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縁の下の力持ち、そして、ワイルドカードエントリー。
第27話 新型CBR250RR-R 開発テスト
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カワサキからZX-25Rという「問題児」が世に出てから早4年。遂にホンダも「250cc4気筒」という「伝説のバイク」を再び作ろうという流れになってきていた。個人的にはアリだ。あの官能的で本能を「刺激」して「覚醒」させるサウンドを再び響かせられるのならば。そう思った俺は、真っ先に「俺も、このチームに加わっていいですか?レーサー目線もそうですし、CBR1000RR-RWの開発もやった時のノウハウが活かされると思うんで。」と手を挙げて加入する事にした。先ずはマシンデザイン。デザインはCBR1000RR-Rの現行型を小さくしたデザインに。メーターも回転数は23000rpmまで刻むというデザインになった。エンジンも最高許容回転数2万~22500という超高回転型に仕上がったけど、トルクはそれよりも低い回転数で出せる様な仕様になっている。最高出力は国内仕様で48ps(ラム圧過給時に50ps)、インドネシア仕様で53psというハイパワー型に仕上がっている。電子制御システムもABSやTCSは標準装備。クイックシフターも標準装備という豪華ぶりだ。スロットルも電スロという先代からのキャリーオーバー。ここまで派手にやっといて、価格も「誰もが手を出しやすいバイクになる様に。」という命令から、やむを得ずコストカットする部分はしている。それが一体何なのかと言うと、可変バルブタイミング機構の採用とかである。本当は入れたかったが、必要なのかどうかと言われたら要らないというのが答えになっている。確かに言われてみればそうだ。あの回転域でいきなり挙動変わったら乗れたもんじゃない。そして、このマシンは2021年全日本ロードレース選手権最終戦もてぎ以来のワークスチームである「Team HRC Moriwaki PRECURE Splash☆Star Ride Lab」を結成して「賞点外エントリー」という形だが、エントリーする事も決定した。マシン開発も順調に進む中迎えた、アジアロードレース選手権もてぎAP250を迎えた。カラーリングは俺がキュアウィンディで、いろはちゃんがキュアイーグレットという「進化キュア」のカラーリングを纏っている。タイヤはMoto2以来のダンロップを使うが、1セットしか使えないので、ガチで頭フル回転させないと行けないカテゴリーでもある。それと8耐前なので、あまりバカやる事も出来ないが楽しむつもりだ。元WSBK王者が、このクラスにカチ込むなんて、まず無い。こうして、もてぎ入りした俺は、キュアウィンディ仕様の限定ツナギとメットを身にまとい、最終チェックをしていた。いよいよコースインの時間となり、新型CBR250RR-Rがコースイン。普段走らせてるMD213VFよりも遥かに軽く、パワーも少ないが、速い。それがこのクラスの「醍醐味」でもある。俺は、思ったよりもタイヤをどう長持ちさせるかに固執するあまり、自分の走りを封じられた感じの走りを強いられていた。ガレージに戻る度にオンボードを見返しては悩みを繰り返していた。そんな中で俺は思いもよらない「奇策」をする事を考えついた。俺は、チーフメカの水沢さんに「いろはちゃんのセットアップにできる?もしかしたらそれでタイヤを上手く使えるかもしれない。」と言っていろはちゃんのセットアップを試したら、見事大当たり。タイヤの持ちが良くて、安定したペースで走れる。これには俺も大満足だった。そんなこんなで決勝を迎え、一気にワイワイムードからガチの「レースモード」に切り替わった。そう、これは「レース」でもあり「格闘技」でもあるからだ。ただ規定により、俺らチームは「最後尾グリットスタート」になった。俺は、いつも通りに走るだけと言い聞かせていた。シグナルが、赤からブラックアウトしたタイミングでロケットスタートを決めた。一際鋭く響く4気筒の音に観客も皆歓喜した。俺は、周回を重ねる毎にいろはちゃん共々順位を上げて、トップ争いに加わった。こうして迎えたファイナルラップ。俺はハルクプロのCBR250RRを捉えてトップになったままゴール。3位にいろはちゃんが入った。ただ問題は「賞点外エントリー」という事だったが、表彰台は登れるので一安心。ただこれで終わりでは無い。後は、宇川さんとも開発する仕事もあるが、基本的にはレースベース車の方に俺は振り分けられてる為、大変になる事は間違いない。
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