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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。
第24話 Moto2へのお誘い
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WSBKでの活動を終了し、JSBのEXクラスに出る準備をしてた俺は、NTSの代表である生田目さんから「今シーズンのFIMロードレース世界選手権Moto2クラスの最終戦バレンシアGPにワイルドカードエントリーする予定なんだけど、もう一度乗ってみないか?カーナンバー「3+1」を着けてさ。」と連絡があり、「ええ。前々から話は聞いてましたよ。もう一度乗れるならとスタンバイしてました。なら、このオファー喜んで引き受けますよ!」と即決で快諾した。元々王者取ったのも、このシャシーだったから素性は知っているのだ。そしてチーム名も「NTSプリキュアGP by HRC」というチームになった。編成としてはヘクトル・ガルゾと俺という形だが、MMRとRWGPと出光ホンダチームアジアのメカも総動員集めたという事で実質的にMMRとRWGPと出光ホンダチームアジアの合同チームに変わりないのである。ナンバーもガルゾが14で俺が2020年最終戦の時に着けていた「3+1」を纏ってのエントリーだ。これにはHRCもokを出しており、テクニカルサポートをすると表明してくれた。ただ問題なのが久しぶりのレースの為、ちゃんと動けるかという事。そこを考えた上でもHRCにサポートを要請しているのだ。でも、まずは勝つよりも完走する事を第一としてるので、今のところは2021年の最終戦仕様の改良型を引っ張り出してきてるとの事だ。俺的にはこの仕様が一番気に入っている。実際にテストさせてもらった際には、あまりにも素直な挙動に驚きを隠しきれなかった。そんなにクセもなくて「雑味」も無い。そこが気に入っているのだ。カレックスから乗り換えるとなると少し慣れが必要だけど、いざ慣れてしまえばかなり速いシャシーに豹変する。ただ俺も久しぶりのMoto2の為、まともに走れる保証がない。それを回避する為にも、テスト走行に進んで参加した。慣れるためにもだ。そしてこのレースがダンロップで走る「ラストレース」にもなる。シーズン発足から約15シーズンという長きに渡って、このクラスで多くの王者やライダーを生み出してきた、このタイヤとも最終戦バレンシアGPでお別れとなる。来年からはピレリがサプライヤーとして名乗りを上げて、一気に勢力図が変わる事になりそうだ。場合によっては、俺もMoto2復帰を検討する事になる。その為JSBのEXクラスフル参戦が物理的に不可能になる為、少々プラン変更せざるを得なくなってきた。ただNTSから復帰となると少なからず俺が蓄積して来たデータとかがあるので結構楽にはなる。俺はこの話を聴いた際に「何なら2020年最終戦仕様を引っ張り出してこれるか?当時のセットアップのまま?カウルのみ一昨年の最終戦仕様で頼む。俺あのカウル好きなんだよ。かっこよくてさ。」とかなり無茶な要望を出した。すると生田目さんは「分かった。九嶋君がそこまで言うと思ってたから、あの最終戦の後、本社に動態保存してあったんだよ。にしても変わってないな~。初めて会った時からかなり細かい注文ばっかしてくるの。でもそのおかげで世界の頂点に立てた。今回も頼みますよ!注文の多い料理屋のシェフさん!」と乗り気で準備してくれた。事実テスト走行時に俺が世界王者取った際のシャシーに、一昨年最終戦でバリーバルタス君が使ったNH7のカウルを組み合わせた所、かなり化けて、2020年最終戦バレンシアGPのラップレコードを更新してしまうという珍時まで起きてしまった。それくらいの仕上がりをしているのだ。カーナンバー31もあの時同様「3+1」というゼッケンを着けてのエントリーになった。ヘルメットはWSBK最終戦日本GP仕様を持ち込んでいる。
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