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27 Sideアン
しおりを挟む「謀反人アッシュベリー辺境伯一党を捕えよ!!」
「シリル様⁉」
「アン私から離れてはいけない!!」
私達が馬車より降りたのは一般的なエントランスではなく、少し奥まった場所にある場所でした。
そこは嘗て王宮へ住んでいた私でも余り立ち入らない場所。
だからこその不信感が沸々と込み上げてくるのです。
またそれと同時に思っていた以上に危機が迫っている事も……。
シリル様は私を護る様に抱き締めたまま王宮の騎士達、ええ私と旦那様そして護衛の騎士達の数を遥かに上回る多さに驚愕が隠しきれません。
幾ら堅牢の盾であると共に王国一の騎士であられるシリル様であろうともです。
この数の騎士達を相手に無傷ではいられないでしょう。
然も私と言うお荷物がいるのですもの。
そしてお互いを騎士達は激しく牽制し合っております。
きっと何か切っ掛けがあれば直ぐにでもここは戦場となるのは経験のない私でも十分に肌で感じ取ってしまいました。
そしてアッシュベリーの騎士達が旦那様同様に勇猛果敢であろうとも、圧倒的な数の差では勝負は目に見えているのです。
「私は陛下へ年始の挨拶へ参上した筈なのに何故この様な事になる。返答によっては我らにも考えはある」
「だ、シリル……様」
私はキュッとシリル様の上着を握り締めました。
その事に気づいたシリル様は少し表情を和らげ微笑んで下さったのです。
「何も心配はいらない。挨拶が済めば共にアッシュベリーへと帰ろう」
「はい」
勿論そうしたい。
はいと返事はしましたが、恐らくシリル様とはここでお別れなのでしょう。
これまでアッシュベリーへ兄から何通もの書状が私の許へ届けられました。
その全てが――――。
『愛している』
『逢いたい』
『私の腕の中へ帰ってきて欲しい』
と執着めいた……いえ完全に私への執着としか思えない内容ばかり。
中には言葉に出すのも憚られる内容のものまで書かれておりました。
そうまるで愛し合う者同士が強制的にその中を引き裂かれてしまった悲劇の恋人 達……そのもの。
恐らく兄の中ではきっとそうなのでしょう。
そしてそこに私の意思は何処にも存在はしない。
だからこそこの様な暴挙に出たのでしょう。
アッシュベリー辺境伯と共にする者達の命が惜しくば大人しく我が命をきくがよい
兄からの無言の圧。
そしてそれに私は逆らえない。
いえ、逆らう事が出来ないのを兄は知っているのです。
私は何としてもシリル様と騎士達を、引いてはセディーをも護りたい!!
ならば取るべき道はただ一つ。
「旦那……シリル様もっと強く私を抱き締めて下さいませ」
「アン……?」
離れても貴方の腕と胸の温かさと感触を忘れない様に。
どうか私の身体へ刻み付けて下さいませ。
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