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第一章
14 新たな決意?
しおりを挟む燃え盛る炎の様に苛烈な、目に映る者へその様な印象を与えてしまう程の真っ赤な髪とキラキラと輝きを放つ黒曜石の瞳。
女性らしい恵まれた体躯だけれどもそこは騎士らしく引き締まった常に自信に満ちた勝気で強い美女騎士。
風を切る様に颯爽と登場すると同時に待ってましたと言わんばかりの歓声がどっと湧き起こる。
リップサービスとばかりに観覧席へ蠱惑的な笑みを湛えてみせる。
その瞬間彼女を推す令嬢や貴夫人達の黄色い歓声は留まる事を知らない。
あぁあの御方だ。
ジークヴァルド様よりも何よりもお会いしたくなかった女性。
夢?それとも現実なのかすらもわからない……ってきっと未来で起こった事実なのでしょうね。
イルクナー子爵令嬢アーデルトラウト・エッダ・ボールシャイト様。
どくん
私の心が悲鳴を上げる。
心の中がざわざわと嫌な想いで満たされていく。
まさかこんな形で件の二人を見るなんて思いもしなかった。
あぁ騎士団何て来なければよかった。
無理やりでも仮病を使ってでも拒否ればよかった。
どきどきどきどき
あの二人を見ているだけで胸が壊れそうになるくらい辛い。
なのに回りはあの二人の戦いの様子に大興奮状態。
もれなく私の親友達も大興奮しっぱなしだ。
ねぇ推しの騎士は見なくてもいいの?
ほら、あの端っこにアンネの推してたラウレンツ君もお兄様と一緒にいるよ。
あぁ二人共模擬戦に夢中でラウレンツ君を少しも見ていない。
何時も冷静なテアでさえも乙女らしく頬を染め模擬戦に熱中している。
きっとこの中でどす黒い感情を抱いているのは私……だけ。
だって仕方ないでしょ。
あの二人のあの様子をまざまざと見せつけられたのよ。
真実なのか偽りなのかそんなのわからない。
ただ二人はそういう関係で、私は二人にとってお邪魔虫だったって事。
王命故に別れられなかった。
お飾りな存在。
それが私エルネスティーネの立ち位置。
前回はそうかもしれない。
でも今は違うの。
何故こうなったのかなんてわからない。
わからないけれど時間が戻ったとすればよ。
今度こそは同じ轍は踏まない。
ジークヴァルト様だけでなくアーデルトラウト様からも私は遠く離れ違う道を歩いていくわ。
もうこんな思いを抱かく事のない明るい未来を歩くの!!
そう決意した瞬間目の前がどんどん暗くなっていく。
意識がスーッと失われていく感覚。
確か以前もこんな感覚に陥った事があるみたい。
何て事を思えば本当に暗闇の底へと意識は引き込まれてしまった。
はぁ本当に現実って私に対し何処までも甘くはないのね。
その事が少し、悔し……い。
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