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第6話 畑改革
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俺は再び異世界へと足を踏み入れた。
冷たい風に頬を撫でられ、振り返ると岩の影にガルが立っていた。
「戻ってきましたか。……村に行くんですよね?」
「待っててくれたのか、ありがとう」
「いえいえ。これくらいしか出来ませんから」
控えめに笑うガル。その真面目さが妙に安心する。
だが俺の心には別の衝動が芽生えていた。
「ガル、ちょっと試してみたいことがあるんだ」
「なんでしょう?」
「ゴブリン退治だよ」
「……それは非常に危険だと思いますが」
「今の俺は強いんだ。根拠は……いや、まぁ見てろよ。お、あそこにいるな」
遠目に緑色の影が揺れる。
俺は地面に転がっていた拳大の石を拾い上げ、軽く呼吸を整えた。
「そりゃっ!」
渾身の投擲。
野球部で培った肩の強さが炸裂し、石は弾丸のごとくゴブリンの顔面を直撃した。
次の瞬間――。
ドンッ!
まるで爆薬でも仕込んでいたかのように、ゴブリンの頭が粉砕された。
「ひっ……!?」
ガルが目を丸くする。
周囲のゴブリンたちが異変に気づき、こちらへ殺到してくる。数は五。
「あ、やべ」
ガルが慌てて剣を抜くが、その必要はなかった。
俺は立て続けに石を拾い、投げ、投げ、投げ――。
パァン! パァン! パァン!
五体のゴブリンの頭部が次々と爆ぜ飛んだ。
その様子はまさに投石大砲。
「……大砲かよ」
呆れた声を漏らすガル。
だが俺はスポーツ経験の自信からか、どこか得意げに肩を回していた。
野球だけでなくサッカー経験もある俺は、走力にも蹴りにも自信がある。
どうやら異世界補正と相性抜群らしい。
その時、頭の中に機械音声が響いた。
【レベルが5→10になりました】
【スキル:鷹の眼を獲得しました】
「お、来たな。鷹の眼、試してみよう」
意識がふっと空へと切り替わる。
自分の視界が上空数百メートルへと舞い上がり、鳥のように俯瞰で地上を眺められる。
眼下には村、さらに遠くに石造りの街並み、その奥には巨大な城。
しかも距離と所要時間まで自動で表示されている。
まるでスマホのマップアプリそのまま。
「なんだこれ、超便利……」
感動を噛み締めつつ、俺はガルに声を掛ける。
「よし、村に行こうか」
「は、はい……」
ガルは口をぽかんと開けたまま、俺に従った。
俺たちはその足で村へ向かうことにした。
村の入口ではナナミーが待っていた。
彼女は俺の姿を認めると、心配そうな顔が一気に晴れやかになった。
「マナブさん! エリクサポーション、どうでした? 現実世界で売れそうですか?」
「ええ、かなり売れそうですよ。実際、女の子を助けられました。あと少し遅れてたら死んでたでしょうね」
「それは……本当に良かった!」
ナナミーは心から喜び、手を合わせるように笑った。
「そうだ。実はこの村の畑が荒れてるのを見かけたんです。だから俺、畑を耕そうと思って。商品倉庫にクワやジョウロ、それに種も突っ込んできました」
「本当ですか!? それは助かります! でも……収穫には時間がかかるのでは?」
「いや、俺の世界で採れた作物の種なら、この世界では爆速で成長するかもしれないんです。どうやら“こちらとあちら”を行き来すると、効果が跳ね上がるみたいなんですよ」
「なるほど……だから、カップラーメンを食べた父さんたちがトロールみたいな力を得たんですね」
「そう。で、さらに言うと――」
横で聞いていたガルが割り込んできた。
「その力をマナブさんが持ってるんですよ」
「え、どういうこと?」とナナミーが振り向く。
「マナブさん、石ころでゴブリンを六体も殺したんだ」
「……すごすぎる」
ナナミーの目が輝く。
だが俺は苦笑しながら頭をかいた。
「まぁ、こちらのエリクサを現実で飲んだのが原因だろうな」
「それ、画期的じゃないですか!」
ナナミーが小さく拳を握る。
「ちなみに私もカップラーメン食べたので、結構強いと思います!」
にっこり笑うナナミー。
だが口元に妙な影が差し、ちょっと怖い。
「俺も食べました。父さん並みに強くなったはずです」
ガルまで胸を張る。
「……この村にカップラーメンを大量輸入しないとダメだな」
俺は遠い目をした。
毎日食べ続けたら村人全員が化け物になる――そんな未来が頭をよぎる。
同時に、俺が毎日エリクサを現実で飲んだらどうなるのか。想像すると、背筋に冷たいものが走った。
「さてと、畑改革でも始めますか」
俺がそう呟いた瞬間、ナナミーもガルも力強くうなずいた。
この村が“恐ろしい作物の村”へと変貌することを、まだ誰も知らなかった――。
冷たい風に頬を撫でられ、振り返ると岩の影にガルが立っていた。
「戻ってきましたか。……村に行くんですよね?」
「待っててくれたのか、ありがとう」
「いえいえ。これくらいしか出来ませんから」
控えめに笑うガル。その真面目さが妙に安心する。
だが俺の心には別の衝動が芽生えていた。
「ガル、ちょっと試してみたいことがあるんだ」
「なんでしょう?」
「ゴブリン退治だよ」
「……それは非常に危険だと思いますが」
「今の俺は強いんだ。根拠は……いや、まぁ見てろよ。お、あそこにいるな」
遠目に緑色の影が揺れる。
俺は地面に転がっていた拳大の石を拾い上げ、軽く呼吸を整えた。
「そりゃっ!」
渾身の投擲。
野球部で培った肩の強さが炸裂し、石は弾丸のごとくゴブリンの顔面を直撃した。
次の瞬間――。
ドンッ!
まるで爆薬でも仕込んでいたかのように、ゴブリンの頭が粉砕された。
「ひっ……!?」
ガルが目を丸くする。
周囲のゴブリンたちが異変に気づき、こちらへ殺到してくる。数は五。
「あ、やべ」
ガルが慌てて剣を抜くが、その必要はなかった。
俺は立て続けに石を拾い、投げ、投げ、投げ――。
パァン! パァン! パァン!
五体のゴブリンの頭部が次々と爆ぜ飛んだ。
その様子はまさに投石大砲。
「……大砲かよ」
呆れた声を漏らすガル。
だが俺はスポーツ経験の自信からか、どこか得意げに肩を回していた。
野球だけでなくサッカー経験もある俺は、走力にも蹴りにも自信がある。
どうやら異世界補正と相性抜群らしい。
その時、頭の中に機械音声が響いた。
【レベルが5→10になりました】
【スキル:鷹の眼を獲得しました】
「お、来たな。鷹の眼、試してみよう」
意識がふっと空へと切り替わる。
自分の視界が上空数百メートルへと舞い上がり、鳥のように俯瞰で地上を眺められる。
眼下には村、さらに遠くに石造りの街並み、その奥には巨大な城。
しかも距離と所要時間まで自動で表示されている。
まるでスマホのマップアプリそのまま。
「なんだこれ、超便利……」
感動を噛み締めつつ、俺はガルに声を掛ける。
「よし、村に行こうか」
「は、はい……」
ガルは口をぽかんと開けたまま、俺に従った。
俺たちはその足で村へ向かうことにした。
村の入口ではナナミーが待っていた。
彼女は俺の姿を認めると、心配そうな顔が一気に晴れやかになった。
「マナブさん! エリクサポーション、どうでした? 現実世界で売れそうですか?」
「ええ、かなり売れそうですよ。実際、女の子を助けられました。あと少し遅れてたら死んでたでしょうね」
「それは……本当に良かった!」
ナナミーは心から喜び、手を合わせるように笑った。
「そうだ。実はこの村の畑が荒れてるのを見かけたんです。だから俺、畑を耕そうと思って。商品倉庫にクワやジョウロ、それに種も突っ込んできました」
「本当ですか!? それは助かります! でも……収穫には時間がかかるのでは?」
「いや、俺の世界で採れた作物の種なら、この世界では爆速で成長するかもしれないんです。どうやら“こちらとあちら”を行き来すると、効果が跳ね上がるみたいなんですよ」
「なるほど……だから、カップラーメンを食べた父さんたちがトロールみたいな力を得たんですね」
「そう。で、さらに言うと――」
横で聞いていたガルが割り込んできた。
「その力をマナブさんが持ってるんですよ」
「え、どういうこと?」とナナミーが振り向く。
「マナブさん、石ころでゴブリンを六体も殺したんだ」
「……すごすぎる」
ナナミーの目が輝く。
だが俺は苦笑しながら頭をかいた。
「まぁ、こちらのエリクサを現実で飲んだのが原因だろうな」
「それ、画期的じゃないですか!」
ナナミーが小さく拳を握る。
「ちなみに私もカップラーメン食べたので、結構強いと思います!」
にっこり笑うナナミー。
だが口元に妙な影が差し、ちょっと怖い。
「俺も食べました。父さん並みに強くなったはずです」
ガルまで胸を張る。
「……この村にカップラーメンを大量輸入しないとダメだな」
俺は遠い目をした。
毎日食べ続けたら村人全員が化け物になる――そんな未来が頭をよぎる。
同時に、俺が毎日エリクサを現実で飲んだらどうなるのか。想像すると、背筋に冷たいものが走った。
「さてと、畑改革でも始めますか」
俺がそう呟いた瞬間、ナナミーもガルも力強くうなずいた。
この村が“恐ろしい作物の村”へと変貌することを、まだ誰も知らなかった――。
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