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第16話 記憶の旅路、若き老兵立つ
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リードは誰かの若者になっていた。
その若者は真っ直ぐに何かを見据えていた。
そこに広がるのは無数の軍勢。
どこぞの国なのだろう。
リードが追体験していたのは、ジョードス村長の若き頃、ジャヴァ王国の将軍だった頃だった。
「ふざけるな、なぜ、魔女バルが俺に惚れたんだ」
「知らぬ、この第一剣王ジャドールが言うんだ、バルはお前に惚れた。霧王としての立場からも言うぞ」
「お前は実験の成果で、体を霧にしてしまって永遠の命を手に入れたそうだが、それもバルの力か!」
「そうだ。魔女バルの知識があったからだ、その約束でお前を紹介する事になった。今着ているぞ」
「魔女バルは世界の終わりの魔女を作り出し、そのデルと呼ばれた女性を裏切ったと伝承にある。デルは勇者の女だぞ、俺はいつか勇者様が生まれ変わったら忠誠を誓うつもりなんだ」
黒い髪の毛、ふさふさの髭。
今のジョードス村長は若いようだ。しかも、ジャドールとは霧王だったようだ。
彼は魔女バルの力で霧王としての力を手に入れたようだ。
そんな歴史があったのだとリードが感じていると。
「ジョードス様、どうかわたしをお嫁にしてください」
「無理だ。魔女バル、お前は人として終わっている。一体何人の魔女を裏切り殺して来た?」
「ち、違うのです、あれは私がやったのではなく、もう一人の私がやったのです」
「現実逃避をするな、バル」
「違いますわ、私はバルです。光のバルでございます。闇のバルはもう一人の私です。私の中にもう一人いるんです」
「意味が分からぬ」
「ジョードス様、あなたに子供の頃命を救われてずっと胸に秘めていた気持ちを受け取って欲しかったのですが」
「さっさと去れ」
「光のバルがこう言ってんだから、少しは振り向いてもよくね?」
その声はとてもどす黒くなった。
魔女バルの周りに闇の様な塊が蠢きだした。
「お、お前、さっきと」
「うぉい、ジョードスよおおお、光のバルがせっかく思い続けていたんだから振り向いてもいいじゃねーかよおおお、お前はただじゃ死なせねーよ呪いだ。永遠に死ねぬ体にしてやろう、老いは続くぞ、だがな、殺されないと死なない」
「ふ、ふざけるなああああ」
ジョードス村長の体が闇のように覆いつくされていく。
その時戦争が始まった。
消え去った魔女バル。
第一剣王の霧王ジャドールは申し訳なく頭を下げ、2人は戦場を駆け巡った。
そうして、勝利した後、ジョードス村長はジャヴァ王国の王様に辞表を叩きつけて、ハイビカス山の麓で村を作って隠居した。
来る日も来る日も戦った。
だが殺される事無く相手を倒しまくった。
老い老いを続けた。
楽に死ぬ事が出来ない。
何度、太陽とお月様を見てきただろうか。
何度呼吸を繰り返しただろうか。
「勇者リードよ、お前に忠誠を誓おう」
その時だ。リードは現実に意識が戻った。
アイテムボックスの中で何かが生まれた。
そして、それをアイテムボックスから取り出した。
デルは眠り続けている。
ミシェル達は意気消沈しながら、ただただ空を見上げて雄たけびを上げている。
「うぉい、何泣いておる」
「だって、師匠が死んじまったって、あれ? 師匠てか、ウサギの姿」
そこにはウサギの人形のようなものが立っていた。
リードは思い出す。
そのウサギの人形は遥か昔、子供の頃にアイテムボックスにしまった人形であったという事に。
「そうじゃのう、わしの死体と魂がこのウサギの人形に合体しちまったようじゃ、この人形手足の指まであるからブレイカーソードは持てるじゃろうな」
「ぎゃははははっはははは」
さっきまで泣いていたミシェルが突然笑いだす。
彼は腹を抱えてその場で転がりまわっている。
「笑うな、可愛いじゃろうが」
「これからウサギさんて呼ぶぜ」
「村長ウサギでもいいぞ」
「よし、村長ウサギさん、これからソード王国に引越そう、もうこの村はぼろぼろでダメだ」
「おうよ」
「あのー話が進んどる所申し訳ないが、ソード王国に皆移動を始めているぞ」
ガストン教授が手を上げる。
「皆の心変わりが速いですね」
リードが苦笑を漏らしている。
そんな彼もまさかウサギになって生き返ってくるとは思わずに笑いをこらえる。
「じゃあ行きますか」
デルを背負いながら、背中にとても柔らかい物が当たっているのを感じていた。
リードはそれが胸である事を認識すると少し恥ずかしくなったが。
デルに何があったのかは分からないけど、魔女バルには二つの人格がいるようだ。
それは光と闇。
おそらく光が普通のバルで、闇がデルを裏切ったり、ひどい事をしてきたのだろう。
その真実をデルに伝えるべきか悩みながら、リードはソード王国へと皆で移動を始めた。
その時、古代機械都市ダンジョンが鼓動を始めて、大地から動き出したのを、わずかにリードは感じていた。
メロカのAIがソード王国を本来の形にすべく、古代機械都市ローゴを起動させたのだろう。
その若者は真っ直ぐに何かを見据えていた。
そこに広がるのは無数の軍勢。
どこぞの国なのだろう。
リードが追体験していたのは、ジョードス村長の若き頃、ジャヴァ王国の将軍だった頃だった。
「ふざけるな、なぜ、魔女バルが俺に惚れたんだ」
「知らぬ、この第一剣王ジャドールが言うんだ、バルはお前に惚れた。霧王としての立場からも言うぞ」
「お前は実験の成果で、体を霧にしてしまって永遠の命を手に入れたそうだが、それもバルの力か!」
「そうだ。魔女バルの知識があったからだ、その約束でお前を紹介する事になった。今着ているぞ」
「魔女バルは世界の終わりの魔女を作り出し、そのデルと呼ばれた女性を裏切ったと伝承にある。デルは勇者の女だぞ、俺はいつか勇者様が生まれ変わったら忠誠を誓うつもりなんだ」
黒い髪の毛、ふさふさの髭。
今のジョードス村長は若いようだ。しかも、ジャドールとは霧王だったようだ。
彼は魔女バルの力で霧王としての力を手に入れたようだ。
そんな歴史があったのだとリードが感じていると。
「ジョードス様、どうかわたしをお嫁にしてください」
「無理だ。魔女バル、お前は人として終わっている。一体何人の魔女を裏切り殺して来た?」
「ち、違うのです、あれは私がやったのではなく、もう一人の私がやったのです」
「現実逃避をするな、バル」
「違いますわ、私はバルです。光のバルでございます。闇のバルはもう一人の私です。私の中にもう一人いるんです」
「意味が分からぬ」
「ジョードス様、あなたに子供の頃命を救われてずっと胸に秘めていた気持ちを受け取って欲しかったのですが」
「さっさと去れ」
「光のバルがこう言ってんだから、少しは振り向いてもよくね?」
その声はとてもどす黒くなった。
魔女バルの周りに闇の様な塊が蠢きだした。
「お、お前、さっきと」
「うぉい、ジョードスよおおお、光のバルがせっかく思い続けていたんだから振り向いてもいいじゃねーかよおおお、お前はただじゃ死なせねーよ呪いだ。永遠に死ねぬ体にしてやろう、老いは続くぞ、だがな、殺されないと死なない」
「ふ、ふざけるなああああ」
ジョードス村長の体が闇のように覆いつくされていく。
その時戦争が始まった。
消え去った魔女バル。
第一剣王の霧王ジャドールは申し訳なく頭を下げ、2人は戦場を駆け巡った。
そうして、勝利した後、ジョードス村長はジャヴァ王国の王様に辞表を叩きつけて、ハイビカス山の麓で村を作って隠居した。
来る日も来る日も戦った。
だが殺される事無く相手を倒しまくった。
老い老いを続けた。
楽に死ぬ事が出来ない。
何度、太陽とお月様を見てきただろうか。
何度呼吸を繰り返しただろうか。
「勇者リードよ、お前に忠誠を誓おう」
その時だ。リードは現実に意識が戻った。
アイテムボックスの中で何かが生まれた。
そして、それをアイテムボックスから取り出した。
デルは眠り続けている。
ミシェル達は意気消沈しながら、ただただ空を見上げて雄たけびを上げている。
「うぉい、何泣いておる」
「だって、師匠が死んじまったって、あれ? 師匠てか、ウサギの姿」
そこにはウサギの人形のようなものが立っていた。
リードは思い出す。
そのウサギの人形は遥か昔、子供の頃にアイテムボックスにしまった人形であったという事に。
「そうじゃのう、わしの死体と魂がこのウサギの人形に合体しちまったようじゃ、この人形手足の指まであるからブレイカーソードは持てるじゃろうな」
「ぎゃははははっはははは」
さっきまで泣いていたミシェルが突然笑いだす。
彼は腹を抱えてその場で転がりまわっている。
「笑うな、可愛いじゃろうが」
「これからウサギさんて呼ぶぜ」
「村長ウサギでもいいぞ」
「よし、村長ウサギさん、これからソード王国に引越そう、もうこの村はぼろぼろでダメだ」
「おうよ」
「あのー話が進んどる所申し訳ないが、ソード王国に皆移動を始めているぞ」
ガストン教授が手を上げる。
「皆の心変わりが速いですね」
リードが苦笑を漏らしている。
そんな彼もまさかウサギになって生き返ってくるとは思わずに笑いをこらえる。
「じゃあ行きますか」
デルを背負いながら、背中にとても柔らかい物が当たっているのを感じていた。
リードはそれが胸である事を認識すると少し恥ずかしくなったが。
デルに何があったのかは分からないけど、魔女バルには二つの人格がいるようだ。
それは光と闇。
おそらく光が普通のバルで、闇がデルを裏切ったり、ひどい事をしてきたのだろう。
その真実をデルに伝えるべきか悩みながら、リードはソード王国へと皆で移動を始めた。
その時、古代機械都市ダンジョンが鼓動を始めて、大地から動き出したのを、わずかにリードは感じていた。
メロカのAIがソード王国を本来の形にすべく、古代機械都市ローゴを起動させたのだろう。
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