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しおりを挟むホールにて大々的な祝宴が催されました。
ええ間違いなくその主役は私と貴方。
貴方の瞳と同じ青いドレスを身に纏う私を少しも離す事なく、言えある意味これは一種の拘束――――なのでしょうか。
叶う事ならば一刻も早くここより立ち去れば、私は一目散で修道院若しくは隣国よりも遠い国へと逃げ出したい気持ちが満載ですもの。
なのに貴方はこの様な感情を抱いている私へ――――。
「愛しいリズ。ああ本当に今宵から貴女は私だけのものだなんて未だに信じられない」
いえ、そこは信じて貰わなくとも宜しいですわ。
「今日と言う日を私はどれ程待ち続けただろうか。貴女はきっと気づいてはいないのだろうね」
いいえ、貴方様のお気持ちは存じておりましてよナルシスト殿下。
「もう誰がどの様に言おうと今宵を境にエリザベス、貴女を決して放しはしないよ」
そこは出来れば直ぐにでも開放して頂きたいのですが……。
等私はこの状況をまだ理解出来ないままとは言えです。
突っ込む事だけは忘れはしませんわ。
でも……本当にこの様に晴れやかで心より幸せそうな貴方の御顔を見るのは初めてなのです。
頭の中ではわかっているのです。
これは見せかけの演技だと言う事も……。
そして貴方が心より愛しておられる御方は今絶賛私を射殺さんばかりに睨みつけられておいでになられるのですもの。
あの視線が本物の矢であるならば確実に私は死んでおります……わね。
その様に睨まなくともキャサリン王女様、私は去る者ですのでどうかこの後ごゆっくり殿下とお心を通わせてくださいませ。
とは言え、私を心より愛おしいと思わせる様な熱い瞳で見つめないで下さい。
これは偽りなのだと十分過ぎる程理解しているのに、その様に私を見つめられれば錯覚だった恋心が間違った判断を再びしてしまうかもしれません。
私はもう傷つくのが嫌なのです。
意気地がないと仰られても致し方がありません。
ですが両親に商品として育てられ、初恋だと思っていた貴方に裏切られれば愛されていると言う錯覚に悩まされてしまったのですもの。
本当に恋や愛は目に見えぬ儚くて移ろいやすいもの。
私はその様な感情に左右される事なく静かにひっそりと暮らしたいのです。
もう人の思惑通りに生かされる人生はまっぴらなのですよ。
なのに私の心はまだ決心が出来ないのです。
何故……なのでしょう。
先に裏切ったのは貴方様なのに、何故私はそんな貴方を突き放す事が出来ずにこの宴へ参加しているのでしょうね。
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