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第2章 王者防衛戦。親友の死を乗り越えて。
Round1昨年のリベンジ(ラリーモンテカルロ)
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日本でのシーズンオフを終えて、俺と美海は、開幕戦の地であるモンテカルロへと向かった。ここは、昨年凄く悔しい思いをしただけあって、今年こそはリベンジしたいと思っていて、日本で過ごしてる間も、ゲームを使っては、何処がダメだったのかを突き詰めたりしていた。こうして、今シーズンの開幕戦を迎えたのだ。今季型のヤリスには、昨シーズンの最終戦ラリージャパンで先行導入した、東富士研究所及びTMGでは「Code-J」と呼ばれている、ダイハツと共同開発した「1XR-DET」をベースにした、こちらも、ダイハツと共同開発した、ニューエンジンである「1RZ-DET」を投入している。主な変更点は昨年型の「TGR-GRE1.6T」より、細かなアクセルワークにも対応出来る様な電スロを開発して装着したり、直噴インジェクターに新開発の「トヨタD-4WRC」を採用したりと、細部に渡って改良している。タービンは、米国のギャレット・エアリサーチ社だが、昔からトヨタのターボエンジンは、タービンをギャレット・エアリサーチ社製にしてるから、違和感が無いと言うより、昔からの車好きからは、「トヨタはギャレットとIHI。日産はIHI。ホンダはIHIとMHI(三菱重工業)、スズキとダイハツとスバルもIHI。三菱は自分ち所」という言い伝えがあるくらいだ。ちなみに俺のマシンには、当初の予定では「ジョーカーエンジン」と言われてる「1XR-DET」を搭載するはずだったが、あれはあくまでも「最後の切り札」としてラリージャパンまで温存していた「隠し球」でもあり、あの後、エンジンをバラしてみたら「持って次のラリーを走れるかどうか、下手すれば、一発勝負用になる。」と東富士研究所の和泉さんに言われて、俺は、「一発勝負用?」と聞くと、和泉さんは、「元々このエンジンは、昨年のラリージャパン限定で君専用に作ったスペシャルエンジン。だから、寿命をラリージャパンの期間のみに定めてた訳。だから、ラリージャパン終了と同時に、どっかしらが自壊するように、一部パーツの強度を意図的に低くして、わざと脆く作ったはずなんだけど、何故か不思議な事に、「謎の力」が発動して、あと1回使える状態だった。だけどこれは、そんなに量産出来る訳では無い。作れて4基が限界。そこまでこいつは高い精度と技術を要求してくる凄いシビアなエンジンなんだよ。図面引いてる時も僕自身「悪魔に魂を売った」と思いながら引いてたくらいだよ。」と話してくれた事を思い出したりしていた。そして、4台のヤリスWRCには、ニューエンジンを投入しているが、実はニュージェネレーションのマシンは、昨年俺が乗ったマシンをベース(デフはDCCDでは無くて、ほかの2台と共通のデフ。)に開発されていたりしてる。全マシンが一同に集結して、集合写真を撮影してから、セレモニアルスタートを迎えた。俺と美海は、マシンに乗ってスタートスロープに登り、皆に手を振って、スロープを降り、レースの舞台へと出発した。そして、一際注目を集めたのが、ニュージェネレーションの2人だ。紹介する人が「Next Driver is Japanese Rookie,Hinata Kazuno&Ai Kurosawa!」と紹介すると、大きな拍手が、選手と観客とファンから巻き起こった。勿論俺と美海も拍手を贈り、WRC挑戦を改めて歓迎した。迎えたDay1。この日から今年の世界ラリー選手権は、荒れた展開になると神から告げられる様なラリーだった。何と、トップに鹿角、黒澤組が入るとかいう、これまでに無い荒れた展開に。これにはどの陣営も本気に。何せ、滅多に無い「イレギュラー」が起きているのだから。勿論俺と美海も「例え後輩だろうと何だろうと関係ない。ここまで来た以上は、食うか食われるかの弱肉強食。何なら、レグ2で食い潰す勢いで行こう。でないとあの子達には勝てない。」と言うほどだった。そして、後輩ズは、世界ラリー選手権の「洗礼」を受け「地獄」を目の当たりにする羽目に。早く逃げた方が身のためだよ。後輩ズ。俺は、レグ2開始前に「君達は一体何もんだい?あんなタイム出せるなんて聞いてないよ。だけど先言っておくよ。逃げてリード作るなら今のうちだよ。それが一体何を示唆してるかなんて言うのは、自分達で考えな。」と言ってマシンに乗り込んでスタート地点に向かい。「よっしゃ、美海ちゃんよ、あの2人を屠るとしますか。」と言うと美海も「そうだね。先輩としての威厳もそうだけど、自分達の立場もあるからね。それを教え込まないと。だね。」と言って「ガチャンッ!」とパドルを引きギアを入れて、サイドを手放して、勢い良くスタート。後輩ズとのタイム差は、対して大きいものではなかった。そして、レグ2では、あの2人を全力で屠ってトップを奪取した。そして2日目は、開幕戦にも関わらず、全メーカー、全チーム間による「全面戦争」が勃発した。これには俺とサマイアも「遂に恐れてた事が起きちまったな…マジでどうすんだよ…これ…」と言うくらい苛烈なものであった。もうこうなった以上は、チームオーダー抜きにしても、全力で敵を殺しに行くくらいの勢いじゃないと勝てないのは目に見えていた。この日は、各車差が1秒以内という「超接近戦」を展開して、迎えた最終日。2位の後輩ズとのタイム差は、僅か1分。下手すれば…なんて考えてた。だけど「1RZ-DET」には「ジョーカー・ブースト・デンジャラス・ギャンブル・システム」と言う、「一発勝負用のマッピング」が存在している。このマッピングは、存在自体が「超重要機密レベル」とも言われており、「隠しコード」を使わない限りは、「絶対起動させる事すら不可能」な仕組みになっており、それを知ってるのも「極わずかな限られた人」というくらいの「エグいマッピング」だ。ちなみにこれを1台でも作動させた場合、「安全保安上の理由で、作動させてなくても全車一斉オーバーホール。」と言う文言まであるくらいだ。それくらい、エンジンとマシンに桁外れかつ莫大な負荷を与えてしまうマッピングでもある。ちなみに後輩ズも、その「限られた人」の類いであり、起動シークエンスを知っている。その隠しコードというのは「まずは、エンジンマッピングダイヤルを「JBS」の方に回してから50秒以内にブレーキを4回踏んで、サイドを4回引く、そして、その後にパドルシフトをアップに6回引いて、ダウンに5回押す。その後、ダイアル中央のボタンをクラッチを踏みながら押す。」と言う非常に面倒な手段だが、そうでもしないと、迂闊に触って「誤作動」させてしまう可能性があるからだ。そして俺は、「こうなった以上は、メカさん達の負担も増えちゃうけど…使うしかない!」と思い、出発する時刻の30秒前にこのモードを起動させて、メーターには「Joker Boost System Activate Ready ON!」と表示され、サービスパークから出発してから、スタート。俺は、後輩ズやその他諸々の奴らを「えげつないペース」で引き離していた。そして、ゴール。結果は、俺が昨年のリベンジを果たす事が出来た。ゴール後に思わず叫んでいた程、嬉しかった。一方後輩ズも3位表彰台を獲得した。ラリー後に、全車一斉オーバーホールを行い、細かな部分まで隈無くオーバーホールを行った。と言っても、まだまだ使える様な部品はそのままキャリーオーバーして、次のラリーに備えて、開幕戦を終えた。
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