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第4章 超短期決戦
Round3 とんでもない結末(ラリーメキシコ)
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前回のスウェーデンから、メキシコに移して迎えた第3戦。そろそろ俺は、ここで優勝しないと今後に影響してくる。そんな時、どうやらIHIが新作のタービンを製作したらしく、俺に装着させて走らせて欲しいという事で俺のマシンであるグレースに新作のタービン「IHI-RX1」が装着された。このタービンは、ボールベアリングツインスクロールターボというスバルが得意とする物で、低回転域から高回転まで幅広く対応可能なのだ。今回はそれでどうなるかも試したいらしい。タービンを装着し終えた俺のマシンは、前みたいな「ドッカンターボ気質」が収まったとの事らしい。開幕2戦を勝てなかったのは、このドッカンターボ気質に俺が慣れてないことが原因だった。何かアンチラグ全開にしてもなって感じの挙動でグループBに近い挙動だった。それを解消すべく投入したのがこれという事だ。俺は、「これで勝てるのならば…」と思いつつセレモニアルスタートを迎えた。そして、この思いは初日から届いてくれた。初日。俺は、これまでに無いくらい速いペースでラリーをリードすることが出来た。ここ2戦で溜まった鬱憤晴らしも兼ねてのラリーだったので結構スッキリしたし、モヤモヤが晴れた。まだドッカンターボ気質が完治してないのが玉に瑕だけど、VB43RXよりかはマシになっている。あれはじゃじゃ馬気質剥き出しだったから。俺も美海ちゃんもお互いが「そろそろドッカン来る!」と、心の中で準備して置いたのが功を奏した結果が現れている。コーナリング時のターンも「ビックバンターン」と呼ばれる物に進化していた。それは、このタービンの為だけに生み出した「奥義」でもある。まず意図的に、エンジン回転数を外してターボラグを発生させてからアクセル半開で惰性を活かしてパワーバンドスレスレまでキープしてからコーナー脱出寸前まで持ち堪えて、コーナー脱出時に一気に踏み込んで抜けるというコーナリング方法だ。最初は偶然これをやってしまい、2人揃って困惑していた。「今一瞬、時間が止まったよね。」と。だけどこれのおかげでトップタイムを記録して初日を終える事が出来た。続く2日目。初日で編み出したこの技を使い、区間でもトップタイムを記録。俺的にもかなり大満足な2日目だった。ビックバンターンをする際に俺と美海ちゃんは意図的にインカムの音量を下げて「ターボのタービン音」を直接聞いて「キュィィィィン!!!」という音が聞こえた際にインカムの音量を戻して「今よ!」という美海ちゃんの指示の元、俺は躊躇う事無くアクセル全開でコーナーを脱出していた。迎えた3日目。ラリーメキシコは、思わぬ結末を迎えた。何と明日の最終日に設けられた3つのSS/56.01kmをキャンセルして、3日目の最終ステージである、ロック・アンド・ラリー・レオンをもってフィニッシュするという発表を公式からされた。理由しては日本でも猛威を振るってる、新型ウイルス感染症の世界的流行に伴って急速な旅行制限が発動される為の措置だという説明までされている。WRCプロモーターとトヨタ、ヒョンデ、フォード、スバルのマニュファクチャラーズチームの双方合意の元で、ラリーメキシコ主催者は、日曜日の午後に予定されたフィニッシュを1日早めることをFIAに要求することになり、ラリーは土曜の最終ステージとして行われるロック・アンド・ラリー・レオンをもってフィニッシュ、アリーナで表彰式を行ってイベントを終了することを発表した。その結果、俺が昨年のラリーGB以来の優勝を達成したのと同時に今シーズン初優勝を達成した。2位には妹ズ、3位には、ヒョンデjrの花菜ちゃんが入った。ここから世界ラリー選手権は、何とこのウイルス感染症の世界的パンデミックの影響を受けて実に6ヶ月もの間休みをする羽目になってしまったのだ。そんな時に、俺と美海ちゃんは豊田章男社長から「6ヶ月もの間休みになると流石に退屈でしょ?なら、ル・マン24時間レースに出てみないかい?」というとんでもないオファーを貰ってしまったのだ。当然首を横に振った瞬間どうなるか知ってるので、「出れるなら是非とも!」と即決快諾。こうして、俺と美海ちゃんのル・マン挑戦もスタートするのだった。
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