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王子がやさしい(2)

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「王子様は外出しております」
「あの、どちらへ」
「そのような事、お前ごとき女中に伝える義務はござらんっ!」

一蹴された。


リオン王子・・・いったいいずこへ。















私は、あてもなく中庭に出た。人影がある。


あっ!リオン王子様だ。
私は、緊張して側に近付いた。

「リオン王子様」
「おっ、プローリアではないか。今日は休みか」
「いえ。料理長に言って午後からにしてもらいました」
「そうか。それでどうしたのだ。このようなところに突然」

なぜかやさしい。いつもの素っ気ない態度とは大違い。
何なの、この人。


それで私の中の心に、「小さな勇気」が芽生えた。

「料理長から聞きました。私の事、口添えしてくれたって」
「ああ。その事か」
「あの、その、本当にありがとうございました」
「よい、よい」
「でも、どうして?」

ここで終わってもいいのに私は、「勇気の力」を借りた。

「・・・助けてあげたくて。お前の事 見てると、どうしても助けてあげたくなって・・・」
「そんなこと・・・」
「守ってあげたくなるんだ」









クぁーう。










城内では、私に対して素っ気ないくせに。


「す、す・・・」
「な、何ですか。王子」
「す、す・・・」

リオン王子。・・・その、言葉を聞いたら私、もう戻れない。




(終わり)




読んでいただきありがとうございました。

miyuki
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