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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。
第23話 モリワキMD213VFテストライティング
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WSBKも前半戦を消化して、8耐のテストで鈴鹿にいた俺は、テスト後にモリワキの方から「うちのEXクラスマシンを一度乗ってみて欲しい。確かHRCで開発ライダーもやってるんだよね?」と頼まれて「分かりました。ですが聞いた所、約20年振りに、プロトタイプマシンを製作したとの事ですが、MD211VFの技術も採り入れてるのですか?そこがすごく気になってるんです。毎戦毎戦激しい戦いを演じて、ファンを盛り上げてるこのクラスを走る上で何をしてるのか、何が必要なのかもこの身に焼き付けたかったので、むしろありがたいです。」と俺は返した。そして俺の目の前には「モリワキトリコロール」を纏ったMD213VFが現れた。しかも鈴鹿ラウンドを戦ったままのセッティングだとか。俺は、新調したスーツとメットに着替えてマシンに跨ってコースイン。ホンダのV4を鈴鹿の地に轟かせた。俺は、この時に左足首を捻挫していたので、そんなに攻めた事は出来ないと思って前々からモリワキの方に「右足用シフターって制作出来ます?」とリクエストした所「出来ますよ!!というより那由多君がね…右足シフトなんですよ。だから問題無いとは思いますよ。」と返答が来ていた。那由多君は世界的にも珍しい「右足シフト」を使っている。バイクは通常「左足シフト、右足リアブレーキ」なのだが、那由多君は逆にしている。本人と話す時があって、そこを突っ込むと、「僕の場合は、右足の方が早いシフトチェンジが出来るからそうしてるだけ。」と返ってきたりもした。そう考えると理にかなってるか。ただ、左足首捻挫してるからバンクさせるのが難しく、ノリック走法に頼る事にした。その方が足首にも負荷がかからずに済む。俺からすれば「好都合」なのだ。そうしてる間に、このマシンの特性を理解してモノにしていた。ただ欠点を言うならば、ややピーキーで「荒削り」な部分が目立っている。それ以外は、コーナリングもスピードもあるマシンになっている。ピットに帰ってきて俺は「現行型のRC213Vより乗りやすく感じるね。開発ライダーやってる身からしても。楽しい。」と率直な事を言ったりもした。これを来年俺が乗るとなると、特性をさらに理解しておく必要が出て来た。ただ、これを誰も見てない訳では無くて、美海と星奈の2人が見ていた。俺は即発見されてしまい「あんたね…左足首の捻挫治すのが最優先事項じゃなかったっけ?何乗っちゃってるのさ!?」とか色々言われた。でも俺は、モリワキに来るなり「普段から技術支援やマフラーやエキマニとか色々ありがとうございます!藤井さんも興味津々ですよ。モリワキのエキマニやらマフラーやらに。」と言うと「藤井さん…あぁ!TSRの!なぁんだ!何かウチらと合同メンテしようなんて言ったもんだから、ビックリしちゃって腰抜けたかと思ったは!でも、ウチらのパーツに興味を持つなんてありがたいよ。」と喜んでいたりもした。そんな中で出て来たのが「うちらのマシンを今年復活したMFJ-GPで走らせてみようかと思ってる。既にチームは決定しててホンダのMotoGPサテライトチームに、このMD213VFを供給する事になった。ライダーは君に走ってもらおうかとな。」という話が出て俺は即決でMFJ-GPへのエントリーを決定した。
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