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1 翼と秋吾
しおりを挟む何気ないダンスの練習日。
スケジュールが入ってるだけで大した事をするわけじゃない、振付師が監視してるわけじゃないからストレッチをして各々携帯をいじったり雑談をしたりの時間を過ごし、現在は出前で注文した寿司を四人で囲って食べている。
「ほらほら、ホシミン!サーモン好きだったでしょ?遠慮しないでいっぱい食べて」
「食べてるよ?…でもありがとう」
「秋吾、わさびロシアンルーレットで朱里が勝ったら結婚しましょう」
「何言ってんだ…?
梵、青葉木、お前たちは普段から少食なんだ。遠慮せずたくさん食え」
レッスン室に椅子があるわけでもなく、全員床に座って昼飯を食べる。秋ちゃんを除いた三人は少食という事もあって三人前で注文した。
僕の隣にホシミン、秋ちゃんの隣に朱里くんといった形で本当に"ビジネス"だなぁと改めて感じた。
「あ、そう言えば…昨日母から送られてきたクッキーがたくさんあって皆にお裾分けで持ってきたんだ。…嫌じゃなければぜひ食べて?」
そう言うとホシミンは近くに置いていたカバンから缶箱に入ったチョコチップクッキーを真ん中に置いた。塩っ気の効いた甘塩っぱい香りが鼻を通り美味しそうだ。
「実家は洋菓子店だったもんね
僕が小学校の頃、遊びに行くと毎回ケーキ出してくれたし」
「母は強引な所もあるから断れなかったよね…
でも結構美味しかったでしょ…?」
「強引なんかじゃないよ!
今日は何のケーキが出るかなぁってウキウキしてたくらいだよ!今度は僕がお母さんにプレゼントあげなきゃね」
「へぇ……あ、美味い」
「秋吾…朱里以外の者が作った物を…」
色々と騒がしい昼飯の時間を終え、マネージャーから呼ばれた朱里くんとホシミンの帰りを待つ僕たち。
朱里くんの秋ちゃんに対しての距離感がおかしいからか、「近い」と言い毎回離そうとしている割には僕の隣に座る距離は拳ひとつ分ほどしかない。
いつもはウッディな香りが漂うけど、先ほどまで腕を絡ませていた朱里くんのセクシーなムスクの香りと混ざりあっている。
「相変わらず好かれてるねぇ」
「あぁ、アイツには悪いが今は休憩できてありがたい」
「僕と秋ちゃんだからあれだけ怒るんだろうなぁ。多分ホシミンと秋ちゃんならそこまで嫌な気持ちにならなかったと思うんだよね」
「……なんでだ?」
「僕は唯一、結成前からの朱里くんとの関わりが一切無いでしょ?突然現れて大好きな秋ちゃんに信頼されてるなんて彼にとっては相当悔しいのは理解できるよ。でもさ、秋ちゃん…?」
体勢を変え秋ちゃんの膝へ向かい合わせに座ると、切れ長な綺麗な瞳に僕の姿が反射した。クールだけどキョトンとした表情を浮かべる秋ちゃんが歳下らしくて可愛くて、そのままギューッと抱きしめた。
「ライブに来てくれた子達には、僕と秋ちゃんが付き合ってるって認知されるんだよ?まずは朱里くんにバレない様に仲良くなろうね?」
「…可愛いな、計算?」
「どうでしょう?ちゅーでもしとく?」
僕がそう言うと、大きくて長い指に口を塞がれた。
改めてガードが硬いなと笑いながら膝から降りようとしたら、左手で腰をグッと掴まれる。
そっちから口を塞いできたのにも拘わらず、顔を近づかされ本気でキス出来る距離まで縮まった。
「今度はこの手、離してみような」
「は、反則…僕より何倍も計算高い…!」
「行動を起こしたお前に応えようと思ってな。どうだ?悪くなかった?」
「悪くないとか…お兄さんドキッとしちゃったよ」
「そうやって顔を赤くする所も、目を合わせず伏せてくる所も全部可愛い」
「もう!可愛いって言い過ぎ!
秋ちゃんのせいでどっちが歳上なんだか分からない状態じゃん!」
「可愛いんだから仕方ないだろ」
至って真剣にそう言う秋ちゃんの頬を抓って遊んでいたら、秋ちゃんとホシミンが帰って来た。
そして案の定、僕は朱里くんにナイフを向けられ落ち着かせるのに1時間掛かったのはいつもの事だ。
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