《無限倉庫》×10人の異世界転移者~倉庫x通販xガチャx魔獣x癒しx影支配x武装x召喚x情報x翻訳の力で異世界を支配しろ!

AKISIRO

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第1部 10人の覇王候補

第13話 女子高生、村を救う

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 とある村。静まり返った木造の小屋の中に置かれた一つの棺が、ギィ……と音を立てて開いた。

「……てかなんで、あたしは棺の中から誕生してんのよ」

 薄暗い部屋に一人の少女の声が響く。
 その名はゾフィア・グレイ。日本からやってきた、毒舌で腹黒い女子高生。
 いじめられている人を助けるために、いじめている側を逆にいじめるという歪な正義感を持つ“正義の悪女”である。
 ゾフィアは周囲を見渡す。


「ここ……誰かの家? てか病院っぽい?」

 机の上に置かれた古びた本に手を伸ばし、パラパラとめくる。

「うーん、これは……村全体が『呪の病』ってやつにやられたって書いてあるわね。で、ここの住人は死亡……っと」

 ゾフィアは鼻で笑いながらローブを翻して立ち上がる。  彼女の服装はまるで魔女のような黒いフード付きローブ。

「ったく、なんで魔女みたいな格好なのよ……」

 扉を開けた瞬間、外からはかすかなうめき声と嗚咽が聞こえた。
  目の前に広がるのは、病に苦しむ村人たちの姿。
 血反吐を吐く者、体をかきむしる者、皮膚が焼けただれた者、眼から血を流す者――。

「……マジで地獄ね。けど、あたしだけは平然としてる。たぶん、スキル『病魔の治療』が自動で自分に効いてるんでしょうね」


 彼女は近くにいた倒れかけの子供に目を留めた。

「お姉ちゃんに見せてごらん」

 優しく微笑む。毒舌な一面とは裏腹に、ゾフィアは子供には常に優しい。
 子供時代にいじめられていた彼女は、弱者に対する共感が人一倍強かった。
 両手で子供の頭を包みこむように撫でると、淡い光が生まれた。

 ――スキル【病魔の治療】発動。

 瞬間、子供の体から病が消えていく。  驚いた様子で、自分の体を確認する子供。

「お姉ちゃん……だれ? 村の人じゃないよね?」
「そう。私は異世界から来た“女神の悪女”ってところかな」
「なんで悪女なの?」
「それはね、悪い人をいじめるからよ」
「でもお姉ちゃん、とっても優しいよ?」
「……ま、そう見えるならそれでいいわ」

 ゾフィアは立ち上がり、次なる患者へと歩を進める。
 病に倒れた村人たち一人一人に手を差し伸べ、スキルを発動させていく。
 光の連続。  そのたびに村人たちが次々と癒されていく。


「ふぃー、体力使うわねこれ」

 スキル発動には少なからず体力が消費されるようだった。
 そして、彼女の脳内に通知が走る。

【浄化完了:怒りの病魔を獲得しました】
「へぇ……“怒りの病魔”ってのが、今回の元凶だったのね」

 その瞬間、村の広場から悲鳴が上がった。
 ゾフィアが駆けつけると、男が3人、村人を怒鳴りつけながら暴れていた。
 どうやら川で溺れていたところを村人が助けたらしいが、正体はSランク級の山賊。

「金を出せ! すぐだ! 俺たちは団長の元へ戻らなきゃなんねぇんだよ!」

 ゾフィアは瞬時に理解した。救われた恩も忘れ、村人を脅して金を奪おうとしている外道どもだ。

「あんたたち!」

 声を上げると、男たちが彼女を見た。

「なんだ、いい女がいるじゃねぇか……そのローブ、気に入ったぜ。お前も奴隷にしてやる」
「その獣人たちって、今どこ?」
「さぁな、もうどこかの国に売り飛ばされた頃だろ」
「最低ね、アンタたち」
「はっ、てめぇも今から売り飛ばされる側だ!」
「……そう?」

 ゾフィアが右手をかざした瞬間、黒い光が放たれた――ように見えたが、実際には視認できるものではない。
 次の瞬間、男たちの体が震えだす。

「がはっ……! な、なんだこれ……!」

 吐血。  皮膚が焼け、眼から血が流れ出す。  3人の山賊が地面にのたうち回りながら、次々と命を落としていった。

 ゾフィアは静かに彼らに近づき、死体から病魔を吸収する。

「ふむ……やっぱり、治療っていうより“吸収”が本質っぽいわね」
【スキル:怒りの病魔を再取得しました】

 その様子を見ていた村人たちは、ただただ呆然としていた。

「まるで、聖女様……でも、その力はまるで悪魔のような……」

 そこへ、杖を突きながら一人の老婆が現れる。  しわくちゃな顔に、どこか知性を秘めた瞳。

「どうか、この村を救ってくだされ。ここは奴隷帝国の端にある“カワベリ村”……どこの国にも属さぬ自然の村。ですが、隣村にもこの病が広がっております……どうか、聖女様の力をお貸しくださいませ」

 老婆が頭を下げると、ゾフィアは頷いた。

「もちろん、いいわよ。あ、でもまずお腹すいた。何か食べさせて」
「はい、すぐに!」

 ゾフィアは案内されて村長の家へ。  そこには数多の本が並んでいた。『ジェラルド王国記』『奴隷帝国記』

『無人島古代遺跡の伝承』『魔王記』『勇者伝』――まるでこの世界の歴史を凝縮したかのような蔵書。
「あなた、いったい何者?」

 ゾフィアが尋ねると、老婆は穏やかに微笑む。

「わしは310歳。かつて、勇者パーティーで“賢者”を務めておりました。……ですが、いまは力も衰え、この村で隠居しています。怒りの病魔には勝てる自信がありませんでした。ですが、あなたのおかげで村は救われました」

 老婆は杖を突きながら立ち上がる。

「この知識、すべてあなたに託しましょう。あなたなら、世界を変えるかもしれません」
「うそん。あたし、偏差値ひどい系の女子高生よ?」
「それでも、あなたはもう“ただの女子高生”ではありません」

 ゾフィア・グレイ。  聖女のごとく癒し、悪女のごとく呪う。  今、彼女は病魔を抱え、知識を得て、この世界の闇に挑もうとしていた。
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