わたくし悪役令嬢になりますわ! ですので、お兄様は皇帝になってくださいませ!

ふみきり

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第十五章 再会

10 いざ、ステータスを確認いたしましょう

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 双子は双子でも、一卵性の可能性が出てきた。しかし、一卵性では性別は同じになるはず。いったいアリツェとラディムの間に何があったのだろうか。アリツェはあれこれと思い悩み、頭が痛くなってくる。

「そうだな……。だが、もうこれ以上はヴァーツラフに聞く以外、わかりようがなさそうなんだが」

 ラディムはため息交じりに頭を振った。

「ゲームクリア後に聞くしかありませんわね」

「ゲームが終わってから聞いてもなぁ。まぁ、仕方がないか」

 ラディムの言うとおり、テストプレイを終えてから聞いたところで、もう二度とこの世界にはログインできないのだからあまり意味はない。できればこの世界にいられるうちに真相を知りたいところだったが、ヴァーツラフとコンタクトを取る手段がない以上、望みは薄いかもしれなかった。であるならば、気持ちを切り替えて次に進まなければいけない。

「では、改めまして、お互いの能力を確認いたしましょう」

 アリツェは元々の目的であった、各人のステータス確認作業に戻った。

「エマ様、院長先生。すみませんでした。なんだか二人で話し込んでしまって」

 エマとトマーシュをそっちのけで、すっかりラディムと話し込んでいた。アリツェは申し訳なく思い、二人に謝罪をする。

「かまわないさ。なんだか難しそうな話をしていたようだし」

 エマは気にするなと笑い飛ばした。

「私たちには理解不能でしたが、あなたたちは双子なのです、何かあるのでしょう」

 トマーシュも微笑を浮かべている。

「深く追及なさってこなくて助かりますわ」

 聞かれてもどう説明してよいかがわからなかったので、アリツェはホッと胸をなでおろした。

「では、さっそく」

 アリツェはそう口にし、各人のステータスを確認した。







【アリツェ・プリンツォヴァ(カレル・プリンツ)】
13歳 女 人間
HP   400
霊素  650
筋力   50
体力   47
知力   55
精神   60
器用   15
敏捷   44
幸運   80
クラス:精霊使い  40(最大2体の使い魔使役可能)
クラス特殊技能:表示できません
使い魔:
ペス(子犬)
ルゥ(鳩)
出自レベル:表示できません
技能才能:表示できません



【ラディム・ギーゼブレヒト(ユリナ・カタクラ)】
13歳 男 人間
HP   520
霊素  620
筋力   58
体力   56
知力   53
精神   54
器用   18
敏捷   53
幸運   80
クラス:精霊使い  33(最大2体の使い魔使役可能)
クラス特殊技能:表示できません
使い魔:
ミア(子猫)
ラース(仔馬)
出自レベル:表示できません
技能才能:表示できません



【エマ】
38歳 女 人間
HP   220
霊素    0
筋力   50
体力   50
知力   53
精神   50
器用   52
敏捷   50
幸運   45
クラス:一般人  38
クラス特殊技能:表示できません
一般人ボーナス:なし
出自レベル:表示できません
技能才能:表示できません



【トマーシュ】
58歳 男 人間
HP   275
霊素    0
筋力   52
体力   53
知力   55
精神   50
器用   50
敏捷   45
幸運   55
クラス:聖職者  44(二つの聖職者ボーナス)
クラス特殊技能:表示できません
聖職者ボーナス:
説教(信者に対する説教の説得力が増す)
弁舌(信者勧誘の際の成功率が増す)
出自レベル:表示できません
技能才能:表示できません






「なんだこれは! どうして私の器用さはこんなに低いんだ?」

 ラディムは頭を抱えている。アリツェよりはわずかに高いが、似たり寄ったりだった。この値では、ラディムもかなり不器用なはずだ。

「あー、やはりですわ……。お兄様、わたくしの器用さの才能限界値は55と低いうえ、成長速度も最低のCですわ。おそらくはそのせいです」

 同じ悩みを持つことになる仲間を見つけられて、ラディムには悪いが、アリツェは少しうれしかった。

「ステータスまでアリツェ基準ってことは、私たちはやはり、能力や才能がまったく同じみたいだな」

 いまだに目の前の現実を受け止め切れないのか、ラディムは表情が真っ青だった。確かにあの極端に低い器用さの数値を見れば、絶望したくもなる。

「やはり二卵性ではなくて、何らかの理由で一卵性の双子になったというのが真相みたいですわね。理由は不明ですが」

 ステータスの類似性からも、もう確定といっていいかもしれない。アリツェはラディムと一卵性の双子であると。

「てことはだ。私の身体については、アリツェに聞いた方がいいな。悠太が作った素体でもあるのだし。あとで才能限界値や成長速度について確認させてほしい」

「もちろんですわ!」

 アリツェは破顔し、首肯した。

「だが、他のステータスは申し分ない値だな」

 ラディムは目を閉じて、改めて自身のステータスを眺めているようだ。

「ええ、器用さ以外はすべて成長速度Aですし、知力が70である以外は、すべての項目で才能限界値も優秀ですの! 『神童』もありますので、お兄様の環境でしたら、かなり『神童』の恩恵を受けられたのではないかと思いますわ」

 パッと見た限りでは、アリツェよりもラディムの方が全体的にステータスは高めに成長していた。子爵家で疎まれ孤児院生活を余儀なくされたアリツェよりも、皇宮で教育係にみっちりと指導を受けてきたラディムの方が、『神童』による幼少時の高成長率の恩恵をより多く受けているのは間違いない。

 精霊術に関係しそうな部分はさすがにアリツェの方が高いが、身体的な部分はラディムが完全に上回っている。もし二人の時に戦闘に巻き込まれた際は、ラディムが精霊術で身体強化を施して前衛を務め、アリツェが後衛で支援をする形が一番よさそうだ。

「こいつはすごい。優里菜の作った素体よりも性能がいいみたいだぞ」

 優里菜の設定した素体の能力について、ラディムは優里菜からいろいろと確認しているようだ。比較をすると、どうやら悠太の作った素体の方が性能が上回っているみたいだ。優里菜の本来の素体も両親のデータは同じはずだから、最初の受精卵の設定の際に選ばれたランダムデータについて、悠太の方がよりよい値を引けたのだろう。

「ただ、唯一低い器用さが、それなりに足を引っ張るかもしれませんわ。戦いの際に、武器を取り落とした場面が何回かありましたの」

 あまり思い出したくはなかったが、アリツェはマリエとの戦闘を脳裏に思い浮かべた。ここぞという場面で武器を落としてしまった、あの忌まわしい戦いを。

 これから戦場に出る。いざという場面で武器を失っては、命にかかわりかねない。十分に注意をしなければいけなかった。

「そいつはまずいな……。重点的に器用さを伸ばすようにしないとか」

「ええ、わたくしも悠太様に言われて、料理を学ぼうかと思っているんですわ」

 料理を学ぶと決意してから約一年半。いまだに手を付けられていない。このままではまずいので、今回の一件はいい機会だ。ここいらで心機一転、改めて料理に取り組むのも悪くはないだろう。

「なるほどね……。では私も、何らかの手先を使う作業を日課とするか」

「お互い頑張りましょう!」

 同じ不器用者同士、競い合いながら能力を伸ばせれば刺激もあっていいかもしれない。

「あぁ、そうだな。一卵性とわかった以上は、今後の修行計画なども、アリツェと相談できるとよさそうだ」

 ラディムは自身の体の悩みが一つ解決したのがうれしいのか、破顔してうなずいた。
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