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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。
第21話 Moto3代役参戦のオファー
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WSBKで「歴史的死闘」をケリーと演じた後にレオパード・レーシングから「レオパードから出ている鈴木竜生が怪我で2戦欠場が決定した。どうだ?出られそうか?Moto3に?」と打診されて俺は「Moto3か…2017年以来6年ぶりだからな…まともに乗れっかな?俺?でも、乗ったよ。その話。良いよ、出ても。その代わり俺に現行型NSF250RWをテストライディングする時間が欲しい。流石の俺も人間だ。直ぐに乗ってどうこうで済めば可愛い話だけど、今回は、流石に事が事だ。」と頼んだところ「分かった。君にテストライディングする時間を与えるよ。その代わり、決勝までにアジャストを済ませてくれ。」と快諾してくれた。実は俺、HRCの開発兼リザーブと言ってもMoto3クラスには大々的に関与する事が難しいのだ。あのクラスは、プライベーターチーム主体の為、ワークスが下手に関与する事が禁止されている。その為、俺もあまりこのマシンに関しては、多くを知ってる訳では無い。だからテストライディングする時間が欲しいと要望したのだ。最後にNSF250RW乗ったのが今から8年前だから、知らなくて当たり前なのだ。寧ろそれで知ってる方が可笑しいし、怖い。俺は、拠点の日本から、レオパードレーシングの本拠地ルクセンブルクまで出向いて顔合わせやら何やらを行った際に「あれ?コイツってこんなに小柄なバイクだったか?俺が乗った時大柄に感じたんだけどなぁ~。」と呟くと「そりゃ、お前が大きくなったからだよ。久しぶりだな!ヒカル!随分と大きくなったもんだよ!昨年のWSBK世界王者獲得おめでとう!!」と俺に話しかける声がすると俺は「アレックス?本当にアレックスなのか!!久しぶり!元気にしてたか!?」と大喜びしていた。そう、8年前のCEVジュニア選手権Moto3クラスで俺が所属していた「ダッチレーシング・チーム」で俺の担当チーフメカニックだったアレックス、今となっては、このチームで鈴木竜生先輩の担当チーフとして動いてる傍らで俺の事を心配してくれていた。今回は、2戦限定で俺の担当をしたいと自ら希望したとか。あの時は「型落ちワークスマシンでどう戦うか」という答えを直ぐにとは言えないが、お互いに導き出した経緯があるため、お互いに軽口を叩きつつも、尊敬し合ってる関係なのだ。アレックスも「いやぁ、あん時は凄かったな。今でも忘れねぇよ。最終戦バレンシアGPを。ケリーとの一騎打ちをな。そういやぁケリーはどうだ?元気にしてっか?」と懐かしみつつもケリーの安否を心配しており、俺は「あぁ元気だよ。今となっては俺のチームメイトで、最近だと、同郷のライダーであるギャレット・ガーロフ目掛けて、リタイアさせられた腹癒せにありったけの暴言吐きまくってたけどな。」と俺が言うと「ケリーも、遂にお前とチームメイトか。時が経つのも早いもんだなぁ。」とアレックスも呟いていた。そしてメディアでも、俺の2戦限りのMoto3カムバックとその「カーナンバー」は、かなり話題になっていた。何とホンダにとってもMotoGPにとっても「伝説」と言われている「74」をMoto3クラスで「復活」させたからだ。マシンカラーでも俺が「74の所はあの蛍光色で頼むよ。」とリクエストを出す程、俺は加藤大治郎さんを尊敬してるのだ。そして今のMoto3マシンはリアに「ホイールカバー」が装備されてるだとか。そこも8年で大きく変わってる点である。
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