FIA World Rally Championship Crazy Road

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第2章 王者防衛戦。親友の死を乗り越えて。

Round4 ツール・ド・コルス

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前回のメキシコから、舞台は、フランスのツール・ド・コルスへ。毎年、数あるラリーの内、このラリーだけはどうも好きになれない。理由は単純で、あんな断崖絶壁を好きになれるやつなんていないと思う。本当に生きた心地がしない。後輩ズには、アドバイザーとして、お姉さんズが帯同してくれており、コツとか攻略法を教えてくれてるけど、やっぱり顔が引き攣って、若干青ざめていた。俺も、レッキの時から極力、ガードレールから下を見るのを避けていた。本当に、トップクラスであるWRCクラスのマシンが「F2キットカー」じゃなくて良かったと思う。あんな車重1t切りの車体に、10000rpm近くまで回る超ショートストロークのNAの4発と7速クロスミッション積んだマシンで走るとか、はっきり言って「マトモ」じゃない。その点考えると「車重」って大事だなと思う。ただ軽けりゃ良いってもんじゃないというのが分かる。こんなコースを「グループB」で走ってた、ミシェル・ムートンさんや、アリ・バタネンさんは、「狂人」だと言うのがわかる。レッキも終わり、ペースノートを作ってる時に、お姉さんズがやって来て「ここのセクションは、道幅いっぱい走るのもそうですが、実際の所は右から左へ突っ込む様に走った方が、速く走れますわ。それにしても、昨年デビューしたと言えこんなに上手いペースノートを見たのは、初めてですわ。」「道理で昨年強かった訳だ。ここまで、綺麗にまとめてるペースノートを見たのは初めてかも。もしかして、夜も纏めてたりしてる?」とアサミさんが美海に聞くと「はい。夜も纏めてたりしてます。ラリージャパンの時は、宿泊先の安田屋旅館でも、夜景を眺めながらやってました(笑)。」と美海が言うと、アサミさんは「私と一緒だね。私も現役時代よくやったよ。夜も纏めてたりしてた。寝る直前までね。あそこで輝君と話してる、有紗に見つからないようにね。」と話していたりもした。俺も有紗さんと「一応セッティング自体は昨年のもので行くつもりですが、何もかもが変わってる俺のマシンでは、多分通用するかどうか、そこだけめちゃくちゃ不安なんです。」と言うと、有紗さんは、「確かに、分かりますわ。貴方のマシンは、ビッグマイナーチェンジをしてる様な物なので、昨年のセッティング自体、通用するかどうか、ですが、大元は変わってないので、大丈夫だと思いますわ。聞いた話だと、愛のマシンは、貴方が昨年王者獲得したマシンを乗ってるとの事ですが、何か秘訣でもあるのですか?」と聞かれると「秘訣と言うより、あの子のマシンと俺のマシンは、ある意味、「似て非なるもの」なんです。」と言ったら「似て非なるもの?なんですか?それは?」と聞かれ、俺は「デフを変えてるんです。俺のマシンは、スバルから供給されてるDCCD、あの子のマシンは、他の3人と共通のデフを使ってるんです。」と言ったら、有紗さんは、「DCCD…聞いた事ありますわ。もしかして、インプレッサに搭載してた、直角コーナリングが出来るアレの事ですか?!」と驚いていた。そんな事を話したりして迎えた初日。色々考えた末、セッティング自体は昨年のセッティングのまま行く事にした。そして、スタート。初日からかなりハイペースなラリーを展開して、トップで初日を終えて2日目も、自分のペースをキープして、トップは譲らなかった。迎えた最終日、今回はなんと、後輩ズが「ジョーカーブースト」を使用する事になった。今回から、少しやり方が変わり、レース後は、「全マシン」では無くて、「使ったマシンのみ」オーバーホールする事になった。後輩ズが、「ジョーカーブーストシステム…アクティベート。」と言うと、「Joker Boost System Activate 」とインパネに映し出された。起動方法も、今回から変更されて、「発動コマンド入力後、音声認証(ボイスキースタート)を行う事。」となった。そして、俺も負けじと「Yeah…alright!…Joker Boost System!Activate!」と「裏手段」として「ボイスキースタートのみでの起動」を実行して、ジョーカーブーストシステムを起動。そして、スタートラインに着いて、美海に、「ドッカン来るから気を付けてね。」と言うと、美海も「分かった。」と言って、スタート。2位の誠真との差を拡げていき、そのままトップでフィニッシュ。それと同時に、まさかのタービンブロー。ゴール後に「バシュン!!」という音が聞こえて、2人して、虚無の顔になった。後輩ズのヤリスも、危うくエンジンブロー及びタービンブロー手前のラインだった。そして、マシンが戻ってくるや否や全部取っ替える事になった。実は2基目のエンジンには、「ボールベアリングツインスクロールタービン」という「究極のタービン」を搭載している。後輩ズのヤリスには、実は「致命的な不具合」が発見された。それは「オーバーシュート」という「エンジンパワーより、過給圧が上回ってしまう現象」が見つかり、すぐに、2基目のエンジンに交換となった。こうして後輩ズのヤリスは、これが最初のアップデートになった。最初のアップデートが、改良型エンジンとか贅沢過ぎだろ。だけど、最後は3位の星奈を、ストレートのタイムで逆転しての3位だったから、すごいとしか言いようがない。
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