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第1章 小さな星。
王者の翌日
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最終戦ラリージャパンで王者を獲得した、俺と美海。今回は、FIAの式典に呼ばれて、「スピーチ」をする事になっている。そして会場に到着して、司会が、「それでは、今シーズンの世界ラリー選手権の王者に輝いた、磯谷輝選手による、スピーチをしてもらおうと思います。」と言われ、俺は壇上に登壇して「どうも皆さん。初めましての人は初めまして。そして、いつも戦ってる戦友の皆、こんにちは。今シーズンの世界ラリー選手権の世界王者になった、磯谷輝です。今シーズン、世界王者になれたのは、決して俺だけの力では、ありません。隣に居る、コ・ドライバーの美海選手、トヨタの皆、鹿角、黒澤、両先輩のおかげでもあります。最終決戦の地となった狩野ドーム。当初は、こんな所にコースなんて出来るわけ無い。皆そう思ってました。ですが、過去の大会では、ヤフオクドームでやったという事例を聞いたことがあったので、これなら出来るのでは?と皆が一丸となって、あのコースが出来ました。そしてチームの宿泊先であった安田屋旅館で見た、夜の三津の海岸がすごく美しかったのを今でも覚えてます。残念ながら、自分の生まれ故郷である修善寺は、道路事情や交通事情の関係で「ラリー競技」として走る事が叶いませんでしたが、リエゾンとして走った時は、思わず涙が溢れそうになりました。修善寺のリエゾンから最終決戦の地である、狩野ドームでのラリーの際には、あまりのプレッシャーに押し潰されそうになり、手の震えが止まらなくなり、自分自身に怯えてました。ですが、その時に両先輩がやって来て、俺と美海選手の背中を押してくれて送り出してもらったりもしました。あのスタートの瞬間ほど、自分の中で緊張するものはありませんでした。これが今シーズンの集大成でもありました。あの時は「最後の1秒」、その最後の1秒が物凄く長く感じました。そして開幕戦のモンテカルロから、途中ドイツで体調不良による欠場を挟んでしまいましたが、最終決戦の狩野ドームまで今シーズンを共に走ってくれた佐藤美海選手には、今一度、感謝と敬意を表明したいです。WRCというのは、F1と違いサーキットではなく、一般道や、砂利道や砂漠みたいな道を走る競技なので、フルターマックの時は、よく父親から、電話でアドバイスを貰ったりしてました。確かこれは、今でも鮮明に覚えてますが、俺がWRCに飛び込んだのは、両先輩の一言でした。「道無き道を走ってみる気はありませんか?」その一言で俺は、「走ってみたいです!」と言って、WRCに飛び込みました。そして、王者を獲得出来たりと、まさに奇跡が奇跡を呼ぶとはこの事だなって思います。そして昨年は、今日この表彰式に来ている鹿角、黒澤の両ペアが最大のライバルでした。でも今年は、セバスチャン・オジェ選手とコ・ドライバーのジュリアン・イングラシア選手という「世界最強ペア」がライバルでした。狩野ドームでの最終決戦の時、最後にミスをしたオジェがホームストレートで、そのミスを挽回した時は、どうなるかとヒヤヒヤしてました。確か差がコンマ数秒。その「コンマ数秒」が、今シーズンの全てを物語ってくれました。最後は、スローモーションカメラを用いてまでどっちが1位なのか、よく分からない状況でした。ですが、俺と美海選手の方が僅かに前に出ていたので、そこで全て決まりました。最後のコーナーをクリアした時、美海選手が、「ファイナルセクションクリア!ホームストレート!行っけぇ!!今だ!フルスロットル!!」と叫んでいたのは、一生忘れないと思い出です。そして、王者獲得に協力してくれたトヨタガズーレーシングWRT、サンライズ、ブシロード、株式会社アライヘルメット、ここに居る皆に改めてお礼を言わせてください!今シーズン、一丸となって、全力で戦ってくれて、ありがとうございました!!そして、今日来ている皆や今日来れなかった皆が、今シーズンの「ヒーロー」でもあり、「ワールドチャンピオン」だと俺は思います。これで、俺のスピーチは、終わります。ご清聴ありがとうございました!!」と言うと、大きな拍手が巻き起こり、美海の方にも、大きな拍手が巻き起こった。
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