しか無い。フリー走行でもかなり良い所に食い込んで、話題にもなった。そして問題はスプリントレースにあった。MotoGPにスプリントレースはガチで必要無い。スプリントレースは、2人揃って何とか生き残り、トップ10に入った。決勝は、ドゥカティ勢との接戦に勝ち、2人揃って1,2フィニッシュを達成した。
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