FIA World Rally Championship Crazy Road

文字の大きさ
42 / 64
第3章 その先に見えた「星」

Round9~12王者へのロングジャンプ(フィンランド~カタルーニャ)

しおりを挟む
前回のサルディニアから、北欧のフィンランドへと移して迎えた第9戦。実は来季から、この最高峰クラスの車両規定を変更する事がここで発表された。だけどいきなりでは無くて、全メーカー全チーム同意の元での変更になった。その名も「WRカーEvo」と呼ばれる現行WRカーと旧規定をベースに4WDでは無いマシンにも4WD化を認めた規定である。実はTGRもそれを見越して、86(見た目の良さでKoukiでは無くて、前期型)をベースに新たなWRカーを製作しており、最終戦ラリージャパンでの「先行エントリー」を表明している。5ドアハッチバックから2ドアクーペになったので、空力的にもかなり有利になっている。今回はそのデータ収集も兼ねてのラリーになった。エンジン系は、従来通りの1.6リッター4気筒直噴ターボエンジンでV型とロータリー以外の形式(直列エンジンと水平対向エンジン)ならokということになっている。俺のマシンには来季導入予定の「テストパーツ」が多数組み込まれていた。初日は、様子見で走りつつもトップスピードの205.2Km/hを記録するなどの快調ぶりを見せた。2日目と最終日は、トップタイムを連発して久しぶりの勝利を掴み取った。

第10戦ラリードイッチュランドは、何と俺が一瞬のミスを犯してしまい、ヒンケルシュタインにマシンをヒットさせてからのクラッシュでデイリタイア。何とか完走出来たものの歯切れが悪過ぎたり、何か胸焼け気味で嫌なラリーになった。

第11戦ラリーターキーは、前回の悔しさをぶつける走りを披露して、TGRの独壇場になった。特に言うならば、2号車のミルキーが覚醒して他を寄せ付けない速さを見せてくれた事。あれには驚いた。俺も追いつこうと必死だったが、あと一歩及ばず2位でフィニッシュ。でも走っててすごく楽しかったラリーでもあった。

第12戦ウェールズ・ラリーGBは、誠真へ捧げるラリーと称して「トリビュートカラー」を纏ってのエントリープラス「ワークスノミネートは最大2台まで」という事で俺と2号車のミルキーのみワークスノミネートを行い、3号車ソレイユと4号車セレーネは、ネクストジェネレーションからのエントリーでTGR勢は上手いこと「帳尻合わせ」を行って挑む事になった。俺もヘルメットを限定デザインにして走ることを決めた。マシンには「Racing for Seima Rally for Seima」というデカールも追加されており、俺に関しては誠真と俺のメットがあしらわれたデザインになってるとか。ラリー前には皆して黙祷を捧げた後に、ブラッドレーにも「今日、いや、最終日にポディウムで会おう!だから絶対リタイアすんなよ!」と言うと「当たり前だ!カイトもいる!ヒカルも居る!ミウもキラナもエレナも皆いる!だから絶対ポディウムで会おうぜ!」と握手を交わしたりもした。俺はマシンに乗り込むと、美海ちゃんに「今回だけは…絶対勝とう。でないと俺、あいつに合わせる顔無くなっちゃうから。」と呟いたりもした。ラリーは初日からデッドヒート状態。トップ3を日本人ドライバーが占める程の速さを見せた。しかも超僅差で。最終日は、昨年あいつが走り切るはずだったステージが組み込まれていたので、形見のグローブをはめて走る事にした。美海ちゃんのスタート合図は、勝利への「ビクトリーロード」に向かう「片道切符」でもあった。昨年、あいつが旅立ったセクションをトップスピードでクリアして、最終セクションもリズミカルにクリア。そして「最終セクションクリア!フィニッシュ!」という声がインカム越しに聞こえた瞬間、「やったぁぁぁぁぁ!!やったぁぁぁぁぁ!!俺勝ったんだ!見てるか!誠真!あの日の約束、果たしたぞ!!フィニッシュライン通過したらまた会おうって約束を!」と大粒の涙を流しながら叫んでいた。2位にはヒョンデの海斗君&ブラッドレーコンビ。3位には星奈とカルデロンコンビが入り、日本人ドライバー123を達成したのと同時に、昨年誠真が登るはずだった「1位」の所には彼のヘルメットが置かれていた。俺はそれとスナップショットを天高く掲げて天国にいる誠真へと勝ったことを報告した。こうしてヤリスWRCラストラリーになったラリーGB。次戦は、伊豆での最後の開催となる最終戦ラリージャパン。ここでニューマシンであるトヨタ86WRCがデビューする事になる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

【新作】1分で読める! SFショートショート

Grisly
ファンタジー
❤️⭐️感想お願いします。 1分で読める!読切超短編小説 新作短編小説は全てこちらに投稿。 ⭐️忘れずに!コメントお待ちしております。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

偽夫婦お家騒動始末記

紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】 故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。 紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。 隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。 江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。 そして、拾った陰間、紫音の正体は。 活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...