44 / 51
【2・made in 高天原―天津人たちがいる日常―】
6・emergency「緊急祓除」(6)
しおりを挟む
【仙台市宮城野区・西×××二丁目付近(2)】
上空から勢いをつけて降りてきた人影は真斗とほぼ同じ身なりをしていた。
彼は空中跳躍で移動して来たが、調整する足場が周りにないので高度が下がっている。
後方斜め上から現れたその男は中腰の姿勢で屈んだ真斗の背中を足場に見立て体重をかけて踏みつける。
真斗を「踏切板」にした男の体は二階建て住宅の屋根の高さまで跳ね上がった。
七十キロは軽く超えている体重に加え落下による負荷を背中に受けた真斗は中腰の姿勢を保てず、手を付いてその場に倒れ込む。
男は加瀬とヨモツがいる空き地手前まで到達すると、両手に持ったミリタリーナイフの柄を強く握り刃に雷線を走らせる。
「省吾さん!避けろ!」
落下の勢いを付けヨモツに向かい飛び込んで来た男はそう叫ぶと、その真っ黒な背を蹴り飛ばしそのまま地面に押し倒す。
「頼むわ千聖!」
男諸共倒れ込んで来たヨモツを交わした加瀬は、傍に倒れている大型犬サイズのヨモツに突き刺さった警棒を握りとどめの雷線を撃ち込み祓除処置をする。
倒れたヨモツを押さえつけるように跨った男は、逆手に持ったナイフを頸椎の辺りに突き刺した。
刺さった箇所から閃光が弾け、固いヨモツの体表が割れて破片が飛び散る。
ナイフを握る手に力を込め、彼は自分の身に走らせた雷線を一気にヨモツの体内に撃ち込んだ。
固い体表に亀裂が走り、その間から光が血のように溢れ出る。
ヨモツの体は割れて崩れ落ち、破片が地に落ちる間もなく消えて行った――祓除完了。
ヨモツが消えた地面に膝を付いた男は、すぐに立ち上がり飛んで来た方向を振り返る。
「おい、ボン!省吾さん酷使すんじゃねぇよ。出し惜しみしねぇで角曲がった時点で高射(高威力射撃)かませや」
彼が右手に持ったナイフを突き立てた先に、遅れて駆けつけた真斗の姿があった。
「前の現場で連続で撃ってるんでこれ以上はキツいです」
酷使されてるのは俺の方だと喉元まで出かかったが、真斗は眉一つ動かさず突き放すような冷静な口調で男にそう返した。
痩せた浅黒い頬の左側に傷がある、眼光が鋭い「ドーベルマン」のようなこの男の名前は神谷沢千聖。
真斗と加瀬と同じ「機動祓除隊第三班」に所属している。階級は真斗と同じ獣撃士長。
身長は加瀬より少し高く、真斗より少し低い。年齢は三十歳。
彼は本部からの指令を受け二人の支援に駆けつけた。
動きが早い「大型犬」サイズが三頭と通報を受けていたが実際にいたのは「中型犬」サイズを一頭含む計六頭。
真斗と加瀬なら二人でギリギリ何とか出来そうだが周辺への被害を想定すると支援が欲しいと加瀬は本部に要請した。
二人がいる現場から最短距離にいたのがバイクで巡回中の神谷沢だった。
仙台駅前を抜け南方面に向かっていたところで彼に無線が入り五分で現場に到着した。
先程からの二人のやり取りを見ての通り、真斗と神谷沢は互いに「薄っすら」いけ好かない奴だと思っている。
片や天津の良家の御曹司、国立大卒の文武両道。
片や母子家庭育ちの元ヤンキー、高卒の叩き上げ。
歳の近い「男前」同士だが育って来た世界が全く違うので、互いに第一印象は相容れない人間だと思っていた。
「お坊ちゃん」の真斗は可能な限り無視を決め込んでいたが、「ヤンキー」の神谷沢は何かと彼にキツい物言いで絡んで来る。
真斗は昔からそう言った目上からのキツい「当たり」には慣れていた。
学生の頃、部活の先輩の中に「環境にも才能にも恵まれた人間」に見える真斗に対して当たりが強い者がいた。
彼は何を言われても黙って耐えていた――ように見えたが実際は静かに反撃をしていた。
実力と謙虚さ、素行の良さで組織内での信頼を得ることで味方を増やし、こちらを「悪く扱う」方が「悪く見える」ように立ち回る。
そうしているうちに、彼の脚を引っ張ることばかりにかまけていた相手は周りからの信用も成果も上げられず勝手に自滅して行く。
真面目で実直な性格の真斗だが、こうした静かな狡猾さも持っている。
今までそうやってかわして来た「小物」とは違い、神谷沢には真斗に対する嫉妬心や劣等感がない。
キツい物言いは単純に「いけ好かない澄ました顔のお坊ちゃん」を揶揄っているだけで憎悪から来るような悪意はない。
神谷沢は天津人の中ではごく普通の血筋だが腕っぷしの良さと、失敗を含めた経験を糧にして得た臨機応変な判断力を持つ心身ともにタフな男だ。
ガラの悪さはまだ残っているが、周りからの信頼は厚い。
真斗もそこは認めているし尊敬も出来るが、正直鬱陶しいものは鬱陶しい。
だが今までとは違い、下手な返しをしたらこちらが「器の小さい御曹司」になってしまう。
嫌悪するまではいかないが「厄介な先輩」だ。
加瀬を軽く扱っていると見たら番犬のように睨みを効かせてくるのも面倒臭い。
加瀬は神谷沢の「地元の先輩」で子供の頃から可愛がってもらっていたと言う。
今はのらりくらりと枯れた中年仕草をしているが、加瀬は昔は相当の「やんちゃ」だったらしい。神谷沢が「やんちゃ」になったのも彼の影響のようだ。
「やだなぁ俺、これでも就職氷河期のエゲツない公務員試験の倍率突破したエリートよ」
過去の話を振るたび加瀬は緩い口調で煙に巻くが、任務中に見せる険しい表情やヨモツに対する立ち振る舞いに昔のガラの悪さが見て取れる。
ヨモツ六頭の祓除を終え、封鎖している範囲に残頭がないか再度巡回した後に三人は現場から引き上げるため停車していた車両に戻った。
加瀬は助手席に座り無線で報告。真斗は運転席に座り携帯式の端末を操作している。
二人ともヘルメットを脱ぎ、装備を下げた腰のベルトも外している。
ダッシュボードの上にあるモニターには市内とその近郊のヨモツ出現地と各方面を巡回している隊員の位置情報が映し出されていた。
同じ班に所属している岡田と松森の識別番号と「祓除処置中」のアイコンが二人の目に留まる。
仙台市泉区、東北自動車道の東側、仙台バイパス近くにある住宅地、その裏にある低い丘陵地にぽつんとある一世帯の家。
思い切り心当たりがあるなと、加瀬は隣に座る真斗に視線を送る。
「――班長が今行ってる泉区×××の現場って、もしかしてお前ん家?」
強く吹き出るエアコンの風が乱した前髪を掻き上げながら、加瀬は真斗に尋ねた。
「――自宅ですね」
返答する真斗に動じた様子はない。
「隊員の家に通報するレベルが出るとか、警官の家に空き巣が入るくらいレアなんだけど……ホントにあるんだぁ。買い時じゃない?宝くじ」
「サマージャンボはもう販売終了してます」
「この女性一名って「まりかちゃん」だろ?」
「そうですね」
「一人でお留守番中に災難だね。連絡してあげれば?お兄ちゃん」
「祓除中に連絡を入れたらかえって動揺させてしまうんで。それに対処しているのは班長と松森。心配することはないです。戻ったら連絡入れますよ」
十歳下の妹が通報するような事態にも関わらず、真斗の口調は冷ややかなくらい淡々としていた。
生真面目を通り越して薄情とも取れるような態度だが、本心はそうでないと加瀬はちゃんと察していた。
真斗は平静さを取り繕っているが、かなり気を揉んでいる。
本人は気付いていないようだが、眉間の皺が任務中より深くなっている。
前方に停車しているバイクに跨り付属のモニターを見ていた神谷沢が真斗と加瀬の方を振り返った。
彼はバイクから降りると足早に二人が乗っている車両に歩み寄り、真斗が座る運転席の窓を「開けろ」と叩く。
真斗は億劫そうにドアに付いているウインドウスイッチを押し窓を開けた。
神谷沢はルーフに膝を付いて運転席の真斗を覗き込む。
「お姫様のピンチじゃねぇか、お兄ちゃん。連絡くらいしてやれよ」
彼は顎でモニターを指してニヤリと笑った。
真斗は彼から目を逸らし軽く息を吐いた。
――駆けつけたのが神谷沢士長じゃなくて助かった。
神谷沢が自宅に行った場合、仕事はきっちりやるであろうが問題はその後だ。
彼は女に対して「軽い」――悪い意味で何もかも軽い。
十代の小娘にのぼせるような男ではないが、真斗が頑なに素性を隠している下の妹となれば面白がってちょっかいを出すのが目に見えている。
茉莉花が「人見知りの猫被り」を発動しつつ、上手い具合にそれを受け流せば問題はない。
だがそのウザさに耐えかねて彼女がブチ切れた場合は、真斗が今まで偽装して来た「気が弱くてヨモツ祓除が苦手な箱入り娘」設定が破綻する。
――それに比べたら班長と松森は遥かにマシだ。
「妹も天津の人間です。足手纏いにならないよう、弱いなりに弁えた行動を取るようにと普段から言ってます――今連絡しなくても大丈夫ですよ」
「相変わらず「兄貴関白」だな。今どきの女子高生に対してそれじゃ嫌われるぜ」
「――嫌われるくらいが丁度いいんです」
真斗はそう返すと彼の視線を遮るように、手に取った濃紺のアポロキャップを目深に被った。
嫌われるくらいが丁度いい――そう思っているが真斗は茉莉花を疎ましく思っている訳ではない。
腹違いとは言え長年一緒に暮らして来た妹だ。彼女に対する情はある。
当然心配もしている。かなり差し迫った状況だ。
彼女がいる現場の警戒レベルはレッドに近いイエロー。
先程まで自分たちが対処していたものと比べれば危険度は下がるが、その差はたった一段階だ。
上空から勢いをつけて降りてきた人影は真斗とほぼ同じ身なりをしていた。
彼は空中跳躍で移動して来たが、調整する足場が周りにないので高度が下がっている。
後方斜め上から現れたその男は中腰の姿勢で屈んだ真斗の背中を足場に見立て体重をかけて踏みつける。
真斗を「踏切板」にした男の体は二階建て住宅の屋根の高さまで跳ね上がった。
七十キロは軽く超えている体重に加え落下による負荷を背中に受けた真斗は中腰の姿勢を保てず、手を付いてその場に倒れ込む。
男は加瀬とヨモツがいる空き地手前まで到達すると、両手に持ったミリタリーナイフの柄を強く握り刃に雷線を走らせる。
「省吾さん!避けろ!」
落下の勢いを付けヨモツに向かい飛び込んで来た男はそう叫ぶと、その真っ黒な背を蹴り飛ばしそのまま地面に押し倒す。
「頼むわ千聖!」
男諸共倒れ込んで来たヨモツを交わした加瀬は、傍に倒れている大型犬サイズのヨモツに突き刺さった警棒を握りとどめの雷線を撃ち込み祓除処置をする。
倒れたヨモツを押さえつけるように跨った男は、逆手に持ったナイフを頸椎の辺りに突き刺した。
刺さった箇所から閃光が弾け、固いヨモツの体表が割れて破片が飛び散る。
ナイフを握る手に力を込め、彼は自分の身に走らせた雷線を一気にヨモツの体内に撃ち込んだ。
固い体表に亀裂が走り、その間から光が血のように溢れ出る。
ヨモツの体は割れて崩れ落ち、破片が地に落ちる間もなく消えて行った――祓除完了。
ヨモツが消えた地面に膝を付いた男は、すぐに立ち上がり飛んで来た方向を振り返る。
「おい、ボン!省吾さん酷使すんじゃねぇよ。出し惜しみしねぇで角曲がった時点で高射(高威力射撃)かませや」
彼が右手に持ったナイフを突き立てた先に、遅れて駆けつけた真斗の姿があった。
「前の現場で連続で撃ってるんでこれ以上はキツいです」
酷使されてるのは俺の方だと喉元まで出かかったが、真斗は眉一つ動かさず突き放すような冷静な口調で男にそう返した。
痩せた浅黒い頬の左側に傷がある、眼光が鋭い「ドーベルマン」のようなこの男の名前は神谷沢千聖。
真斗と加瀬と同じ「機動祓除隊第三班」に所属している。階級は真斗と同じ獣撃士長。
身長は加瀬より少し高く、真斗より少し低い。年齢は三十歳。
彼は本部からの指令を受け二人の支援に駆けつけた。
動きが早い「大型犬」サイズが三頭と通報を受けていたが実際にいたのは「中型犬」サイズを一頭含む計六頭。
真斗と加瀬なら二人でギリギリ何とか出来そうだが周辺への被害を想定すると支援が欲しいと加瀬は本部に要請した。
二人がいる現場から最短距離にいたのがバイクで巡回中の神谷沢だった。
仙台駅前を抜け南方面に向かっていたところで彼に無線が入り五分で現場に到着した。
先程からの二人のやり取りを見ての通り、真斗と神谷沢は互いに「薄っすら」いけ好かない奴だと思っている。
片や天津の良家の御曹司、国立大卒の文武両道。
片や母子家庭育ちの元ヤンキー、高卒の叩き上げ。
歳の近い「男前」同士だが育って来た世界が全く違うので、互いに第一印象は相容れない人間だと思っていた。
「お坊ちゃん」の真斗は可能な限り無視を決め込んでいたが、「ヤンキー」の神谷沢は何かと彼にキツい物言いで絡んで来る。
真斗は昔からそう言った目上からのキツい「当たり」には慣れていた。
学生の頃、部活の先輩の中に「環境にも才能にも恵まれた人間」に見える真斗に対して当たりが強い者がいた。
彼は何を言われても黙って耐えていた――ように見えたが実際は静かに反撃をしていた。
実力と謙虚さ、素行の良さで組織内での信頼を得ることで味方を増やし、こちらを「悪く扱う」方が「悪く見える」ように立ち回る。
そうしているうちに、彼の脚を引っ張ることばかりにかまけていた相手は周りからの信用も成果も上げられず勝手に自滅して行く。
真面目で実直な性格の真斗だが、こうした静かな狡猾さも持っている。
今までそうやってかわして来た「小物」とは違い、神谷沢には真斗に対する嫉妬心や劣等感がない。
キツい物言いは単純に「いけ好かない澄ました顔のお坊ちゃん」を揶揄っているだけで憎悪から来るような悪意はない。
神谷沢は天津人の中ではごく普通の血筋だが腕っぷしの良さと、失敗を含めた経験を糧にして得た臨機応変な判断力を持つ心身ともにタフな男だ。
ガラの悪さはまだ残っているが、周りからの信頼は厚い。
真斗もそこは認めているし尊敬も出来るが、正直鬱陶しいものは鬱陶しい。
だが今までとは違い、下手な返しをしたらこちらが「器の小さい御曹司」になってしまう。
嫌悪するまではいかないが「厄介な先輩」だ。
加瀬を軽く扱っていると見たら番犬のように睨みを効かせてくるのも面倒臭い。
加瀬は神谷沢の「地元の先輩」で子供の頃から可愛がってもらっていたと言う。
今はのらりくらりと枯れた中年仕草をしているが、加瀬は昔は相当の「やんちゃ」だったらしい。神谷沢が「やんちゃ」になったのも彼の影響のようだ。
「やだなぁ俺、これでも就職氷河期のエゲツない公務員試験の倍率突破したエリートよ」
過去の話を振るたび加瀬は緩い口調で煙に巻くが、任務中に見せる険しい表情やヨモツに対する立ち振る舞いに昔のガラの悪さが見て取れる。
ヨモツ六頭の祓除を終え、封鎖している範囲に残頭がないか再度巡回した後に三人は現場から引き上げるため停車していた車両に戻った。
加瀬は助手席に座り無線で報告。真斗は運転席に座り携帯式の端末を操作している。
二人ともヘルメットを脱ぎ、装備を下げた腰のベルトも外している。
ダッシュボードの上にあるモニターには市内とその近郊のヨモツ出現地と各方面を巡回している隊員の位置情報が映し出されていた。
同じ班に所属している岡田と松森の識別番号と「祓除処置中」のアイコンが二人の目に留まる。
仙台市泉区、東北自動車道の東側、仙台バイパス近くにある住宅地、その裏にある低い丘陵地にぽつんとある一世帯の家。
思い切り心当たりがあるなと、加瀬は隣に座る真斗に視線を送る。
「――班長が今行ってる泉区×××の現場って、もしかしてお前ん家?」
強く吹き出るエアコンの風が乱した前髪を掻き上げながら、加瀬は真斗に尋ねた。
「――自宅ですね」
返答する真斗に動じた様子はない。
「隊員の家に通報するレベルが出るとか、警官の家に空き巣が入るくらいレアなんだけど……ホントにあるんだぁ。買い時じゃない?宝くじ」
「サマージャンボはもう販売終了してます」
「この女性一名って「まりかちゃん」だろ?」
「そうですね」
「一人でお留守番中に災難だね。連絡してあげれば?お兄ちゃん」
「祓除中に連絡を入れたらかえって動揺させてしまうんで。それに対処しているのは班長と松森。心配することはないです。戻ったら連絡入れますよ」
十歳下の妹が通報するような事態にも関わらず、真斗の口調は冷ややかなくらい淡々としていた。
生真面目を通り越して薄情とも取れるような態度だが、本心はそうでないと加瀬はちゃんと察していた。
真斗は平静さを取り繕っているが、かなり気を揉んでいる。
本人は気付いていないようだが、眉間の皺が任務中より深くなっている。
前方に停車しているバイクに跨り付属のモニターを見ていた神谷沢が真斗と加瀬の方を振り返った。
彼はバイクから降りると足早に二人が乗っている車両に歩み寄り、真斗が座る運転席の窓を「開けろ」と叩く。
真斗は億劫そうにドアに付いているウインドウスイッチを押し窓を開けた。
神谷沢はルーフに膝を付いて運転席の真斗を覗き込む。
「お姫様のピンチじゃねぇか、お兄ちゃん。連絡くらいしてやれよ」
彼は顎でモニターを指してニヤリと笑った。
真斗は彼から目を逸らし軽く息を吐いた。
――駆けつけたのが神谷沢士長じゃなくて助かった。
神谷沢が自宅に行った場合、仕事はきっちりやるであろうが問題はその後だ。
彼は女に対して「軽い」――悪い意味で何もかも軽い。
十代の小娘にのぼせるような男ではないが、真斗が頑なに素性を隠している下の妹となれば面白がってちょっかいを出すのが目に見えている。
茉莉花が「人見知りの猫被り」を発動しつつ、上手い具合にそれを受け流せば問題はない。
だがそのウザさに耐えかねて彼女がブチ切れた場合は、真斗が今まで偽装して来た「気が弱くてヨモツ祓除が苦手な箱入り娘」設定が破綻する。
――それに比べたら班長と松森は遥かにマシだ。
「妹も天津の人間です。足手纏いにならないよう、弱いなりに弁えた行動を取るようにと普段から言ってます――今連絡しなくても大丈夫ですよ」
「相変わらず「兄貴関白」だな。今どきの女子高生に対してそれじゃ嫌われるぜ」
「――嫌われるくらいが丁度いいんです」
真斗はそう返すと彼の視線を遮るように、手に取った濃紺のアポロキャップを目深に被った。
嫌われるくらいが丁度いい――そう思っているが真斗は茉莉花を疎ましく思っている訳ではない。
腹違いとは言え長年一緒に暮らして来た妹だ。彼女に対する情はある。
当然心配もしている。かなり差し迫った状況だ。
彼女がいる現場の警戒レベルはレッドに近いイエロー。
先程まで自分たちが対処していたものと比べれば危険度は下がるが、その差はたった一段階だ。
0
あなたにおすすめの小説
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
私の通っている女子校はデカすぎる!
藤田大腸
キャラ文芸
兵庫県南西部にある藤葉女学園は中高合わせて生徒数およそ六千三百人を誇る超弩級マンモス女子校である。中学部三年生の下雅意柚羽は立派な名前の割に目立たない生徒であったが、ある日のほんのちょっとした出来事がきっかけで運命が一変。生徒会の一員として忙しない日々を送ることに。待ち受けるのは様々な事件と個性的すぎる生徒たち。柚羽の明日はいったいどっちの方向に行ってしまうのか?
「あのときやけ食いしたモナカアイスが学校生活の転機だったのかもしれません」(下雅意柚羽)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる