御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki

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 キャサリンの意思とは関係なく王家と公爵家とより強固なを結ばんとする為に、彼女は公爵家へと降嫁させられた。


 そして最後まで怒り狂うキャシーを見送る俺は思ったのだ。

 公爵ならばキャシーを御せるのかもしれない……と。

 何故なら彼女が嫁ぐ数日前に俺は偶然?
 いや偶然ではないのだろうな。
 王宮へ伺候した公爵と回廊で出会ったのは……。


「これは王太子殿下」
「リドゲート公爵」

 俺は居住まいを正し緊張を纏わせる。
 そうキャシーの夫となる公爵の見目は同性としてもよくは見えない。
 だが所詮は見目は表面だけのもの。
 
 我が国四公爵家で現在トップを保持している家の当主なのである。
 我が親ながら現国王に彼らを抑えまた国を一つへと纏め上げる求心力はない。
 それを補っているのは今俺の目の前にいる男――――リドゲート公爵なのだ。

 見目が醜悪でロリコンを公言しそして自ら男性として不能なのだと言い切る図太さと言うか、まあ色々と振り切れている性格。
 しかし彼の政治手腕は未来の国王として見習うものは多い。
 またその中でも諸外国との外交は見物である。
 相手を打ち負かしつつも最後には必ず逃げ道を用意し、その逃げ道すらも己が利へとなるべく画策している狡猾さと大胆さ。
 
 男としていや、人間としての器の大きさに俺は尊敬の念すら抱いている事は俺だけの秘密である。
 その証拠に公爵家の領地経営手腕も実に見事で、彼の公爵領へ移住申請する民は多い。


「殿下、差し支えなければ少々お時間を頂きたく存じますが……」
「ん、ああ一時間程度なら……」

 俺は側近の一人へ視線を送れば彼は了承したと言う様にこの後の俺の予定を調整してくれるだろう。
 きっと公爵の話の内容はキャシーの事なのだからな。
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