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その翌々日には面会できるようになっていた。
なんて声をかけていいか分からずに、僕たちは顔を合わせて数分は何も喋らなかった。
「……昨日」
小さい声が、病室に響く。
「来たでしょ。一昨日の夜も」
そっと顔を上げても、彼女と視線が合わなかった。否定する理由はなかったため、
「うん」
と短く返事をした。
彼女は「はぁ」と声に出して溜息を吐いた。
「見たんでしょ」
言いたいことは分かるでしょ?
そう言いたげに、だけど言葉にはせずに、彼女は僕に視線を投げかけてくる。
「……狡いなぁ」
僕は苦笑した。
彼女は少しムッとして、だけどすぐに眉間のしわをほどいて「そうね」とうなずいた。
「私は狡い。けど、いいじゃないこのくらい……もうすぐ私は」
続く言葉を、彼女は口にしなかった。
躊躇っているわけではなく、ただ自然と口を噤んだといった様子だった。
その頃の彼女はもう、笑うことすらしなくなっていた。
吐血してから、彼女は僕と話すことをあまりしなくなった。
どうにかして笑わせようとしたけど、彼女は笑うことを忘れてしまったかのように無表情になっていった。
「あまりいい状態ではないです」
医者は真剣な表情でそう言った。
真剣な表情だからこそ、僕はより不安になった。
「笑わせたいんです」
気づけば口から言葉が出ていた。
医者は少し僕を見て、またカルテに目を落とした。
「外出許可って、おりませんかね」
無茶な要望だと言うのは分かっていた。
彼女は重傷者で、できるなら医者がずっと彼女に付き添っていることが望ましいほどに衰弱している。
「まぁ、そう簡単には出せませんよね」
あっさりと切り捨てられる。
「二条さんの体調が一時的にでも良くなれば、出せるよう調整しましょう」
医者はそう言って微笑んだ。
何となくその時、
──そういえばこの人は、毎日のように人の死と向かい合っているんだったな。
そんなことが頭に浮かんだ。
瞳の奥に、彼の苦悩と後悔とが見えた気がしたから。
その日から僕は、彼女の好きだった店のケーキを買っていったり、服を買ったり、とにかく物を買った。
彼女は、ケーキを少し食べただけだった。
服に至ってはすごく嫌そうな顔をされてしまった。
「新菜。どこか行きたいところある?」
トラベルガイドを捲りながらそう尋ねた時だった。
彼女はキッと僕を睨むと、枕を投げつけてきた。
「行けないってわかっててそういうこと言うの!?馬鹿!大嫌い!帰って!」
叫ぶ彼女の目は血走っていて、何日もまともに寝れていないことが明らかだった。
そっと彼女の手を握り「新菜」と声をかける。
彼女は暴れることを一瞬やめた。
だがすぐに「放して」と手を振りほどこうとした。
跡が残らないよう気を使いながら、僕は彼女の手を掴む力を強めた。
「新菜。新菜が不安なのは知ってる。どのくらい不安かは分からないけど……君が感情にまかせて僕にきつくあたったときは、毎日僕が帰ったあと泣いてるよね。毎日、明日は生きているのか不安なことも知ってるし、君が僕を解放したいって思っているのも、僕が君から離れるのも同じくらい嫌っていうのも知ってる」
彼女──新菜は、泣きそうな顔をした。
新菜はあまり人前で泣いたことがなかった。泣くことが悔しいらしいのだ。
そんな彼女の意志を尊重し、彼女の柔らかな髪をそっと撫で、自分の腕にすっぽりおさめる。
ぎゅっと握られてシワができたシャツに、大粒の水玉模様ができていった。
***
ふと、目を開ける。
目の前にはいつもと変わらない光景が広がっている。
小学生の頃から使っている机、染みのできたカーテン、乱雑に置かれた書類や参考書。
──そして、彼女の霊。
自分でも頭がおかしくなったと思う。
だけど目の前に確かに居るのだ。
だが姉には見えていないらしく、何度もカウンセリングを勧められた。だけど僕はそれを断った。自分の見ているものが彼女の霊でないのなら、僕は本当に生きていくことを止めてしまいたくなる気がした。
彼女はちょこんと座っていたり、いつの間にか立っていたりする。
話せたことは一度もない。こっちから意思の疎通を計っても、彼女はうんともすんとも言わないし反応しない。ただぼうっと立っているだけなのだ。
茶色い髪は生前の快活な時のままで、顔だけがいつも見えなかった。覗き込もうとも思わなかった。幽霊なんか今まで一度も会ったこと無かったし、まず単純に彼女だろうが怖いのだ。
服は毎日同じで、やはり彼女が生前気に入っていた服を着ている。
しかし彼女は夕方と朝方にしか姿を見せない。
そんな彼女を、姉は追い出そうとは言わなかった。
ただ「あなたがいいなら、いいんじゃない」と言っただけだった。きっと姉も、彼女を僕から無理に引き剥がそうとしたら僕の方が壊れてしまうと悟ったのだろう。
何をしているのか、何のために僕の目の前に姿を現したのか話そうとしない、謎な彼女。そんな彼女はよく、僕の窓から外を眺める。その視線の先には、彼女が生前「イケメン」と評していた彼女の高校時の部活の後輩の家があった。
──だったらその後輩のところに行けばよかったのに。
僕はそんな彼女が苛立たしくも、やはり嫌いにも恨む気にもならないのだ。
後輩は間違いなく彼女に好意を抱いていた。彼女はきっと気づいていないが。
時間ギリギリまで部屋で彼女と過ごし、僕はカバンを背に家を出た。
仕事場は家から遠く、車で二時間ほどで到着する。
「あー!やっと来た!あと一分で朝礼始まるのよ!」
と朝から喧しいのが、同期である花田持世だ。なかなか古参なネーミングは、彼女が最も気にしている。
「今日も彼女さん?」
茶化すような口調の花田に「ああ」とだけ素っ気なく答える。
「ラブラブだなぁ」
と返す彼女の顔には、ハッキリと「心配」と書いてある。
「もー……死んでまで想ってもらえるなんて、その彼女さんはホントに羨ましい」
花田はそう呟いて薄く笑った。
花田は、僕のことが好きだった、らしい。
大学から彼女とは知り合い、就職先も同じになってから話すようになった。
飲みの席で、花田は「私ぃ」と酔った口調で酒を煽り、
「木嶋くんのこと、好きだったのよォ」
潤んだ瞳で見上げられ、なんて返せば良いか分からなくなった。
「……彼女いるんで」
ややあってそう答えると、花田は「あ、そ」とだけ呟きまた酒を煽った。
花田は無自覚かもしれないが、彼女が死んでから僕を飲みに誘う回数が増えた。
正直要らない気遣いというやつだった。彼女を失って傷心中は、できるだけ放っておいてほしかった。
「ね」
花田は声を潜めて僕を呼び止めた。
「今日、夕飯一緒に食べない?美味しいフレンチの店見つけたの」
花田はつとめて明るくいった。
「ごめん、別の人と食べて」
と答えると「ちょっと」と花田に腕を掴まれた。
「ちょっと待ってよ。分かってんでしょ?私の気持ち……」
朝からこんな修羅場展開にしないで欲しかった。
思わずため息を洩らすと、花田はカッと頬を赤くした。
「彼女さん、もう居ないじゃない!もう、忘れて自分の人生生きたって罰は……!」
「忘れる?」
どれだけ冷えた声だったのだろう。
花田の肩がビクリと震えた。
「悪いけど、忘れるのは無理だ。花田、俺はお前を好きにはならないよ……この先、一生」
花田は唇を噛み締めて俯いた。
「花田こそ、俺の事忘れて他の人を探した方がいいよ」
嫌な言い方をした自覚はあった。
だが、どうしたって腸が煮えくり返って仕方なかった。
花田が自分のことを気にかけてくれるのは有難いが、彼女のことをとやかく言われるのは気分が悪かった。
なんて声をかけていいか分からずに、僕たちは顔を合わせて数分は何も喋らなかった。
「……昨日」
小さい声が、病室に響く。
「来たでしょ。一昨日の夜も」
そっと顔を上げても、彼女と視線が合わなかった。否定する理由はなかったため、
「うん」
と短く返事をした。
彼女は「はぁ」と声に出して溜息を吐いた。
「見たんでしょ」
言いたいことは分かるでしょ?
そう言いたげに、だけど言葉にはせずに、彼女は僕に視線を投げかけてくる。
「……狡いなぁ」
僕は苦笑した。
彼女は少しムッとして、だけどすぐに眉間のしわをほどいて「そうね」とうなずいた。
「私は狡い。けど、いいじゃないこのくらい……もうすぐ私は」
続く言葉を、彼女は口にしなかった。
躊躇っているわけではなく、ただ自然と口を噤んだといった様子だった。
その頃の彼女はもう、笑うことすらしなくなっていた。
吐血してから、彼女は僕と話すことをあまりしなくなった。
どうにかして笑わせようとしたけど、彼女は笑うことを忘れてしまったかのように無表情になっていった。
「あまりいい状態ではないです」
医者は真剣な表情でそう言った。
真剣な表情だからこそ、僕はより不安になった。
「笑わせたいんです」
気づけば口から言葉が出ていた。
医者は少し僕を見て、またカルテに目を落とした。
「外出許可って、おりませんかね」
無茶な要望だと言うのは分かっていた。
彼女は重傷者で、できるなら医者がずっと彼女に付き添っていることが望ましいほどに衰弱している。
「まぁ、そう簡単には出せませんよね」
あっさりと切り捨てられる。
「二条さんの体調が一時的にでも良くなれば、出せるよう調整しましょう」
医者はそう言って微笑んだ。
何となくその時、
──そういえばこの人は、毎日のように人の死と向かい合っているんだったな。
そんなことが頭に浮かんだ。
瞳の奥に、彼の苦悩と後悔とが見えた気がしたから。
その日から僕は、彼女の好きだった店のケーキを買っていったり、服を買ったり、とにかく物を買った。
彼女は、ケーキを少し食べただけだった。
服に至ってはすごく嫌そうな顔をされてしまった。
「新菜。どこか行きたいところある?」
トラベルガイドを捲りながらそう尋ねた時だった。
彼女はキッと僕を睨むと、枕を投げつけてきた。
「行けないってわかっててそういうこと言うの!?馬鹿!大嫌い!帰って!」
叫ぶ彼女の目は血走っていて、何日もまともに寝れていないことが明らかだった。
そっと彼女の手を握り「新菜」と声をかける。
彼女は暴れることを一瞬やめた。
だがすぐに「放して」と手を振りほどこうとした。
跡が残らないよう気を使いながら、僕は彼女の手を掴む力を強めた。
「新菜。新菜が不安なのは知ってる。どのくらい不安かは分からないけど……君が感情にまかせて僕にきつくあたったときは、毎日僕が帰ったあと泣いてるよね。毎日、明日は生きているのか不安なことも知ってるし、君が僕を解放したいって思っているのも、僕が君から離れるのも同じくらい嫌っていうのも知ってる」
彼女──新菜は、泣きそうな顔をした。
新菜はあまり人前で泣いたことがなかった。泣くことが悔しいらしいのだ。
そんな彼女の意志を尊重し、彼女の柔らかな髪をそっと撫で、自分の腕にすっぽりおさめる。
ぎゅっと握られてシワができたシャツに、大粒の水玉模様ができていった。
***
ふと、目を開ける。
目の前にはいつもと変わらない光景が広がっている。
小学生の頃から使っている机、染みのできたカーテン、乱雑に置かれた書類や参考書。
──そして、彼女の霊。
自分でも頭がおかしくなったと思う。
だけど目の前に確かに居るのだ。
だが姉には見えていないらしく、何度もカウンセリングを勧められた。だけど僕はそれを断った。自分の見ているものが彼女の霊でないのなら、僕は本当に生きていくことを止めてしまいたくなる気がした。
彼女はちょこんと座っていたり、いつの間にか立っていたりする。
話せたことは一度もない。こっちから意思の疎通を計っても、彼女はうんともすんとも言わないし反応しない。ただぼうっと立っているだけなのだ。
茶色い髪は生前の快活な時のままで、顔だけがいつも見えなかった。覗き込もうとも思わなかった。幽霊なんか今まで一度も会ったこと無かったし、まず単純に彼女だろうが怖いのだ。
服は毎日同じで、やはり彼女が生前気に入っていた服を着ている。
しかし彼女は夕方と朝方にしか姿を見せない。
そんな彼女を、姉は追い出そうとは言わなかった。
ただ「あなたがいいなら、いいんじゃない」と言っただけだった。きっと姉も、彼女を僕から無理に引き剥がそうとしたら僕の方が壊れてしまうと悟ったのだろう。
何をしているのか、何のために僕の目の前に姿を現したのか話そうとしない、謎な彼女。そんな彼女はよく、僕の窓から外を眺める。その視線の先には、彼女が生前「イケメン」と評していた彼女の高校時の部活の後輩の家があった。
──だったらその後輩のところに行けばよかったのに。
僕はそんな彼女が苛立たしくも、やはり嫌いにも恨む気にもならないのだ。
後輩は間違いなく彼女に好意を抱いていた。彼女はきっと気づいていないが。
時間ギリギリまで部屋で彼女と過ごし、僕はカバンを背に家を出た。
仕事場は家から遠く、車で二時間ほどで到着する。
「あー!やっと来た!あと一分で朝礼始まるのよ!」
と朝から喧しいのが、同期である花田持世だ。なかなか古参なネーミングは、彼女が最も気にしている。
「今日も彼女さん?」
茶化すような口調の花田に「ああ」とだけ素っ気なく答える。
「ラブラブだなぁ」
と返す彼女の顔には、ハッキリと「心配」と書いてある。
「もー……死んでまで想ってもらえるなんて、その彼女さんはホントに羨ましい」
花田はそう呟いて薄く笑った。
花田は、僕のことが好きだった、らしい。
大学から彼女とは知り合い、就職先も同じになってから話すようになった。
飲みの席で、花田は「私ぃ」と酔った口調で酒を煽り、
「木嶋くんのこと、好きだったのよォ」
潤んだ瞳で見上げられ、なんて返せば良いか分からなくなった。
「……彼女いるんで」
ややあってそう答えると、花田は「あ、そ」とだけ呟きまた酒を煽った。
花田は無自覚かもしれないが、彼女が死んでから僕を飲みに誘う回数が増えた。
正直要らない気遣いというやつだった。彼女を失って傷心中は、できるだけ放っておいてほしかった。
「ね」
花田は声を潜めて僕を呼び止めた。
「今日、夕飯一緒に食べない?美味しいフレンチの店見つけたの」
花田はつとめて明るくいった。
「ごめん、別の人と食べて」
と答えると「ちょっと」と花田に腕を掴まれた。
「ちょっと待ってよ。分かってんでしょ?私の気持ち……」
朝からこんな修羅場展開にしないで欲しかった。
思わずため息を洩らすと、花田はカッと頬を赤くした。
「彼女さん、もう居ないじゃない!もう、忘れて自分の人生生きたって罰は……!」
「忘れる?」
どれだけ冷えた声だったのだろう。
花田の肩がビクリと震えた。
「悪いけど、忘れるのは無理だ。花田、俺はお前を好きにはならないよ……この先、一生」
花田は唇を噛み締めて俯いた。
「花田こそ、俺の事忘れて他の人を探した方がいいよ」
嫌な言い方をした自覚はあった。
だが、どうしたって腸が煮えくり返って仕方なかった。
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