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1章
星空の下で
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少年と女の子が館から逃げた夜。
屋敷からも街からも遠い草原の草の上二人は腰掛けていました。
新月の星空を見上げる少年の隣には女の子。
少年は俯いた女の子の頭を撫でてこう問いかけました。
少年「なあ、ちょっとだけ俺の話を聞いててくれないか?俺が、あの主人に買われてからの事とかを。」
女の子「…」
少年は女の子の返事を聞かずに続けました。
少年「俺はここに来る前山間の村に住んでて冬は寒くて生活に困ってたんだろう
もう母親も父親も顔を覚えてないが母親が俺に謝ってる声だけは今も覚えてる
7歳の誕生日近くに奴隷商に売られた。最初の主人は物好きな奴で旅人で
俺は荷物持ちだった。……一応、だがな。1年ちょっと一緒に旅を続けた頃商会の荷馬車に乗せてもらって森を通る機会があった。
護衛も居たがそいつ等に襲われて主人が死んだ。俺以外殆ど死んだんだろうな……
…俺は護衛のやつにまた売られて今度はあの邸に来た。
2番目の主人はまあ知ってるだろうがクズで気色が悪い奴だった。
俺の事をショールスとか呼んだり、お前に話せない事も数え切れないぐらいやって来た。
あの服着せられたあとはほんっとう最悪だった。
でも、最悪だけどマシな事が一つあった。煩くて底抜けに明るい奴が居た事だ。
昼頃にいつもの窓辺に行けば陽射しがあってゆっくり話を聞く。
その時間は俺をショールスから俺にした。
その恩返しに願いを叶えたらこの通り泣かれた俺の話は終わりだ。
まああんまり中身の無い昔話だよな。」
女の子「ぃいな、ぅらやましぃな。」
半ば叫ぶ様に諦めた様に女の子はいった。
かすれた声、涙でグシャクシャの顔、眩しそうに少年を見る瞳。
女の子は誰に聞かせるでも無い事を話しだした。
女の子「私だってあそこにいる前の事覚えていたかった。
私だってあの窓枠より広い空を見たかったでも本当に外に出ると怖くて怖くて堪らない。
すぐにあそこに戻る事になるかもしれないし、殺されるかもしれない。
でもね、今私ここにいられるのが嬉しいと思っていると思うの。
星がきらめいて風が冷たいのも何だか嬉しい、はじめて草を触ったのも今息をしている事も。
何だか夢を見ているみたい、だったら覚めないでって、二度と目覚めなくていいからこのままでいたいって思うの。
これは嬉しいのかな楽しいのかな。よく分からない。
…だけどずっとこのままがいいって願ってるの。」
少年「それは俺もそう思う。
のたうち回りたくなるくらい嬉しいのか、泣きたくなるぐらい悲しいのか分からない。
分からないから夢みたいだなんて思うんだろうな。
ならこれが夢じゃないって証拠を残せばいい。
誰も知らない本当の名前をお前に教えてやるよ。
そうしたらたくさん呼んでくれるか?」
女の子「!勿論、いくらでも呼ぶわ!私の名前も呼んでくれる?
いつもお前としか言ってくれないから。」
少年はうなじに手をやって少し迷ってから「分かった」と返事をした。
女の子「こんなに綺麗な星空二度と見られないかもしれないでしょう。
それにいろいろ話があるわ。聞きたいこともたくさん。
だから、夏の夜空に見守られながらゆっくり話をしましょう。」
それから夜は静かにしずかに更けていった。
少年は青年に女の子は娘に成長したしずかな秋の夜だった。
次回予告
「朝焼け」
降り注ぐ光はまばゆく等しく人々を照らす。その光は自分ではじめて掴んだ今日だった。
屋敷からも街からも遠い草原の草の上二人は腰掛けていました。
新月の星空を見上げる少年の隣には女の子。
少年は俯いた女の子の頭を撫でてこう問いかけました。
少年「なあ、ちょっとだけ俺の話を聞いててくれないか?俺が、あの主人に買われてからの事とかを。」
女の子「…」
少年は女の子の返事を聞かずに続けました。
少年「俺はここに来る前山間の村に住んでて冬は寒くて生活に困ってたんだろう
もう母親も父親も顔を覚えてないが母親が俺に謝ってる声だけは今も覚えてる
7歳の誕生日近くに奴隷商に売られた。最初の主人は物好きな奴で旅人で
俺は荷物持ちだった。……一応、だがな。1年ちょっと一緒に旅を続けた頃商会の荷馬車に乗せてもらって森を通る機会があった。
護衛も居たがそいつ等に襲われて主人が死んだ。俺以外殆ど死んだんだろうな……
…俺は護衛のやつにまた売られて今度はあの邸に来た。
2番目の主人はまあ知ってるだろうがクズで気色が悪い奴だった。
俺の事をショールスとか呼んだり、お前に話せない事も数え切れないぐらいやって来た。
あの服着せられたあとはほんっとう最悪だった。
でも、最悪だけどマシな事が一つあった。煩くて底抜けに明るい奴が居た事だ。
昼頃にいつもの窓辺に行けば陽射しがあってゆっくり話を聞く。
その時間は俺をショールスから俺にした。
その恩返しに願いを叶えたらこの通り泣かれた俺の話は終わりだ。
まああんまり中身の無い昔話だよな。」
女の子「ぃいな、ぅらやましぃな。」
半ば叫ぶ様に諦めた様に女の子はいった。
かすれた声、涙でグシャクシャの顔、眩しそうに少年を見る瞳。
女の子は誰に聞かせるでも無い事を話しだした。
女の子「私だってあそこにいる前の事覚えていたかった。
私だってあの窓枠より広い空を見たかったでも本当に外に出ると怖くて怖くて堪らない。
すぐにあそこに戻る事になるかもしれないし、殺されるかもしれない。
でもね、今私ここにいられるのが嬉しいと思っていると思うの。
星がきらめいて風が冷たいのも何だか嬉しい、はじめて草を触ったのも今息をしている事も。
何だか夢を見ているみたい、だったら覚めないでって、二度と目覚めなくていいからこのままでいたいって思うの。
これは嬉しいのかな楽しいのかな。よく分からない。
…だけどずっとこのままがいいって願ってるの。」
少年「それは俺もそう思う。
のたうち回りたくなるくらい嬉しいのか、泣きたくなるぐらい悲しいのか分からない。
分からないから夢みたいだなんて思うんだろうな。
ならこれが夢じゃないって証拠を残せばいい。
誰も知らない本当の名前をお前に教えてやるよ。
そうしたらたくさん呼んでくれるか?」
女の子「!勿論、いくらでも呼ぶわ!私の名前も呼んでくれる?
いつもお前としか言ってくれないから。」
少年はうなじに手をやって少し迷ってから「分かった」と返事をした。
女の子「こんなに綺麗な星空二度と見られないかもしれないでしょう。
それにいろいろ話があるわ。聞きたいこともたくさん。
だから、夏の夜空に見守られながらゆっくり話をしましょう。」
それから夜は静かにしずかに更けていった。
少年は青年に女の子は娘に成長したしずかな秋の夜だった。
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「朝焼け」
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