俺TUEEEと調子に乗った勇者がレベル9999の村人達にフルボッコされて国外ダンジョンへ追放されました!?~無一文勇者ガチャで成り上がる~

AKISIRO

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第1章 勇者敗北から学ぶ

第20話 バルフ王国の滅び

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「こりゃーすげーひでーな」

 そこにあった建造物。城壁やら城が完全に吹き飛んでいる。
 しまいには被害は城下町まで広がっており、多くの人々が怪我を負っている。
 
 冒険者ギルドの一角で、デス騎士と魔神ファイガがお酒を飲んでいるところに出くわした。

「お、それはきっと分身だなラヴィ様、すみません、ガオス王が自爆した。燃やせばよかった」

「ファイガよ、気にするな、きっと燃やしても同じ結果になっただろう。2人よく無事だったね」

「まぁ、私は全身が燃えてるようなものだから問題ないけど、デス騎士に至っては全身の骨がばらばらになったのに普通に魔法の力なのか結合して生き返ってたよ、燃やしようがないな」

「ふ、デス騎士は既に火葬されているようなものだ。さてと、このバルフ王国なんだが」

 その時、濃いおっさんのギルドマスターが慌てて走ってきた。

「てーへんだ。隣国のジャズ王国がガオス王死去と知り、侵攻を開始した。北のベルルラード城砦も落ちたらしい」

「あっそ」

「あっそって」

「さっき瓦礫の山とかを見てきたんだけどさ、異種族つまり人間以外の差別ってまだあんのな」

「当たり前でしょ、人間が一番偉いんですから、彼等は一生奴隷で良いんです」

「そうかーその考え方あまり好きじゃないね」

「なんでですか」

「俺の幼馴染の子、天使族だったんだよね、ニルナ。俺の故郷異種族ばっかりいてさ」

 唐突に勇者ラヴィが懐かしむように昔を語る。

「そう思えば、魔王の血筋だってのも頷けるよ」

 魔王の血筋。
 生れた場所は普通の村でも、ほとんどが何かしらの異種族。

 人間である事がまれな存在なのかもしれない。

「よし、決めた。君達いっそのことジャズ王国の奴隷になっちゃいなよ、そしたら分かるだろ」

「は、はいいいい」

 そこにいた一同がパニック状態に陥る中。

「ま、まってください、勇者ラヴィ様」

「じゃ、帰るよ、帰還したらアイテムボックスからギャバン達取り出さないとあいつら正気うしなっちまう」

「御意」
「……」

 魔神ファイガとデス騎士がこくりと頷き。
 勇者ラヴィは帰還魔法を発動させていた。

 ★

「は、はぁああ、助かったーアイテムボックスのカオスぶりはやばかったぜ」

 盗賊王ギャバンが外に出るなり、天上を見る。

「はて、ここはダンジョンの中かな? ラヴィ様」

「そうだ。ハゲスダンジョンの最下層、レベル10000以上のモンスターがはびこっているらしい」

「ま、まじかあああああああああ」

 盗賊王ギャバンの絶叫が迸る。
 ちなみに、彼等の為に砦もアイテムボックスから取り出している。
 さらにはガルス王子とデーニャ姫も取り出し、その他大勢も取り出している。

「こ、ここが魔王の国なんですねぇ」
「そのようだな妹よ、探検してこよう」
「お兄様だけずるいー」

 2人の王子と姫がいなくなると、盗賊王ギャバンが取り残されてしまい。

「でだ。ギャバン。お前のモンスターを盗む力を貸して欲しい」

「な、何をすれと」

「レベル99999以上のモンスターの心を盗んで欲しい、ただし、貝とかも盗めるか?」

「はい? いや、無理でしょ、レベル99999て瞬殺ですから、そもそも貝ってモンスターじゃないでしょ」

「いや、ホタテが邪魔をしてダンジョン攻略が難しくてな。別に攻略しなくても帰還魔法でなんとかなるにはなるんだがな、勇者の心としてはクリアしておきたいのさ」

「そうかーあなたは1人ででも魔王を討伐してしまう方ですよね、しかも兄だったそうで、ご愁傷様です」

「ははっははあ」
「答えはイエスですぜ、盗賊王ギャバン、生きものなら人間以外ならハートを盗めるぜ」

「で、アイテムボックスに収納されている無数のモンスターの心なんだが、あれを利用出来ないか?」

「んーとあれらの体はあなたが殺したんでしょうが」

「そうだったな、ハートだけか」

「それも活用方法あるはずなんですけどね」

「何かガチャで手に入るかもしれない。モンスターの心はアイテムボックスに収納しておこうか」

「そうしてください! それじゃあ、おれはダンジョン王国でも探検してきますよ」

 盗賊王ギャバン、何かを盗むためにひたすら走り続けてきたが。
 現在進行形で何か間違った方向に走り始めたんだろうなとラヴィは思った。

「これで、ホタテ攻略方法が見えてきたぜ」

 勇者ラヴィはまだまだ前向きであった。

★ 本体ラヴィ

「完成したぞい、雷船改じゃ」

「ふぉふぉ、ジェスカ殿は勝手に改良を施されてしまわれたようじゃな」

「バッファマンの設計図は素晴らしい、だがもっと素晴らしくする方法があるんだよん、この雷船を製造するのがとてつもなく楽しかった。おいらは鍛冶屋世界にこもるから、いつでも呼んでくれ、目と鼻と耳が主様と共有されておるのじゃ」

「それっていやらしい」

「フレイヤムード台無しよ」

 フレイヤとガランドの思わぬ突っ込みに。
 勇者ラヴィの本体は困り果てる。
 ちなみに分身は現在ダンジョン王国に戻って盗賊王ギャバンとホタテについて話をしていた所だったはず。

「では、バッファマンさん、コントロールをお願いします」

「まかしんしゃい」

 そう言って、バッファマンさんは雷船改の舵をきる事になった。
 ふわりと、翼部分から炎が上がる。
 どうやらガソリンと呼ばれている物が燃えているらしい。

 さらには船尾が浮き上がり、帆が空気を包み込んだ瞬間。
 雷船改は空を飛翔した。

「ふぁーーふぁっふぁぁあああ」

 と意味の分からない笑い方をしているバッファマンさんを放っておいて。
 大地の亀裂の下にあるダンジョン。
 その内部を雷船改が飛翔する。
 少しでも操作を間違えれば、激突沈没必死。

「大地の亀裂の隙間から覗く太陽の光がなんか眩しいわね」

「そうですわね、フレイヤ様、それにしても、バッファマンさんの操縦が物凄く」

「物凄いな」

 最後は勇者ラヴィが締めくくる。

 大地の亀裂の隙間の下にはダンジョンが広がっている。
 そしてダンジョンの下にはさらに穴が開いており。
 
 そこから入る事になった。
 中心部へ向かって。
 辿り着いた場所は。

 化物達の住処であったのだから。



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