異世界⇔現実 両方やってます商店 ~商売で成り上がってレベルアップ!~

AKISIRO

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第7話 1時間後には作物の森村へ

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 朝靄がまだうっすらと漂う村の畑。
 俺とガル、ナナミー、そして村人たちが総出で並び立っていた。

「よーし、始めるぞ!」

 俺の号令と同時に、皆が一斉に動き出す。
 俺が取り出したのは大量のクワ。実家の倉庫……いや、ほとんどリサイクルショップからかき集めたものだ。
 握り直して、振りかぶり、一撃。
 ドガァァンッ!
 乾いた音と共に土が弾け飛んだ。
 周囲の村人が思わず身をすくめる。

「ひゃ、ひゃあっ!? 土が爆発したぞ!」
「お、おぉぉ……これがマナブ殿の力か」

 ガルも目を丸くしている。
 いや、俺自身も驚いていた。一振りで畑の土がトラック数台分ひっくり返るのだから。
 しかも体力はほとんど減らない。超人補正恐るべし。

「……こりゃあ、クワっていうよりも爆撃兵器だな」

 土煙にまみれながらつぶやく俺に、ナナミーが顔をくしゃっとさせて笑う。

「でもおかげで作業が速いですわ! さ、みんな続けて!」

 その後も、クワを振るう度に「ドガァン!」「ドドドォォン!」と地響きが村に響き渡り、わずか五分で畑一面を耕し終えてしまった。
 気づけば俺もガルもナナミーも、頭の先から足の先まで泥だらけだった。

 次は肥料だ。
 俺が持ってきたのは、リサイクルショップで山のように売れ残っていた農家直送の肥料袋。

「母さんがまとめて仕入れては処分に困ってたやつだな……」
「それを今こそ活用するんですわね!」

 袋を破り、ぶちまける。
 パラパラ……どころかドサァァァ!と土が黒々と染まっていく。
 この作業も五分足らずで終了。

 続いては種まきだ。
 用意したのはジャガイモ、枝豆、玉葱、キャベツ、白菜。

「畑一面に植えるのは大変だろうな……」

 そう思った矢先、村人たちが見事な連携で動き出した。
 クワで掘った溝に、次々と種を落とし、覆土する。

「マナブさん、みんな早すぎませんか?」
「俺らも超人化してるからな……種まきスピードも人外だわ」

 結果、これまた五分で終了。
 開始から十五分で耕し、肥料を撒き、種を植え終わった。

「さて、ここでおやつタイムだ」

 俺が取り出したのは――カップラーメン。
 ヤカンから湯気の立つお湯を注ぐと、みんなの顔がパァァっと輝いた。

「これが噂の……魔力の料理!」
「いや、魔力じゃなくてインスタント食品な」

 ズズズ……と啜る音が村中に響く。
 もちろん俺も啜った。熱々のスープが体に染みわたる。
 超人化補正のせいか、栄養が直接筋肉に変換されるような感覚があった。

 そして――。

「なぁ、畑……なんか様子がおかしくないか?」

 誰かがつぶやいた。
 見れば、わずかに芽吹いたはずの畑が……いつの間にか鬱蒼とした森へと変貌していたのだ。
 にょきにょきと、幹のような茎。
 わさわさと広がる葉。
 背丈ほどに伸びた草に、村人たちの悲鳴が混じる。

「ひぃっ!? 畑が、森になっちまった!」
「すご……」

 俺も呆然と立ち尽くした。
 たった一時間で、畑は「作物の森」と化していたのだ。

 そして実った野菜たちは――。
 ジャガイモは人間の頭ほどの大きさ。
 枝豆は豆一粒が人間の目玉サイズ。
 玉葱は人間の頭と同じくらいで、キャベツや白菜は……なんと車ほどの大きさ!

「もはや……怪物野菜だな」

 俺が唸ると、ガルも口を半開きにしたまま頷く。

「ま、魔物に育ったわけじゃないですよね……?」
「たぶんな」

 そう答えつつも、心の中では「いや、動き出してもおかしくないな」と思っていた。

 収穫は一大イベントだった。
 巨大雑草をかき分け、斧でキャベツを切り倒す。
 玉葱を転がすのに大人三人がかり。
 そのドタバタはまるでダンジョン攻略。
 だがその甲斐あって――一年分どころか数年分の食料を一瞬で確保してしまった。

「ところで……これ保存どうすんの?」

 俺は現実的な疑問を口にした。
 ナナミーが肩を落とす。
 だがガルが提案した。
「地下倉庫を拡張するしかないですね」
「お、それだ」

 そこで登場したのが、腰の曲がったゴロク爺。

「わしが“穴掘りスキル”を教えてやろう」

 俺とガル、ナナミーはそのスキルを習得。
 超人補正もあって、ものの一時間でマスター。
 村人たちと力を合わせ、野球ドーム級の地下倉庫を三時間で掘り上げた。
 当然みんな土まみれ、筋肉痛でへろへろ。

「うぉぉぉぉぉ! 完成だー!」

 歓声が響く。

 作業後のご褒美は――料理だ。
 俺は巨大ジャガイモ、巨大玉葱、巨大キャベツを使ってカレーライスを作った。
 カレー粉は実家の台所から拝借したもの。米はリサイクルショップで仕入れた冷凍米を使用。
 大鍋から漂う香辛料の香り。
 村人たちの腹の虫が鳴り止まない。

「さぁ、召し上がれ!」

 一斉にスプーンが進む。

「な、なんだこれ……うますぎる!」
「野菜の甘みが信じられん……!」
「カレーって……魔法の料理ですね!」

 ナナミーが頬を赤らめて叫ぶ。
 ガルは三杯目をかっ込み、ゴロク爺は涙を流しながら食べていた。
 俺自身も口にして驚いた。
 深みのある甘みと旨味、食感の力強さ。
 これは確かに、この世界の野菜が“化け物級”に進化している証拠だ。

「よし、何個か俺の世界に持って帰るか」
「もちろんですわ!」

 ナナミーが笑顔で頷く。
 これを現実世界に持ち込んで販売すれば……一財産築けるだろう。
 頭の中で商売計画が膨らむ。
 だが同時に、ふと現実の自分を思い出す。

「……そういや、最近3Dモデリングの仕事してねぇな」

 自嘲気味に呟き、俺は立ち上がった。

「よし。食ったし、俺は一旦現実に戻る。野菜も持って帰るからな」
「はい、気をつけて」

 ナナミーは夢中でカレーを頬張りながら手を振った。
 こうして俺の“異世界農業チャレンジ”は、とんでもない成果を上げて幕を下ろした。












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