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本編
6 家族の団欒
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「幾ら制約があるからとは言え余りにも許されぬぞ!!」
「ヒュー落ち着いて下さいませ。お怒りはごもっともに御座いますが兎に角王子自ら運命を選んだのです。この後は彼らの末路を見守るのみ。それに私達には漸く愛する娘が戻ってきたのですもの」
「お母様……」
私は婚約破棄宣言の敬意を両親へ説明した。
それまでの虐めについては既に把握済みらしいから説明はしなかったと言うか、辛い話は何度もしたくはないのが本音。
「ね、これより先はもうアリスはこのノースモアより離れはしませんわ」
「そう、だな」
「そうですよ。辛く悲しいこの十一年間でしたがいえ、正確には十八年ですわね。あぁそれ以上かもしれませんわね。正当な主のいないこの大地は荒れ、魔界より幾度も門が開きかけたのを命懸けで護られたのはヒューとノースモアを愛する者達でしたわ」
「あぁ思い出しても何度命を失うかと思ったよ。しかしその度に愛するロリーナと無事にこの世へ生まれてくれたアリス、君達の存在があればこそ……だ」
「お父様っ」
私は感極まって思わずお父様へ抱き付いてしまった。
淑女としてはあり得ない行動だけれどね。
「はは、アリスは大きくなっても別れた5歳の、小さくてお転婆な所は変わらないな」
「ま、お父様、お転婆はもう治りましたわ。これでもちゃんと王太子妃教育は終了しましたのよ。ただ……王太子妃にはならなかっただけです」
頬をぷくりと膨らませ文句を言ってしまう。
でもお父様はそんな私を抱き締め、頭をその大きな手でわしゃわしゃと撫でられるの。
折角ジョアンが髪を整えてくれたのに、きっと鳥の巣の様になってしまったわ。
「なぁロリーナ、どうして我が娘はこの様に可愛いのだろう」
何をしても可愛いと、可愛いを連呼するお父様。
王太子妃教育の為にノースモアを離れて十一年もの間愛情に飢えていたから?
ノースモアを離れられられないお父様は兎も角、お母様は家政を切り盛りしつつ年に数度王都へ私に会いに来て下さったわ。
王都での滞在は決して長いものではなかったけれどもよ。
それでも時間のある限り一緒にいて下さったし、冷遇されている私を思い色々と動いても下さった。
とは言えあの糞王子は表面上だけ態度を改めるだけ。
何れも証拠はないのだから決定的に追い詰める事は出来ない。
そうしてお母様が北へと戻られた後、嫌がらせは更に酷くなったのは言うまでもない。
だから数年もすれば私からお母様へこれ以上動かないでとお願いをしたの。
勿論最初はお母様も反論されたわ。
幾ら王族でもやっていい事と悪い事があるってね。
そんなお母様に私はお話したの。
『沢山ある運命を引き寄せるのは本人のみ。彼の人生は彼のもの。今この状況も全て彼自身が選び決断したものなの。だからお母様私は少し辛いけれど我慢をしているの。だって何れ彼の選んだ運命の結果は導き出されるのよ。私はそれを見届けたいの。ううん私は……として見届けなければいけないの』
それ故これ以上の干渉はしないで……と。
本音を言えばお母様と一緒にノースモアへ帰りたかった。
何故ならノースモアは私の命そのもの。
でも私には生まれる前からの制約がある。
だから今は王都より去る訳にはいかない。
ノースモアの娘として負ける訳にはいかない!!
まだあの頃は10歳にも満たない子供だったもの。
親の愛情に飢えていたわ。
譬えあの御方がいらしたとしても所詮は他人。
ジョアンやチャド達も皆必死に私を護ろうと頑張ってくれたし勿論愛してもくれたわ。
それでも二つ名を持つ私であっても両親と言う存在は特別なのね。
16歳にもなって子供の様に甘えている。
お父様の可愛いは正直に言って恥ずかしいし、ほんの少し擽ったい。
お母様のほんわかとした笑顔は心がぽかぽかと温かくなる。
誕生した時より当たり前に享受できるだろう両親の愛を何故私は出来なかったのか。
それは私が生まれる前、とある事件が勃発したのが事の始まりだった。
「ヒュー落ち着いて下さいませ。お怒りはごもっともに御座いますが兎に角王子自ら運命を選んだのです。この後は彼らの末路を見守るのみ。それに私達には漸く愛する娘が戻ってきたのですもの」
「お母様……」
私は婚約破棄宣言の敬意を両親へ説明した。
それまでの虐めについては既に把握済みらしいから説明はしなかったと言うか、辛い話は何度もしたくはないのが本音。
「ね、これより先はもうアリスはこのノースモアより離れはしませんわ」
「そう、だな」
「そうですよ。辛く悲しいこの十一年間でしたがいえ、正確には十八年ですわね。あぁそれ以上かもしれませんわね。正当な主のいないこの大地は荒れ、魔界より幾度も門が開きかけたのを命懸けで護られたのはヒューとノースモアを愛する者達でしたわ」
「あぁ思い出しても何度命を失うかと思ったよ。しかしその度に愛するロリーナと無事にこの世へ生まれてくれたアリス、君達の存在があればこそ……だ」
「お父様っ」
私は感極まって思わずお父様へ抱き付いてしまった。
淑女としてはあり得ない行動だけれどね。
「はは、アリスは大きくなっても別れた5歳の、小さくてお転婆な所は変わらないな」
「ま、お父様、お転婆はもう治りましたわ。これでもちゃんと王太子妃教育は終了しましたのよ。ただ……王太子妃にはならなかっただけです」
頬をぷくりと膨らませ文句を言ってしまう。
でもお父様はそんな私を抱き締め、頭をその大きな手でわしゃわしゃと撫でられるの。
折角ジョアンが髪を整えてくれたのに、きっと鳥の巣の様になってしまったわ。
「なぁロリーナ、どうして我が娘はこの様に可愛いのだろう」
何をしても可愛いと、可愛いを連呼するお父様。
王太子妃教育の為にノースモアを離れて十一年もの間愛情に飢えていたから?
ノースモアを離れられられないお父様は兎も角、お母様は家政を切り盛りしつつ年に数度王都へ私に会いに来て下さったわ。
王都での滞在は決して長いものではなかったけれどもよ。
それでも時間のある限り一緒にいて下さったし、冷遇されている私を思い色々と動いても下さった。
とは言えあの糞王子は表面上だけ態度を改めるだけ。
何れも証拠はないのだから決定的に追い詰める事は出来ない。
そうしてお母様が北へと戻られた後、嫌がらせは更に酷くなったのは言うまでもない。
だから数年もすれば私からお母様へこれ以上動かないでとお願いをしたの。
勿論最初はお母様も反論されたわ。
幾ら王族でもやっていい事と悪い事があるってね。
そんなお母様に私はお話したの。
『沢山ある運命を引き寄せるのは本人のみ。彼の人生は彼のもの。今この状況も全て彼自身が選び決断したものなの。だからお母様私は少し辛いけれど我慢をしているの。だって何れ彼の選んだ運命の結果は導き出されるのよ。私はそれを見届けたいの。ううん私は……として見届けなければいけないの』
それ故これ以上の干渉はしないで……と。
本音を言えばお母様と一緒にノースモアへ帰りたかった。
何故ならノースモアは私の命そのもの。
でも私には生まれる前からの制約がある。
だから今は王都より去る訳にはいかない。
ノースモアの娘として負ける訳にはいかない!!
まだあの頃は10歳にも満たない子供だったもの。
親の愛情に飢えていたわ。
譬えあの御方がいらしたとしても所詮は他人。
ジョアンやチャド達も皆必死に私を護ろうと頑張ってくれたし勿論愛してもくれたわ。
それでも二つ名を持つ私であっても両親と言う存在は特別なのね。
16歳にもなって子供の様に甘えている。
お父様の可愛いは正直に言って恥ずかしいし、ほんの少し擽ったい。
お母様のほんわかとした笑顔は心がぽかぽかと温かくなる。
誕生した時より当たり前に享受できるだろう両親の愛を何故私は出来なかったのか。
それは私が生まれる前、とある事件が勃発したのが事の始まりだった。
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