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異世界クリエイト
しおりを挟む私の戸惑いなどお構い無しに、目の前に項目ごとのモニターが現れる。
「へぇ~名前とか性別だけ選べるって訳じゃないんだ。時間かかりそう~」
元々ゲームとかラノベにはハマってこなかったから正直こういう事は慣れていないし疎い。
最初に決めなくてはいけないらしい名前で詰んでたら、途方もない数の項目全て終わるのに何日かかるか……。
「別に自分の名前に不満があるわけじゃないから、そのままモカでいっか」
【名前:モカ】
「性別は無難に女性のまま、年齢は…もう1回青春やり直せたら面白そうだから10歳くらいで……え、髪の色まで決めるの……そうだなぁ」
【性別:女性】
【年齢:10歳】
【髪色:無難な色】
【髪型:ゆるふわな感じ】
「いやいや、項目多いから!ちょっと!誰か!見てたら返事して!」
「異世界クリエイトAIです。何か御用でしょうか」
「うわっ!」
モニターから突然謎の生き物が目の前に出てくる事はさすがに想定外だった。危うく尻もち着くところだった…あぶな…。
「ちょっと項目が多すぎるからお任せにしたい所はお任せを選べるようにしてくれない?」
「畏まりました。どのようなものであってもクレームは受け付けませんがよろしいでしょうか」
「お願いします」
「機能を拡充しました。また御用の際はお呼びください」
そう言ってAIは消えてしまった。
改めて項目を確認すると、さっきまでは無かったお任せの文字。
【瞳の色:お任せ】
【身分:一般人】
【人生難易度:EASY】
【時間軸:お任せ】
【魔法使用:可】
↪︎【得意魔法:お任せ】
【加護:お任せ】
【その他特記事項:痛いのは嫌、次こそは幸せに暮らしたい】
「終わった~!!!」
元々ゲームする人とかだったらこういうのワクワクするかもしれないけれど、馴染みのない私にとっては初っ端からとんでもない苦行だった……。
「異世界クリエイトAIにてご要望を受け付けました。只今よりヒロイン派遣を開始します。目覚めた際、お手元に異世界ハンドブックが置いてあります。是非新しい人生にご活用下さい。それでは良い旅を】
余韻に浸る暇もなく襲ってくる眠気。
まぁどうせ無駄に消費する人生だったのだから、新しく人生を始めるのもありかもしれない。
この時の私は知らない。
お任せにしてしまった項目で酷く後悔することになろうとは。
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