MotoGP HRC Development&Reserve Rider Memory

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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。

第25話 Moto2最終戦バレンシアGP

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遂に今シーズンのMoto2も最終戦バレンシアGPを迎えた。何より、NTSやRWGPにとっても「今シーズンラストレース」となる。そんな中で俺も今シーズンラストレースになった。気付けば色々あった今シーズン。美海と結婚したり、WSBKを「卒業」したり、8耐を2連覇したり、MotoGP、Moto2、Moto3の3クラスを1年で全てエントリーするというかなりタフな1年でもあった。マシンも搬入されて遂にカラーリングがお目見え。キュアスカイをモチーフにしたデザインは「疾走感」溢れるカッコイイデザインになった。今シーズンNTSに乗るのは2回目だけど、最後くらいは、自分が王者獲得した時のマシンを「実戦」で走らせたいという願いをここバレンシアGPで叶える事が出来た。そして、リカルド・トルモサーキット一体も最終戦に相応しいムードになっていた。NTSプリキュアGP by HRCにも多くのファンが押し寄せてくれた。中には俺が世界王者を獲得した2020年の時の写真を持って来てくれたファンや俺のレプリカメットを持って来てくれたファンもいた。勿論サインしないはずがなくて、ちゃんとサインもプレゼントした。海外だと俺は英語でサインするんだけど、よく現地ファンから「日本語でお願いします!」と言われる為、ひらがなで対応している。ファンとの交流も終えた俺は、新しくデザインされたクシタニのツナギに着替えて、KabutoのF-17を被り、メガネをかけてレースモードに切り替えた。そしてNH7に跨り、コースイン。久しぶりのリカルドトルモサーキットに慣れるため、とにかく走り込んだ。国際映像でもかなり取り上げてくれていた。普段は、あまり国際映像に映る機会がそうそう無いNTSだが、俺が加入した2018年と2020年はバンバンカメラに映った程だ。フリー走行とは言えど、決勝とほぼ変わらないペースで走行して、何とトップで終える事が出来た。ガルゾは、まだ慣れてないのか下位に沈んでいた。予選では、レギュラー勢を驚愕させる走りを披露。圧巻の走りでポールポジションを獲得した。迎えた最終戦バレンシアGP決勝。俺は最後くらい全力で暴れて、全力でで楽しむ事にしていた。マシンをガレージからコースインさせてグリッドに着けた。俺はヘルメットを脱いで最後の確認とかをメカニックとしていた。レース開始の時間が刻一刻と近付いて来て、再びヘルメットを被り、メガネをかけてバイザーを静かに下ろした。シフターを「ガチャンッ!」と蹴り上げて1速に。シグナルがオールレッドからブラックアウト。スタートは俺が抜群のスタートを成功させてホールショットも死守した。そこから一気に後続を引き離す事に成功。レースも中盤に入った所で転倒やリタイアが相次いで発生。荒れに荒れまくってるレース展開になった。ガルゾも転倒リタイアという結果に。そんな中、俺は自分のペースで終始レースをリードしていた。遂にレースもファイナルラップ。俺は、3年前を思い出しながら走っていた。そして最終コーナーを立ち上がってフィニッシュ。優勝は俺。2位に出光ホンダチームアジアでのラストレースとなった小椋選手。3位にSAGの羽田選手という日本人1~3フィニッシュも達成した。こうして俺の今シーズンラストランは終わりを告げた。久しぶりのMoto2もかなり楽しかったし、何よりもあの当時のマシンをもう一度、同じ場所で走らせられた事自体凄く嬉しかった。
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