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ヒロイン派遣センター
しおりを挟む社畜道を極める限界社畜。
そう、それが私。
本日も元気に終電間近まで残業を終えたところだ。
夕飯を食べ損ね、終電にギリギリ駆け込み乗車をして半ば意識を失いながら電車に揺られること1時間。
深夜の最寄り駅に輝く牛丼チェーン店でご飯を食べる気力も残っていない。
そんな事をしているなら今すぐベッドにダイブしたい。
そんなフラフラ状態で家路を急いでいると電柱に貼り付けられた【ヒロイン募集!】のチラシが目に付いた。
「何これ……」
【ヒロイン募集!】
世界を救うヒロインになってみたいと思いませんか?
仕事や勉強に追われた人生に疲れていませんか?
今話題の職業ヒロインなら、幸せ街道まっしぐら!あなたの望むヒロインになれますよ!
ご興味のある方は、下記応募番号までお電話下さい。24時間いつでもどうぞ!
【ヒロイン募集!】
「うさんくさ……」
いくら社畜を極めているとはいえ、職業ヒロインなんて聞いた事がない。
しかも24時間いつでも電話できるとこも怪しい。
でも何となく気になってしまう。
脳が疲れて正常な判断が出来なくなっているのかもしれない。
普通なら絶対電話しない怪しさしかないチラシ。
変な番号なら切ってしまえばいい。
朝から10%しか減っていない充電が有り余ったスマホで記載された番号へ通話ボタンを押した。
「お電話ありがとうございます、ヒロイン派遣センターです」
「あの、チラシを見たんですが……」
「ヒロイン希望の方ですね。かしこまりました。お迎えにあがりますので、その場で少々お待ち下さい」
「え?」
次の瞬間、眩い光が目の前に溢れ私を包み込む。
「ご応募ありがとうございます。ヒロイン様」
目を開けると目の前には見知らぬ女性が立っていた。
「えっと……」
「はじめまして。私はヒロイン派遣センターの事務員Aと申します。ヒロイン希望の大城桃果様ですね」
「あの、これって夢ですか?」
「いいえ、夢では御座いません。今しがた貴女様はヒロインとして異世界に派遣される事が決まりました」
「はい?」
「社長である創造神の力を活用し、貴女様が希望される異世界を創り出し、そちらにヒロインとして派遣致します」
「いや、ちょっと待ってください!そんな事を急に言われても困ります!明日も仕事なので!」
「あちらの部屋でご希望の異世界設定をして頂き、迅速にヒロインとして派遣しますのでご安心ください」
だめだ、話を聞いてくれない。
どうにかしてここから出なくては。
「あの!お電話しましたがやはり辞退させてください!」
「申し訳御座いません。想定されていない質問にはお答えできません」
「だったらその創造神って人に会わせてください!」
「申し訳御座いません。想定されていない質問にはお答えできません」
はぁ。何で電話しちゃったんだろ…。
何か身体が透け始めてる気もするし。
……ん?透けてる?
「え!何で身体透けてるの!」
「ご応募頂いた段階で貴女様の存在を世界から隔離致しました。このままでは貴女様は存在が消えることになります。あちらの部屋にて異世界設定を行ってください」
「そんな横暴な!」
そうこうしている内に、どんどん身体は透けていく。
いくら疲れているとは言え、変な番号に電話をかけてしまったのは私。
このまま何もせず消えてしまうのだけは避けたい。
ということは、選択肢は1つしかない。
私は事務員Aと名乗る彼女が示す部屋へと足を踏み入れた。
何もない真っ白な空間に突如映像が映し出される。
【ヒロイン派遣センター社長の創造神です。こちらは事前に収録したものとなりますのでご質問にはお答えできません。予めご了承ください。
これから貴女が希望する世界を作ってもらいます。どんな世界でも構いません。全て創造神である私が叶えます。その世界に貴女をヒロインとして派遣しますので、そこでの人生を謳歌してください。
もしどんな世界を作ればいいか分からない場合は創造神お任せパックも可能です。その場合どのような世界であっても返品は受け付けておりません。
それでは、設定を始めましょう】
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